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49 帰国
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次の日の昼頃目覚めた俺は、アルフォンスの満面の笑みに迎えられた。
「すまなかった。まさか徹夜で馬を走らせてきたとは思わなかったんだ」
「いえ、その……、勢いが欲しかったので徹夜の後って何故か高揚感があるでしょう?」
「実は怒っているのか? どうしてそんな言葉遣い……」
そりゃあアルフォンスとディアハルトだけならいいが、ここには医者と侍従も待機しているのだ。
「医師、大丈夫ですから」
「いえ、せっかく長くお待ちしたのですから、様子だけでも診させてください」
長いって、いつから? とアルフォンスを見ると、目を背けられた。まさか情事でドロドロのまま? 青ざめた俺に気づいたのか侍従の少年が俺に耳打ちした。
「清浄魔法を使わせていただきました。ご不快なところなどなけれがよろしいのですが」
その言葉にホッとした。こんな少年にさせたことは申し訳なく思うが。
「ありがとう」
医師は簡単に心拍や目元などを診て、癒しの魔法をかけてくれた。
「若いからといって、無茶をしてはいけませんよ」
そうお小言をもらって医師が帰った後、俺は食事を用意してもらった。
魔法王国レジェンドの食事はフラワー王国とは少し香辛料が違う。エスニックっぽい.。カレーのスパイスに似たものがあるかもしれないと期待を膨らませた。
「おれはその草が苦手だ」
「独特の香りがするからな」
匂いは控え目なパクチーのようなものだ。確かに前世でも好みが分かれていたっけ。インドと東南アジアではまた違う香辛料だろうか。帰る前に市に寄ろうと決めた。
ドランシェで使えそうなものを探してくるとケヴィンにも約束してきたのだ。
黙々と食べていると、アルフォンスがこちらを見ていた。
「あなたも食べたらどうですか?」
「医師は帰ったのに」
「……俺も大人になったのです。この方が受けがいいんですよ。あなたに偉そうな口を聞いていると、示しがつきませんからね。嫌、ですか? 俺の特別はあなただけだって、昨日伝えたはずですが」
「ブホッ! ゲホゲホ……」
「うるさい、ディアハルト」
「その……、二人の時はいつものように話してほしい。私の特別もそなただけだ――」
「ゲホゲホ……」
「「うるさい!」」
ディアハルトはわざと咳き込む振りをする。
「サイラスはいつまでこちらにいるつもりなんだ?」
ディアハルトの質問に、少し考えた。聖女の話を聞いてかなり頭に血がのぼっていたせいか、何も考えていなかったのだ。家にも書き置きしてきただけで許可をとったわけじゃない。
「どうしようかな」
「帰国するなら二週間は待ってもらわないと――」
「アル?」
「身ごもったかもしれない婚約者を一人で帰せるわけがないだろう」
当たり前のことだと言わんばかりに言い切られた。
「ブホッ」
「ディアハルト、うるさい。アル、そういうことはおおっぴらにされると困ります。目立つところにつけてはいけないと言ったのに……」
さっき侍従に着替えさせてもらって衝撃を受けた。顔以外にキスマークのないところがなかった。
鏡を見た瞬間絶句した。病気なんじゃないかと思うほどのキスマークの数だった。 首元は高い襟の服を用意してもらって、手袋は必須だ。持ってきたマジックバックに入っていたかなと不安になる。
「すまない。ジャスミンの香りに酔ったのかもしれない」
「……匂いに酔うわけがありません。もしそうなら頭が心配だ。医師にみてもらいましょうか。大体、アル。子供はそう簡単にできるわけじゃありませんよ。馴染むのに時間がかかるはずです。一年後、帰ってくるのをお待ちしてます」
「嫌だ。私が帰れなかったのは魔力差が大きくなってサイラスの身体が心配だったからだ」「別に性交しなければ、魔力核も壊れないし、気が触れたりしませんよ」
