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大人の嗜みって……恐ろしい

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「ク、クリス様、歌……歌ってください」

 俺は身体のあらゆる部分に手を這わせ、今は俺の乳首を吸ったり、転がしたり、噛んだりしいているクリストファーに向かって叫ぶようにお願いをした。

「ん? 何をいってる――」

 乳首を含んだまま喋られて俺の身体は魚のように跳ねた。

「だって……あっ……ん……やぁ」

 髪の毛を掴んで止めようとしても全然止まってくれない。

「音っ! 音がいやら……っ! うう……っはぁっ!」

 俺の胸を舐めねぶるその音と、俺の口から出る意味をなさない言葉の羅列をなんとか消したかった。だから、歌でも歌ってもらえばと……と思ったのだが、くっ! とクリストファーは真っ赤になってツンと主張する乳首を銜えたまま笑うものだから、俺は我慢できずに、身体を突っ張らせて「あああ――……」と軽くしか触れてもらっていないにも関わらず、最初の絶頂を迎えたのだった。

「お前……、どれだけ敏感なんだ……」
「やぁ、触らないで……」

 クリストファーもビックリしたようで乳首からは解放されたが、ビクビクッと震える身体を撫でられるだけで、俺は敏感に反応する。

「コントロールしないと後が辛そうだな……。気持ちいいことだけしてやりたいのは山やまだが――。解すか……」

 クリストファーはそう言って俺を裏返した。息が上がっていたから裏返されると少し呼吸が辛かった。

「ここは少し痛いかもしれないが……」

 そう言って、クリストファーが触れたのはさっき激情のまま指を入れられた俺の尻の穴だった。

「力を抜いておけ」

 クリストファーは指にオイルを垂らして、俺の尻の狭間をゆっくりと進んだ。
 一本目は、一度開かれている事もあって、それほど苦痛でもなかった。ただ、違和感が半端ない。

「あっ……」

 ズルズルと入り込む長い指をさっきよりは冷静なために、ペンを握る彼の指のたこまで感じた。

「そうだ、上手だ」

 褒めてもらってその感覚でいいのかと指の動きを追った。
 ズルッと出て行く瞬間が排泄に似た感覚で俺は焦る。

「あっ……駄目です。ああっ! 止めて……」

 クリストファーにそう言って逃げようとしたが、「だから言っただろう。大人を煽るなと」と許してもらえなかった。

「お前のここに私を受け入れるんだ――。グチャグチャに溶かしてやる」

 既にグチャグチャになっているような気がすると思いながら、ふと思った。

「ここに……何を?」

 指ならもう入っているし。どうやらこれが終わりでないようだし……。

「知らないで言ってたのか……。ここに私のナニをいれるんだ」

 クリストファーは俺の背中をペロッと舐めると、「締まったな」と含み笑いをする。

「な、何って――?」

 自分の身体の変化についていけないまま、クリストファーが俺のアレをキュッと握ると、「これだ――。私のこれをお前のここに突っ込む」と、怖ろしいことをいった。
 クリストファーのアレは、俺のコレとは違う。大きさだって、硬さだって――。そんなものを入れられたら……。だから、血まみれになるって言ってたのかと気付いた。
 ゾッと背中を悪寒が走った。

「う……あ……っ」

 二本に増えた指に引きつれたような痛みを感じた。
 知ったばかりのその事実に俺は確かに怯えていた。それでも止めたいという選択肢はなかった。
 自分が望んだことだ。
 クリストファーに抱かれた人間が何人いるのかもわからない。初めて覚えた執着の果てがクリストファーのソレを受け入れることだとしたら、俺にはもうその道しか残っていなかった。

「そう、息を吐け――」

 クリストファーは俺を傷つけようとしているのではない。そう信じる事ができたから、俺は言われたとおりに息を吐いた。
 流石に三本目を入れようとしたときは、神様にお祈りしたくなった。
 前と後ろを両方いじられると、痛みの中に微かにゾクゾクとした快感がまざっていく。

「ひ……っあ……あうっ……も……もう……っ」

 俺の中のゾクゾクは段々と大きくなっていって、もうすぐ解放されるだろう期待に体中が震える。

「ああ、そうだな――。私もそろそろ限界だ……ん……力を抜いておけ。口付けをしてやろう」

 クリストファーは、俺の身体をもう一度ひっくり返した。
 正面にクリストファーの意思の強そうな目があった。その目は俺を欲しいと思っているように感じた。

「んんっ! あ……きつ……っ」

 口付けをされて、気持ちよく蕩けたところをいつの間にか全裸になっていたクリストファーが俺の脚を大きく広げた。何度もクリストファーのソレは俺の尻の間を動く。
 大きさと堅さに息を飲む。俺のソコに、クリストファーはゆっくりと自身を沈めていった。
 指とは比べ物にもならないソレは、本当に少しずつしか入らなかった。
 クリストファーのソレは、俺が知っているより大きいし長いような気がする……。気のせいなのだろうか……。

