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私の想いを受け止めてくれる人
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寝室が模様替えされていて驚いた。事件が起こった部屋だからだろう。知らない部屋のようなのに、無意識に寝台の側にピピを探してしまった。出会ってからそんなにたっていないのに、いないことに慣れるのには少し時間がかかりそうだ。
模様替えはきっとセリアが指示してくれたのだろう。調度品の高級感は全く違うのに、私の好きなグリーンだからか、すぐに馴染めそうな気がした。
「ミィ、鳥を贈ろうか?」
フェリクスは、私がピピを探してしまったことに気付いてそう訊ねた。
「フェリクス様が帰ってきてくださるのでしたら、寂しくありません」
「そうか。寂しく感じてくれていたんだな」
ピピはフェリクスのいない寂しさを埋めてくれていた。愛らしい仕草や美しい声に見惚れることは多かったけれど、籠の中に一匹では寂しいのではないかと思っていた。それにピピによく似た鳥が青空に羽ばたいていく姿を見たら、籠の中は狭すぎるように思えた。
「はい。一人は寂しいのです」
「そうやって私を嬉しがらせることができるのはミィだけだ……」
そっと唇が降りてきて、私は目を瞑って彼の口付けを受け入れた。優しく啄むように唇を撫で、吐息が熱を帯びる。
ポスッと軽い音で寝台に横たえられて目を開けると、フェリクスの黒い瞳が私を見つめていた。視線が合うとお互いに笑ってしまった。今まで何度も身体を合わせてきたのに、こんなに穏やかな気持ちは初めてだった。
「ミィのそんな顔は初めてだ」
「私もフェリクス様のそんな顔を初めて見ました」
お互いにいつもと違うと思っていたようだ。
「ミィはいつも緊張して強張っていたからね。自分が非道な強姦魔になった気分だった」
「フェリクス様が怖い顔をしていたからですよ」
「怖い顔をしていた?」
そんなつもりはなかったのだろう。けれど、眉間に力が入った美形の顔は何を考えているのか見当もつかなくて怖かった。触れる指は優しく、私と目が合うと微笑む姿は大聖堂の天使のようなのに、ギャップが激しくて結果私は固まっていた。フェリクスが蕩けさせてくれるまで時間が掛かっていたのだ。
「はい、ここに力が入っていました」
「ああ、ミィが受け入れてくれるかいつも心配だった。どうしたら気持ち良くなってくれるのかずっと試行錯誤だった」
眉間を押さえると、フェリクスは苦笑した。フェリクスは余裕があると思っていたのに、そうではなかったのだと知った。
「気持ち良かったです……。いつもフェリクス様は私を蕩けさせるので、百戦錬磨なのだと思っておりました」
「ミィに上手だと思われていたのなら、よしとしよう。……私の努力が実っていたようで嬉しいよ」
フェリクスは顔から一瞬表情を消して、笑顔を作った。まさに作り笑いとわかるほどの。
「フェリクス様?」
「ミィ、私はミィじゃないとこんな風にならないんだと覚えておいて?」
「あ……フェリクス様っ」
彼はそう言って、寝台を降りた。上着を脱いで、下も脱いで横の椅子に掛けた。
何も纏っていない筋肉質な身体は、まるで彫刻のようだ。滑らかで、傷一つない……ように見えたけれど、左脚の膝に少しだけ傷跡が残っている。
「ジッと見られると、恥ずかしい」
「そ、そんなに見て……ました」
嘘はつけなかった。隆々と勃ちあがるそれをグロテスクで怖いと思ったのはそう前のことではないのに、今はそれすら愛しく感じるのだから私の目はおかしくなっているのかもしれない。
「正直だな。ミィ、君も脱いで?」
いつも脱がせてくれるフェリクスの言葉に、私は戸惑いながらもドレスの腰にあるリボンを解いた。閨のドレスというだけあって、解いた瞬間幾重にもドレープを描いた絹はストンと肩から滑り落ちた。ドレスの花の上に座っているような格好になってしまって、私は自然と胸を隠してしまう。
「ミィ、隠さないで?」
