99 / 123
第五章 プレイ十三日目・前
#89 三本勝負の結末
しおりを挟む
「おお! やったなあ、すのこ!」
「やるじゃねえか、極振り巫女!」
マイやラトを始めに歓声が私を包む。ルトちゃんは拍手をしてくれているし、ロンちゃんはうんうんと頷いていた。
心地良い。これが勝利の味か。
仰向けになっていたゾヘドさんに天から光が降り注ぐ。これは【蘇生魔術】の光だ。恐らく死んだPCが会場外にリスポーンしないよう、その場で生き返らせるシステムになっているのだろう。
HPを満タンに回復したゾヘドさんが上半身を起こす。見事な仏頂面だった。顔を伏せ、ややあって顔を上げると駄々っ子のように叫んだ。
「っっっ、あ――――っ! 負けた! 悔しい! 悔しい悔しい悔しい!」
手足をばたつかせて全身で悔しさを表現するゾヘドさん。じたばたとする様はまさに子供だった。この人、一応設定年齢は十七歳+αなのに。可愛い人だなあ。
「――負けちゃったねえ、ゾヘド」
「はっ! マナ様!?」
なんて和んでいたらマナちゃんの声が土俵に届いた。振り向けば観客の向こうから、ラペさんがその長身を使って人垣を掻き分けていた。彼が作った道を辿ってマナちゃんが姿を現す。
「えっ、マナちゃん!? どうしてここに!?」
「そりゃあ三本勝負を認めたのは私だもん。勝敗が決したのなら沙汰を言い渡さなくちゃ」
沙汰を言い渡す。その言葉に思わず姿勢がピンとなる。
そう、三本勝負。私とゾヘドさんは三つのミニゲームの勝敗で決める事になっていたのだ。マナちゃんの計画に私を協力させるか否かを。協力に足る実力がないと見なされたなら、守秘として私の記憶を消す処断が下される事になっていた。
一本目のアイテム比べではゾヘドさんが勝った。
二本目のシューティングゲームでは私が勝った。
そして三本目の相撲では私が勝った。つまり、
「二本取ったのは二倉すのこ、貴女だよ。見事な戦いぶりだった。マナの権限において約束通り、貴女の記憶に手出ししない事と協力の許可を保障しよう」
「やるじゃねえか、極振り巫女!」
マイやラトを始めに歓声が私を包む。ルトちゃんは拍手をしてくれているし、ロンちゃんはうんうんと頷いていた。
心地良い。これが勝利の味か。
仰向けになっていたゾヘドさんに天から光が降り注ぐ。これは【蘇生魔術】の光だ。恐らく死んだPCが会場外にリスポーンしないよう、その場で生き返らせるシステムになっているのだろう。
HPを満タンに回復したゾヘドさんが上半身を起こす。見事な仏頂面だった。顔を伏せ、ややあって顔を上げると駄々っ子のように叫んだ。
「っっっ、あ――――っ! 負けた! 悔しい! 悔しい悔しい悔しい!」
手足をばたつかせて全身で悔しさを表現するゾヘドさん。じたばたとする様はまさに子供だった。この人、一応設定年齢は十七歳+αなのに。可愛い人だなあ。
「――負けちゃったねえ、ゾヘド」
「はっ! マナ様!?」
なんて和んでいたらマナちゃんの声が土俵に届いた。振り向けば観客の向こうから、ラペさんがその長身を使って人垣を掻き分けていた。彼が作った道を辿ってマナちゃんが姿を現す。
「えっ、マナちゃん!? どうしてここに!?」
「そりゃあ三本勝負を認めたのは私だもん。勝敗が決したのなら沙汰を言い渡さなくちゃ」
沙汰を言い渡す。その言葉に思わず姿勢がピンとなる。
そう、三本勝負。私とゾヘドさんは三つのミニゲームの勝敗で決める事になっていたのだ。マナちゃんの計画に私を協力させるか否かを。協力に足る実力がないと見なされたなら、守秘として私の記憶を消す処断が下される事になっていた。
一本目のアイテム比べではゾヘドさんが勝った。
二本目のシューティングゲームでは私が勝った。
そして三本目の相撲では私が勝った。つまり、
「二本取ったのは二倉すのこ、貴女だよ。見事な戦いぶりだった。マナの権限において約束通り、貴女の記憶に手出ししない事と協力の許可を保障しよう」
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
不遇職「罠師」は器用さMAXで無双する
ゆる弥
SF
後輩に勧められて買ってみたVRMMOゲーム、UnknownWorldOnline(通称UWO(ウォー))で通常では選ぶことができないレア職を狙って職業選択でランダムを選択する。
すると、不遇職とされる「罠師」になってしまう。
しかし、探索中足を滑らせて落ちた谷底で宝を発見する。
その宝は器用さをMAXにするバングルであった。
器用さに左右される罠作成を成功させまくってあらゆる罠を作り、モンスターを狩りまくって無双する。
やがて伝説のプレイヤーになる。
ツインクラス・オンライン
秋月愁
SF
兄、愁の書いた、VRMMO系の長編です。私、妹ルゼが編集してブレるとよくないなので、ほぼそのまま書き出します。兄は繊細なので、感想、ご指摘はお手柔らかにお願いします。30話程で終わる予定です。(許可は得ています)どうかよろしくお願いします。
病弱な私はVRMMOの世界で生きていく。
べちてん
SF
生まれつき体の弱い少女、夏凪夕日は、ある日『サンライズファンタジー』というフルダイブ型VRMMOのゲームに出会う。現実ではできないことがたくさんできて、気が付くとこのゲームのとりこになってしまっていた。スキルを手に入れて敵と戦ってみたり、少し食事をしてみたり、大会に出てみたり。初めての友達もできて毎日が充実しています。朝起きてご飯を食べてゲームをして寝る。そんな生活を続けていたらいつの間にかゲーム最強のプレイヤーになっていた!!
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
旧支配者のカプリチオ ~日本×1000年後×異世界化×TS×クトゥルフ神話~
ナイカナ・S・ガシャンナ
ファンタジー
■第2回ノベプラ大賞一次選考通過■
■HJ小説大賞2020後期一次選考通過■
【こういう方にオススメの作品です】
・スキルやギルドといった世界観は好き
・コンビ・カップリングが多いのも好き
・戦闘は辛勝する方が燃える
・たまにはダークなのも良いよね
・日本が話題になるとテンション上がる
・ポストアポカリプス! そういうのもあるのか
・TS(性転換)は浪漫
・TSを素直に受け入れていないとなお良い
・キャラは少しくらい狂っている方が魅力的だよね
・クトゥルフ神話に興味がある
【以下ちょっとだけ真面目なあらすじ】
西暦二〇XX年。降臨した邪神により人類は滅亡寸前に追い込まれた。
それから一〇〇〇年後、世界は剣と魔法の異世界と化していた。
主人公は二十一世紀の人間、二十九歳の会社員だ。
彼はある神秘により一〇〇〇年間も生き続け、紆余曲折を経て鬼娘に憑依した。
主人公は幾人もの狂人達と出会い、ドン引きしながらも、徐々に自らの立ち位置を確立していく。
――これは、未来に関心がなかった男が一〇〇〇年後の世界で、自らの価値を見つける話である。
※クトゥルフ神話とは言いましたが、知識ゼロでも問題なく読めます。
※2021年9月23日に設定を多少改訂致しました。シナリオは変わっていません。
※小説家になろう、ノベルアップ+、カクヨムにも掲載しています。
※この物語は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる