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第五章 プレイ十三日目・後
#103 おりゃあんなろォ――!
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短剣が迫る。悶えて逃れようとするが触手は固く結ばれている。私のパワーでは脱出できない。そのまま為す術なく刺殺されると覚悟した。しかし、
『ぐっ……な、何だ!? 体が動かない……!』
「!?」
短剣の刃が私の届く事はなかった。動画の停止ボタンを押したみたいに、短剣が私の胸部を突き立てる直前でピタリと止まった。
『……我が主か! 今の敗北し掛けたショックで目が覚めそうになったのか。もう一度眠らせねば……!』
どうやらシリウスに乗っ取られていたラトが何らかの抵抗をしたらしい。お陰で私は命拾いをしたけど、事態は解決していない。結局私の拘束が解かれた訳ではないのだ。
どうしたら――と現状に歯噛みした時に気付いた。
シリウスのすぐ後ろにマイが立っていたのだ。
「おりゃあんなろォ――!」
骨刀を振り下ろすマイ。再乗っ取りが間に合ったシリウスが間一髪で躱す。が、返す刃でマイが私に巻き付いた触手を叩き斬った。高い弾力性により完全切断こそできなかったが、半ばまで斬られて触手の拘束が緩む。解放された私が落下して尻餅を突く。
いつの間にか【影溜】は消えていた。持続時間が終了したのだ。
『貴様、テップは……!?』
「競り勝った!」
マイの言葉に視点を移せば、テップが床にうつ伏せになっていた。マイが勝利したのだ。
とはいえ、マイも無事に済んだという訳ではなかったようだ。彼女の【凶つ星の首飾り】が砕けている。一旦HPがゼロになったけど、ゾンビになって復活した証だ。テップにとっては敵のHPが倍になったも同然の理不尽だっただろう。
復活した後、ガチンコでテップに勝って、ゾンビ状態を治して回復アイテムでHPも満タンにしてから、こうして助けに来てくれたのだ。
「マイ、有難う!」
「当然だ!」
堂々と言い放つマイの顔はまさしく当然と言わんばかりだった。全く頼りになる女だ。
一方のルトちゃんはどうなったのだろうと、少し視線を逸らす。そこでは、
「【上級大地魔術】、【上級流水魔術】、【上級火炎魔術】――!」
『【上級疾風魔術】、【上級大地魔術】、【上級流水魔術】――!』
『ぐっ……な、何だ!? 体が動かない……!』
「!?」
短剣の刃が私の届く事はなかった。動画の停止ボタンを押したみたいに、短剣が私の胸部を突き立てる直前でピタリと止まった。
『……我が主か! 今の敗北し掛けたショックで目が覚めそうになったのか。もう一度眠らせねば……!』
どうやらシリウスに乗っ取られていたラトが何らかの抵抗をしたらしい。お陰で私は命拾いをしたけど、事態は解決していない。結局私の拘束が解かれた訳ではないのだ。
どうしたら――と現状に歯噛みした時に気付いた。
シリウスのすぐ後ろにマイが立っていたのだ。
「おりゃあんなろォ――!」
骨刀を振り下ろすマイ。再乗っ取りが間に合ったシリウスが間一髪で躱す。が、返す刃でマイが私に巻き付いた触手を叩き斬った。高い弾力性により完全切断こそできなかったが、半ばまで斬られて触手の拘束が緩む。解放された私が落下して尻餅を突く。
いつの間にか【影溜】は消えていた。持続時間が終了したのだ。
『貴様、テップは……!?』
「競り勝った!」
マイの言葉に視点を移せば、テップが床にうつ伏せになっていた。マイが勝利したのだ。
とはいえ、マイも無事に済んだという訳ではなかったようだ。彼女の【凶つ星の首飾り】が砕けている。一旦HPがゼロになったけど、ゾンビになって復活した証だ。テップにとっては敵のHPが倍になったも同然の理不尽だっただろう。
復活した後、ガチンコでテップに勝って、ゾンビ状態を治して回復アイテムでHPも満タンにしてから、こうして助けに来てくれたのだ。
「マイ、有難う!」
「当然だ!」
堂々と言い放つマイの顔はまさしく当然と言わんばかりだった。全く頼りになる女だ。
一方のルトちゃんはどうなったのだろうと、少し視線を逸らす。そこでは、
「【上級大地魔術】、【上級流水魔術】、【上級火炎魔術】――!」
『【上級疾風魔術】、【上級大地魔術】、【上級流水魔術】――!』
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