フェリクスは命令ではなく、私に願う。胸を隠してしまうのは女としての本能だ。腕を外すことにもためらいがあるけれど、手の持って行き場に困ってしまった。
フェリクスを見上げると、彼は柔らかく微笑んで私の胸を見ていた。視線を感じただけでまるで触られているような気分になってしまうのは何故だろうか。
「フェリクス様……」
思いきって手を伸した。いつまでも無言で視線を受け止める胆力が私にはなかった。
「もっと私を求めて――?」
「抱きしめて……」
寝台に膝をついたフェリクスは、力強く私を抱擁した。湧き上がってくるのは愛情なのか肉欲なのかわからない。けれど、今、私はそれを求めている。
フェリクスは私の顎をひき、唇を開いて舌を差し込んだ。口付けの仕方は覚えている。フェリクスはデザートを味わうように舐り、私の舌がジィンと痺れるまで絡めた。私もそれに応えていると、互いの唾液がどちらのものかわからないくらいに混じり合っていく。飲み込めない唾液が口の端から零れ、それを追ってフェリクスの舌は私の喉をなぞり、鎖骨に到着する。触られてもいない胸先が尖って痛みを感じた。
「ミィ、おっぱいがたってる」
「んぅ、フェリクス様……っ触ったら――あんっ」
指先が触れただけなのに、お腹の奥がキュウと収縮したのがわかった。
「可愛い声だ」
フェリクスの舌は、胸の先端を舐めて突いた。やわやわと胸の膨らみを手でもみ、圧をかけると胸の形が指で変形した。フェリクスの手にはささやかすぎる胸だが、彼はそんなことを気にしないようだ。
「やぁ……そんなに揉まないで……」
「ごめん、柔らかくて気持ちいいから」
止まらないといいながら、彼は首筋を軽く噛んだ。そして、音を立てて吸う。
「フェリクス様、そこ……駄目、見えちゃいます」
ドレスの襟元を高くしてもギリギリ見えてしまう位置に、彼は徴をつけた。今までそんな高い場所につけられたことはない。
「見せたいんだ。皆に報せたい。ミィは私のものだとね」
その気持ちはよくわかるけれど、見せられた方は困惑するだろう。セリアにチョーカーで誤魔化せないか聞いてみようと考えていると、フェリクスがもう一つ違う場所につけた。
「ミィ、よからぬことを企んでいるんじゃないのかい? そんな顔をしているよ」
「よからぬことをするのはフェリクス様ではありませんか」
ムムッと眉間に皺を寄せて、フェリクスは私を寝台の上におしつけた。
「よからぬことと言うのはこういうことだ」
膝を持ち上げられて、私は息を飲んだ。
「あっ、駄目っ、そこは……っ!」
フェリクスは私の脚の間に顔を埋めた。小さな花芯に口付けられると、私の身体が寝台の上で跳ねた。彼は猫がミルクを舐めるような音をたてて何度もそこを舐めた。
「んっう……フェリクス様――、そこ駄目なの、我慢でき……ないっ」
一番快感が生み出される場所だと知っている。指で刺激されただけですぐに息が上がり、気をやってしまう。フェリクスはそれを知っているのに、止めてくれない。
「ミィ、泉が溢れそうだ。栓をしてみようか」
「ヒィア……ッ……あんっ!」」
コプリと愛液が中から湧き出してくるのが自分でもわかった。舐めながら、指を隘路に差し込んだフェリクスは、指の先を少し曲げて内壁を押した。
恥ずかしくて、我慢できなくてシーツを握るしかできない私を嬉しそうに見ている。
「あ……ああっ! ン……だめ、あんっ! フェリ……クス様、達ってってしまいますっ」
「達っていいよ。ミィ、何度でも達って」
「あ、いやっ、フェリクス様っ! あああぁん」
達った後の身体はとても敏感だと知っているのに、フェリクスは花芯をゆっくりと舐めて私の身体を何度も跳ねさせた。
「ミィ、可愛い」
「久し振りだから……」
「少しキツいね。これじゃ私の分身が折れてしまうかもしれない」
真面目な顔でそう言った後、フェリクスはトロリとした液体が溢れる蜜壺に、二本の指を差し込んだ。私を気遣っているのか、緩慢な動きに受け入れた部分がキュッと包み込むように動いた。
「中、温かい。早く挿りたい」