「……その喋り方、怒られているような気がして落ち着かない」
怒った時にことさら丁寧に話すようにしてた弊害が……。
「わかった。でも人前では我慢してくれ」「ディアハルト、帰る旨をフラワー王国とレジェンド王国の世話になった人たちに報せてくれ。二週間後、サイラスと一緒に帰る。卒業は別にしなくて構わない」
「……はぁ。了解しました」
ディアハルトも災難だな。結局二人は長く勉強したにも関わらず、どちらの卒業証書ももらえないのか。いや、どうだろう。交渉の余地はあるはずだ。
「ディアハルト、この国にはスキップ制度はないのか?」
「スキップ?」
「試験を受けて、合格すれば一年早く資格がもらえるというような」
前世で聞いたことのあるスキップ、もしくは飛び級制度があればいいのにと思って調べてもらったら、特別措置だからと言いながらわざわざ作ってくれることになった。
「さすがサイラス。助かった」
ディアハルトに深く感謝された。ともかく二週間の間に二人は、卒業するための試験に忙殺されながら帰国の準備を整えた。
「いくつマジックバックを持ってきたんだ……。服がないとか言ってたのに……」
「フフッ、内緒です。服なんて沢山いれてくるわけがないじゃないですか」
俺の買ったものが入ったマジックバックが山のように積んであるのを見てディアハルトが息を飲んだ。ちなみに服も入れずに運んできたのは『どら焼き』ホイップ入りやすぐに食べないと駄目な生菓子だ。『ドランシェ』をレジェンド王国に開店したので商品を運んできて、店に搬入した。普段は手に入らないレア商品に行列ができていると報告を受けている。
「二週間もあったのでゆっくり過ごせました」
情報も集まった。この国の聖女がヒロインの大人の乙女ゲームがどうなっていたのか知りたかったのだ。どうやらハーレムエンドを狙って成功したようだ。どうしてアルフォンスがいなかったかというと、ハーレムエンドの後の特別エディションがアルフォンスルートではないかとケヴィンが手に入れた使い魔の鳥が運んできたミリアの手紙に書かれていた。
「すまなかった。まさか徹夜で馬を走らせてきたとは思わなかったんだ」
「いえ、その……、勢いが欲しかったので徹夜の後って何故か高揚感があるでしょう?」
「実は怒っているのか? どうしてそんな言葉遣い……」
そりゃあアルフォンスとディアハルトだけならいいが、ここには医者と侍従も待機しているのだ。
「医師、大丈夫ですから」
「いえ、せっかく長くお待ちしたのですから、様子だけでも診させてください」
長いって、いつから? とアルフォンスを見ると、目を背けられた。まさか情事でドロドロのまま? 青ざめた俺に気づいたのか侍従の少年が俺に耳打ちした。
「清浄魔法を使わせていただきました。ご不快なところなどなけれがよろしいのですが」
その言葉にホッとした。こんな少年にさせたことは申し訳なく思うが。
「ありがとう」
医師は簡単に心拍や目元などを診て、癒しの魔法をかけてくれた。
「若いからといって、無茶をしてはいけませんよ」
そうお小言をもらって医師が帰った後、俺は食事を用意してもらった。
魔法王国レジェンドの食事はフラワー王国とは少し香辛料が違う。エスニックっぽい.。カレーのスパイスに似たものがあるかもしれないと期待を膨らませた。
「おれはその草が苦手だ」
「独特の香りがするからな」
匂いは控え目なパクチーのようなものだ。確かに前世でも好みが分かれていたっけ。インドと東南アジアではまた違う香辛料だろうか。帰る前に市に寄ろうと決めた。
ドランシェで使えそうなものを探してくるとケヴィンにも約束してきたのだ。
黙々と食べていると、アルフォンスがこちらを見ていた。
「あなたも食べたらどうですか?」
「医師は帰ったのに」
「……俺も大人になったのです。この方が受けがいいんですよ。あなたに偉そうな口を聞いていると、示しがつきませんからね。嫌、ですか? 俺の特別はあなただけだって、昨日伝えたはずですが」
