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第五章 プレイ十三日目・後
#105 vs.シリウス・マギ決着
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まずい。シリウスは高速移動術【影渡】を持っている。そんな相手に矢を当てられる気がしない。けれど、マイは倒された。どうすればいい。どうすればいい!?
『やらせるかァ!』
「ッ! ――ええい、ままよ!」
シリウスが私に向かって走り出そうとする。仕方ない。事ここに至って、自信がないからといって射ない訳にはいかない。もうこれしか通じる手が思い付かないのだ。半ばやけくそに矢を射ようとする。その時だった。
「――【ガタノソアの呪腕】」
シリウスの足元に金杖が突き立てられる。ほぼ同時、床面に黒々が広がり、幾本もの腕がシリウスに絡み付いた。黒腕に触れられた箇所からあっという間にシリウスの肉体が石化する。
『これ……は……?』
この金杖こそは【巨神官の魔杖】、ルトちゃんの装備品だ。見れば、杖を投げた後の態勢のルトちゃんと目が合った。彼女の後ろでは注意を外された【受肉人形・似】がルトちゃんに【上級火炎魔術】を放とうとしていた。
「……へへ」
「ルトちゃん!」
薄く笑うルトちゃんが劫火に包まれる。思わず彼女に駆け寄りそうになってしまうが、それはいけない。折角ルトちゃんがシリウスに隙を作ってくれたのだ。ここで彼を仕留めなくては彼女に報いる事ができない。
「あ、ぁあああああ――っ!」
シリウスに【ダマスカスの幻想剣】を射る。これまでの戦闘経験で私は【命中補正A】を獲得している。外す事はまずない。
シリウスの頭部を剣が穿つ。如何に弾力に富んだ触手といえでもレア度最高位の剣だ。その攻撃力は半端ではない。シリウスの額に剣が深々と突き刺さり、勢いのまま背中から倒れる。床面にバウンド一回、仰向けとなるシリウス。以後、彼が再び動く事はなかった。
「……勝った……!」
リーダーが倒れた以上、残りの人達なんて最早烏合の衆に過ぎない。『まつろわぬ民』の計画はここに潰えたのだ。
『やらせるかァ!』
「ッ! ――ええい、ままよ!」
シリウスが私に向かって走り出そうとする。仕方ない。事ここに至って、自信がないからといって射ない訳にはいかない。もうこれしか通じる手が思い付かないのだ。半ばやけくそに矢を射ようとする。その時だった。
「――【ガタノソアの呪腕】」
シリウスの足元に金杖が突き立てられる。ほぼ同時、床面に黒々が広がり、幾本もの腕がシリウスに絡み付いた。黒腕に触れられた箇所からあっという間にシリウスの肉体が石化する。
『これ……は……?』
この金杖こそは【巨神官の魔杖】、ルトちゃんの装備品だ。見れば、杖を投げた後の態勢のルトちゃんと目が合った。彼女の後ろでは注意を外された【受肉人形・似】がルトちゃんに【上級火炎魔術】を放とうとしていた。
「……へへ」
「ルトちゃん!」
薄く笑うルトちゃんが劫火に包まれる。思わず彼女に駆け寄りそうになってしまうが、それはいけない。折角ルトちゃんがシリウスに隙を作ってくれたのだ。ここで彼を仕留めなくては彼女に報いる事ができない。
「あ、ぁあああああ――っ!」
シリウスに【ダマスカスの幻想剣】を射る。これまでの戦闘経験で私は【命中補正A】を獲得している。外す事はまずない。
シリウスの頭部を剣が穿つ。如何に弾力に富んだ触手といえでもレア度最高位の剣だ。その攻撃力は半端ではない。シリウスの額に剣が深々と突き刺さり、勢いのまま背中から倒れる。床面にバウンド一回、仰向けとなるシリウス。以後、彼が再び動く事はなかった。
「……勝った……!」
リーダーが倒れた以上、残りの人達なんて最早烏合の衆に過ぎない。『まつろわぬ民』の計画はここに潰えたのだ。
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