「早く、ください」
私の中は既に準備ができている。二本の指を抜き差しし奥で開いては回転されると、中からは私の愛液の音が厭らしく淫靡に部屋に響いた。
「駄目だよ、もう少しね」
「いやっ、フェリクス様、欲しい……」
期待している身体を宥めるほうが大変だった。すぐに絶頂を駆け上っていこうとするのを力を抜いてやりすごしても、感度は上がっていく一方だからだ。
私の身体のことを思ってくれているなら、早く埋めて欲しかった。
「ミィ、でも……」
「痛くてもいいから……」
フェリクスの持ち物は、大きい。というか彼のしか知らないから比較対象としてあるわけではないけれど、お腹の中が一杯になる。受け入れる時に痛みがあることもないわけではないけれど、それでもいいと思える程に昂ぶっている。
「我が儘だね、ミィ。息を詰めないようにね」
私が涙を潤ませてお願いすると、フェリクスはようやく私の脚を抱えた。正面に見える彼の性器は準備万端で、先が光っている。私にソレをなすりつけ、彼はゆっくりと身を沈めた。
「う……んぅ――っ、あ……」
苦しそうな息になってしまった私の頬を撫で、フェリクスは先だけ挿れた状態で屈んで私に口付けた。
「気持ちいい――」
本当に幸せそうにフェリクスが微笑む。ドキッと心臓が早鐘のように打ち始め、頬が熱くなった。
「フェリクス様、ずるい……」
「ミィ?」
「何度私をときめかせたら気が済むんですか!」
最初はただの契約だと思っていた。色欲の権化だと思っていたのに、優しくて頼りになって、可愛い。そう、私はフェリクスの笑顔を見て、可愛いと思ってしまったのだ。いくつも年上の彼を。
「それはこっちの台詞だよ!」
「あっ! あんっ!」
話している間に奥へと進んでいた彼の先が私の奥に到達した。
「何度私の心を打ち抜くつもり?」
「ひぃっ……ア……あ、アッ、フ……アアッ!」
グチュッと水音を響かせて、フェリクスの腰が動く。その度に彼を逃がさないようにと内壁がうねって絡みついた。快楽の声が抑えられなくなり、手で口を押さえようとしたところをフェリクスの手が阻んだ。
右手と左手、左手と右手。汗ばむ手を握りしめられた。まるで標本の蝶が寝台という紙の上に釘付けられるように。
模様替えはきっとセリアが指示してくれたのだろう。調度品の高級感は全く違うのに、私の好きなグリーンだからか、すぐに馴染めそうな気がした。
「ミィ、鳥を贈ろうか?」
フェリクスは、私がピピを探してしまったことに気付いてそう訊ねた。
「フェリクス様が帰ってきてくださるのでしたら、寂しくありません」
「そうか。寂しく感じてくれていたんだな」
ピピはフェリクスのいない寂しさを埋めてくれていた。愛らしい仕草や美しい声に見惚れることは多かったけれど、籠の中に一匹では寂しいのではないかと思っていた。それにピピによく似た鳥が青空に羽ばたいていく姿を見たら、籠の中は狭すぎるように思えた。
「はい。一人は寂しいのです」
「そうやって私を嬉しがらせることができるのはミィだけだ……」
そっと唇が降りてきて、私は目を瞑って彼の口付けを受け入れた。優しく啄むように唇を撫で、吐息が熱を帯びる。
ポスッと軽い音で寝台に横たえられて目を開けると、フェリクスの黒い瞳が私を見つめていた。視線が合うとお互いに笑ってしまった。今まで何度も身体を合わせてきたのに、こんなに穏やかな気持ちは初めてだった。
「ミィのそんな顔は初めてだ」
「私もフェリクス様のそんな顔を初めて見ました」
お互いにいつもと違うと思っていたようだ。
「ミィはいつも緊張して強張っていたからね。自分が非道な強姦魔になった気分だった」
「フェリクス様が怖い顔をしていたからですよ」
「怖い顔をしていた?」
そんなつもりはなかったのだろう。けれど、眉間に力が入った美形の顔は何を考えているのか見当もつかなくて怖かった。触れる指は優しく、私と目が合うと微笑む姿は大聖堂の天使のようなのに、ギャップが激しくて結果私は固まっていた。フェリクスが蕩けさせてくれるまで時間が掛かっていたのだ。
