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2.相談
しおりを挟む「あの、申し訳ないのですがキュハロス殿下。モモ様があまりに頻繁に教会にいらっしゃるので、少し、お控えいただけるようお伝えいただけませんでしょうか? 皆緊張してしまうようなのです」
結婚までに少しでもお互いを知ろうと殿下に提案された王宮でのお茶会。こんな些事で頼るのは失礼にあたらないか不安になりながらも、私は縋る思いで願いでた。
「ああ! そのことか、すまない。どうしてもモモが聖女であるフレイの技術を近くで学びたいと言うのでな……。だがもう数ヶ月にもなるし……そうだな。モモには、僕から伝えておこう」
「――ありがとうございます!」
私はほっと胸を撫で下ろし、再び殿下の穏やかな話し声に耳を傾けるのだった。
しかし、事態は悪化の一途を辿ることになる……。
「もうっ聖女様はっ。もっと素早く治癒して差しあげたらよかったのに!」
患者様が痛がっていて、わたくしの心もとっても痛みましたわ! と大げさに言うモモ様。キュハロス殿下に相談してから三ヶ月が経っていた。殿下を介してのモモ様の返答は「まだ聖女様のところで勉強したい。どうかもうしばらくお願いします」ということだった。殿下への告げ口もばれてしまい、現在はよりいっそう文句を言われている。
もう、限界だった。
私は簡素な自室の床にまっすぐ立った。そして左手にある黄色に輝く指輪を前にかかげて、
「私、第九十八代聖女フレイ・シャハレルは――」
ある言葉たちを唱える。そして指輪は……煌めきを失った。
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