「……やっ……ああ……っ」

 苦しさと痛みに目を見開いた俺の喉元にクリストファーは歯を立てた。

「うっ! 痛い……痛っ……クリス様……はぅっ……あ……」

 のどの痛みに集中した瞬間クリストファーは、俺のソコを限界まで突き刺した。
 ハッハッ……と、上がる息を吸い込めず、意識が遠くなる。

「ロッティ――、息をしろ――。吸うんだ!」

 あ……そういえば、息吸ってない――。

「はぁ……っ!」

 大きく息を吸うと、ドッと汗が噴出した。

「少しだけ緩めれるか――?」

 苦しげな顔はクリストファーも同じで、自分だけではなく彼も苦しいのだと気付いた。
 浅い息を何度も吸ったり吐いたりしていたら、ちょっとだけ身体が弛緩したような気がする。

「お前は息を忘れるな――」

 頷くとクリストファーは俺になだめるように口付けてくれた。
 二人の間で痛みに萎れた俺のソレを握って、クリストファーは優しく丁寧に刺激を与えた。息を吸うために口は塞がれなかったが、首筋や胸に口付けを受けると俺の身体も快感を追い始めた。

「クリス様……。何か変……。身体の奥が……っ」

 クリストファーは動かなかった。俺のソコが限界なのを知っているからだろうか。

「ん……、蠢いてきたな……」

 クリストファーの与える痛みと口付けに酔う。身の内の小刻みな震えは波のように押しては流れ、次第に大きなうねりのようになってきた。

「あっ……ああっ! ああ……んんっ……」

 首筋の噛み跡を舐められて、俺自身の先をカリッと指先で掻かれたそれだけであっけなく、イッた。どうなっているのか、内部が蠢くようにクリストファーを締め付けた。俺の身体の震えだけで、中のクリストファーも果てたようだった。恐らくかなり辛かっただろうと思う。

「んっ……」

 呻くようにクリストファーが声を漏らして、俺の中に熱いものが注ぎ込まれたのをビクビクと蠢く内部で俺は感じた。

「ロッティ――」

 こんな時でも、俺の名前は呼んでもらえない――。
 ロッティの名前でなければ価値がないと知った遠い昔のように悲しい気持ちで、俺は名前を呼んでもらうことを諦めていた。
 誰もルーファスなど欲しがらない――。

「あっ……」

 クリストファーが力を失ったソレを抜いた瞬間、思わず声が上がった。少し寂しいのは、埋められていたものがソレだけでなく、温かい気持ちもあったからだろうか。

「好きなんだ……ロッティ。いや、そんな言葉じゃ足りない。――お前を愛してる」

 もう一度今度は背中から抱きしめられた。その切羽詰ったクリストファーの低い声が敏感になった首筋を突き抜けた。
 身を震わせて、その男の手に自分の手を重ねた。
 もう一度クリストファーが背後から抱きしめながらゆっくりと入ってきた。先程と違うのはクリストファーの注いだものが潤滑油の役目を果たして、スムーズになったからだろう。

 うん、知ってる。あなたは優しい人だ。俺を貶めないように愛まで囁いてもらえるなんて、なんて幸せなんだろう。
 でも分かっている。駄目なんだよね。

 ――だって俺、男なんだもん。王太子の嫁にはなれない……。

「ごめんな……さ……」

 謝ったのは、あなたに無理やり俺を抱かせた事。欲しかった言葉を言わせてしまったこと。

「俺……クリス様の……ことが……好き……なんです――」
「だからっ、私を煽るとお前が苦しむだけだと……」

 クリストファーは、二度目を躊躇しなかった。俺の身体がクリストファーを受け入れていることが分かったからだろう。それでも気をつけて、ゆっくりと動いてくれるクリストファーの手を握って、俺は自分のソレを扱いた。クリストファーのごつい指が俺の快感を煽ってくる。

「……あ、ああっ! あ、あ、ああ……あああ――っ!」

 絶頂はあっという間にやってきた。クリストファーは、俺の頭に口付けをおとしながら「ロッティ、可愛い――」と腰を振った。俺はもう身体に力も入らず、揺さぶられるだけになっていた。
 クリストファーは何度も俺を追い上げ、自身を放ち、俺に煽ることの恐ろしさを教え込んだのだった。
 俺は、何度目かの放出後意識を飛ばしてしまい、どうなって終わったのかわからないまま、次の朝というか昼まで眠りについたのだった。
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