「ブホッ! ゲホゲホ……」
「うるさい、ディアハルト」
「その……、二人の時はいつものように話してほしい。私の特別もそなただけだ――」
「ゲホゲホ……」
「「うるさい!」」
ディアハルトはわざと咳き込む振りをする。
「サイラスはいつまでこちらにいるつもりなんだ?」
ディアハルトの質問に、少し考えた。聖女の話を聞いてかなり頭に血がのぼっていたせいか、何も考えていなかったのだ。家にも書き置きしてきただけで許可をとったわけじゃない。
「どうしようかな」
「帰国するなら二週間は待ってもらわないと――」
「アル?」
「身ごもったかもしれない婚約者を一人で帰せるわけがないだろう」
当たり前のことだと言わんばかりに言い切られた。
「ブホッ」
「ディアハルト、うるさい。アル、そういうことはおおっぴらにされると困ります。目立つところにつけてはいけないと言ったのに……」
さっき侍従に着替えさせてもらって衝撃を受けた。顔以外にキスマークのないところがなかった。
鏡を見た瞬間絶句した。病気なんじゃないかと思うほどのキスマークの数だった。 首元は高い襟の服を用意してもらって、手袋は必須だ。持ってきたマジックバックに入っていたかなと不安になる。
「すまない。ジャスミンの香りに酔ったのかもしれない」
「……匂いに酔うわけがありません。もしそうなら頭が心配だ。医師にみてもらいましょうか。大体、アル。子供はそう簡単にできるわけじゃありませんよ。馴染むのに時間がかかるはずです。一年後、帰ってくるのをお待ちしてます」
「嫌だ。私が帰れなかったのは魔力差が大きくなってサイラスの身体が心配だったからだ」「別に性交しなければ、魔力核も壊れないし、気が触れたりしませんよ」
「……その喋り方、怒られているような気がして落ち着かない」
怒った時にことさら丁寧に話すようにしてた弊害が……。
「わかった。でも人前では我慢してくれ」「ディアハルト、帰る旨をフラワー王国とレジェンド王国の世話になった人たちに報せてくれ。二週間後、サイラスと一緒に帰る。卒業は別にしなくて構わない」
「……はぁ。了解しました」
ディアハルトも災難だな。結局二人は長く勉強したにも関わらず、どちらの卒業証書ももらえないのか。いや、どうだろう。交渉の余地はあるはずだ。
「ディアハルト、この国にはスキップ制度はないのか?」
「スキップ?」
「試験を受けて、合格すれば一年早く資格がもらえるというような」
前世で聞いたことのあるスキップ、もしくは飛び級制度があればいいのにと思って調べてもらったら、特別措置だからと言いながらわざわざ作ってくれることになった。
「さすがサイラス。助かった」
ディアハルトに深く感謝された。ともかく二週間の間に二人は、卒業するための試験に忙殺されながら帰国の準備を整えた。
「いくつマジックバックを持ってきたんだ……。服がないとか言ってたのに……」
「フフッ、内緒です。服なんて沢山いれてくるわけがないじゃないですか」
俺の買ったものが入ったマジックバックが山のように積んであるのを見てディアハルトが息を飲んだ。ちなみに服も入れずに運んできたのは『どら焼き』ホイップ入りやすぐに食べないと駄目な生菓子だ。『ドランシェ』をレジェンド王国に開店したので商品を運んできて、店に搬入した。普段は手に入らないレア商品に行列ができていると報告を受けている。
「二週間もあったのでゆっくり過ごせました」
情報も集まった。この国の聖女がヒロインの大人の乙女ゲームがどうなっていたのか知りたかったのだ。どうやらハーレムエンドを狙って成功したようだ。どうしてアルフォンスがいなかったかというと、ハーレムエンドの後の特別エディションがアルフォンスルートではないかとケヴィンが手に入れた使い魔の鳥が運んできたミリアの手紙に書かれていた。
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