「はい、ここに力が入っていました」
「ああ、ミィが受け入れてくれるかいつも心配だった。どうしたら気持ち良くなってくれるのかずっと試行錯誤だった」
眉間を押さえると、フェリクスは苦笑した。フェリクスは余裕があると思っていたのに、そうではなかったのだと知った。
「気持ち良かったです……。いつもフェリクス様は私を蕩けさせるので、百戦錬磨なのだと思っておりました」
「ミィに上手だと思われていたのなら、よしとしよう。……私の努力が実っていたようで嬉しいよ」
フェリクスは顔から一瞬表情を消して、笑顔を作った。まさに作り笑いとわかるほどの。
「フェリクス様?」
「ミィ、私はミィじゃないとこんな風にならないんだと覚えておいて?」
「あ……フェリクス様っ」
彼はそう言って、寝台を降りた。上着を脱いで、下も脱いで横の椅子に掛けた。
何も纏っていない筋肉質な身体は、まるで彫刻のようだ。滑らかで、傷一つない……ように見えたけれど、左脚の膝に少しだけ傷跡が残っている。
「ジッと見られると、恥ずかしい」
「そ、そんなに見て……ました」
嘘はつけなかった。隆々と勃ちあがるそれをグロテスクで怖いと思ったのはそう前のことではないのに、今はそれすら愛しく感じるのだから私の目はおかしくなっているのかもしれない。
「正直だな。ミィ、君も脱いで?」
いつも脱がせてくれるフェリクスの言葉に、私は戸惑いながらもドレスの腰にあるリボンを解いた。閨のドレスというだけあって、解いた瞬間幾重にもドレープを描いた絹はストンと肩から滑り落ちた。ドレスの花の上に座っているような格好になってしまって、私は自然と胸を隠してしまう。
「ミィ、隠さないで?」
フェリクスは命令ではなく、私に願う。胸を隠してしまうのは女としての本能だ。腕を外すことにもためらいがあるけれど、手の持って行き場に困ってしまった。
フェリクスを見上げると、彼は柔らかく微笑んで私の胸を見ていた。視線を感じただけでまるで触られているような気分になってしまうのは何故だろうか。
「フェリクス様……」
思いきって手を伸した。いつまでも無言で視線を受け止める胆力が私にはなかった。
「もっと私を求めて――?」
「抱きしめて……」
寝台に膝をついたフェリクスは、力強く私を抱擁した。湧き上がってくるのは愛情なのか肉欲なのかわからない。けれど、今、私はそれを求めている。
フェリクスは私の顎をひき、唇を開いて舌を差し込んだ。口付けの仕方は覚えている。フェリクスはデザートを味わうように舐り、私の舌がジィンと痺れるまで絡めた。私もそれに応えていると、互いの唾液がどちらのものかわからないくらいに混じり合っていく。飲み込めない唾液が口の端から零れ、それを追ってフェリクスの舌は私の喉をなぞり、鎖骨に到着する。触られてもいない胸先が尖って痛みを感じた。
「ミィ、おっぱいがたってる」
「んぅ、フェリクス様……っ触ったら――あんっ」
指先が触れただけなのに、お腹の奥がキュウと収縮したのがわかった。
「可愛い声だ」
フェリクスの舌は、胸の先端を舐めて突いた。やわやわと胸の膨らみを手でもみ、圧をかけると胸の形が指で変形した。フェリクスの手にはささやかすぎる胸だが、彼はそんなことを気にしないようだ。
「やぁ……そんなに揉まないで……」
「ごめん、柔らかくて気持ちいいから」
止まらないといいながら、彼は首筋を軽く噛んだ。そして、音を立てて吸う。
「フェリクス様、そこ……駄目、見えちゃいます」
ドレスの襟元を高くしてもギリギリ見えてしまう位置に、彼は徴をつけた。今までそんな高い場所につけられたことはない。
「見せたいんだ。皆に報せたい。ミィは私のものだとね」
その気持ちはよくわかるけれど、見せられた方は困惑するだろう。セリアにチョーカーで誤魔化せないか聞いてみようと考えていると、フェリクスがもう一つ違う場所につけた。
「ミィ、よからぬことを企んでいるんじゃないのかい? そんな顔をしているよ」
「よからぬことをするのはフェリクス様ではありませんか」
ムムッと眉間に皺を寄せて、フェリクスは私を寝台の上におしつけた。
「よからぬことと言うのはこういうことだ」
膝を持ち上げられて、私は息を飲んだ。
「あっ、駄目っ、そこは……っ!」
フェリクスは私の脚の間に顔を埋めた。小さな花芯に口付けられると、私の身体が寝台の上で跳ねた。彼は猫がミルクを舐めるような音をたてて何度もそこを舐めた。
「んっう……フェリクス様――、そこ駄目なの、我慢でき……ないっ」
一番快感が生み出される場所だと知っている。指で刺激されただけですぐに息が上がり、気をやってしまう。フェリクスはそれを知っているのに、止めてくれない。
「ミィ、泉が溢れそうだ。栓をしてみようか」
「ヒィア……ッ……あんっ!」」
コプリと愛液が中から湧き出してくるのが自分でもわかった。舐めながら、指を隘路に差し込んだフェリクスは、指の先を少し曲げて内壁を押した。
恥ずかしくて、我慢できなくてシーツを握るしかできない私を嬉しそうに見ている。
「あ……ああっ! ン……だめ、あんっ! フェリ……クス様、達ってってしまいますっ」
「達っていいよ。ミィ、何度でも達って」
「あ、いやっ、フェリクス様っ! あああぁん」
達った後の身体はとても敏感だと知っているのに、フェリクスは花芯をゆっくりと舐めて私の身体を何度も跳ねさせた。
「ミィ、可愛い」
「久し振りだから……」
「少しキツいね。これじゃ私の分身が折れてしまうかもしれない」
真面目な顔でそう言った後、フェリクスはトロリとした液体が溢れる蜜壺に、二本の指を差し込んだ。私を気遣っているのか、緩慢な動きに受け入れた部分がキュッと包み込むように動いた。
「中、温かい。早く挿りたい」
「早く、ください」
私の中は既に準備ができている。二本の指を抜き差しし奥で開いては回転されると、中からは私の愛液の音が厭らしく淫靡に部屋に響いた。
「駄目だよ、もう少しね」
「いやっ、フェリクス様、欲しい……」
期待している身体を宥めるほうが大変だった。すぐに絶頂を駆け上っていこうとするのを力を抜いてやりすごしても、感度は上がっていく一方だからだ。
私の身体のことを思ってくれているなら、早く埋めて欲しかった。
「ミィ、でも……」
「痛くてもいいから……」
フェリクスの持ち物は、大きい。というか彼のしか知らないから比較対象としてあるわけではないけれど、お腹の中が一杯になる。受け入れる時に痛みがあることもないわけではないけれど、それでもいいと思える程に昂ぶっている。
「我が儘だね、ミィ。息を詰めないようにね」
私が涙を潤ませてお願いすると、フェリクスはようやく私の脚を抱えた。正面に見える彼の性器は準備万端で、先が光っている。私にソレをなすりつけ、彼はゆっくりと身を沈めた。
「う……んぅ――っ、あ……」
苦しそうな息になってしまった私の頬を撫で、フェリクスは先だけ挿れた状態で屈んで私に口付けた。
「気持ちいい――」
本当に幸せそうにフェリクスが微笑む。ドキッと心臓が早鐘のように打ち始め、頬が熱くなった。
「フェリクス様、ずるい……」
「ミィ?」
「何度私をときめかせたら気が済むんですか!」
最初はただの契約だと思っていた。色欲の権化だと思っていたのに、優しくて頼りになって、可愛い。そう、私はフェリクスの笑顔を見て、可愛いと思ってしまったのだ。いくつも年上の彼を。
「それはこっちの台詞だよ!」
「あっ! あんっ!」
話している間に奥へと進んでいた彼の先が私の奥に到達した。
「何度私の心を打ち抜くつもり?」
「ひぃっ……ア……あ、アッ、フ……アアッ!」
グチュッと水音を響かせて、フェリクスの腰が動く。その度に彼を逃がさないようにと内壁がうねって絡みついた。快楽の声が抑えられなくなり、手で口を押さえようとしたところをフェリクスの手が阻んだ。
右手と左手、左手と右手。汗ばむ手を握りしめられた。まるで標本の蝶が寝台という紙の上に釘付けられるように。
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