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第五章 プレイ十三日目・前
#71 開会式もてぇてぇかった
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それから一時間後。マイの左肩に俵担ぎされる私がそこにいた。
「おい、すのこ。大丈夫か?」
「だいじょばないぃ~。尊過ぎて腰が砕けちゃった~」
正直甘く見ていた。ただの開会式だと思っていた。主催が挨拶をしたりゲストを紹介したりして終わるだけだと思っていた。だけど、違った。
まさか開会式で生歌唱が行われるとは。
最初はマナちゃんのオープニングソング。続くは『燃眼三騎士』による三重奏。最後は三人とマナちゃんを合わせての四重奏。あまりの格好良さに会場のボルテージはもう鰻上り。私も興奮しっ放しだった。今や腰砕けで一人で歩けない。
いや、腰が砕けたのは私だけじゃない。
「……ん。ロント、かっこよかった」
マイの右脇の下、抱きかかえられたルトちゃんが恍惚な表情で言った。彼女もまたライブに魅了された人間だ。一人では会場から動けなくなった為、私同様こうしてマイに運んで貰っているのだ。
「ちょちょちょ、惚気!? 急なロンルトは待って、待って連続は心臓が! 心臓が保たない!」
「……あ。いや、違っ! ……んもう」
両手で顔を隠してしまうルトちゃん。が、指の隙間から耳まで真っ赤に染まっているのが見えている。
はァ~?? 可愛いかよ???
そのリアクション、ヤバ過ぎなんですけど?
「……でも、本当にロントかっこよかった。おっぱいのついたイケメンだった。……あ、でも、ロントそんなに胸なかった。おっぱいのないイケメン」
「乳がねえイケメンってそりゃただのイケメンじゃねえか?」
「ていうか、それ本人に言っちゃ駄目だからね、ルトちゃん」
貧乳は気にしている人は指摘されると滅茶苦茶キレるからね。基本的には禁句だ。
……まあキレている様子もまた可愛くて、それはそれで良いものなんだけど。だから煽る人も後が絶たないんだけどね。うぇへへ、いけないいけない。
『何かもう満足しちまったな……今日はもう解散にすっか』
『ああ、良いライブだった。ロンルトも見れた。もう腹いっぱいだ』
『お疲れっしたー』
チャット欄も腑抜けた事を言っていた。待って待って。気持ちはわかるけど、解散は待って。これからゾヘドさんと一大決戦をしなきゃいけないんだから、私。画面の前で応援してて。
「お、いたいた。よお、極振り巫女」
などとやり取りしていると声を掛けられた。マイに抱えられたままそちらを見ると、いたのはなんとあの女体化PK――ラトだった。
「おい、すのこ。大丈夫か?」
「だいじょばないぃ~。尊過ぎて腰が砕けちゃった~」
正直甘く見ていた。ただの開会式だと思っていた。主催が挨拶をしたりゲストを紹介したりして終わるだけだと思っていた。だけど、違った。
まさか開会式で生歌唱が行われるとは。
最初はマナちゃんのオープニングソング。続くは『燃眼三騎士』による三重奏。最後は三人とマナちゃんを合わせての四重奏。あまりの格好良さに会場のボルテージはもう鰻上り。私も興奮しっ放しだった。今や腰砕けで一人で歩けない。
いや、腰が砕けたのは私だけじゃない。
「……ん。ロント、かっこよかった」
マイの右脇の下、抱きかかえられたルトちゃんが恍惚な表情で言った。彼女もまたライブに魅了された人間だ。一人では会場から動けなくなった為、私同様こうしてマイに運んで貰っているのだ。
「ちょちょちょ、惚気!? 急なロンルトは待って、待って連続は心臓が! 心臓が保たない!」
「……あ。いや、違っ! ……んもう」
両手で顔を隠してしまうルトちゃん。が、指の隙間から耳まで真っ赤に染まっているのが見えている。
はァ~?? 可愛いかよ???
そのリアクション、ヤバ過ぎなんですけど?
「……でも、本当にロントかっこよかった。おっぱいのついたイケメンだった。……あ、でも、ロントそんなに胸なかった。おっぱいのないイケメン」
「乳がねえイケメンってそりゃただのイケメンじゃねえか?」
「ていうか、それ本人に言っちゃ駄目だからね、ルトちゃん」
貧乳は気にしている人は指摘されると滅茶苦茶キレるからね。基本的には禁句だ。
……まあキレている様子もまた可愛くて、それはそれで良いものなんだけど。だから煽る人も後が絶たないんだけどね。うぇへへ、いけないいけない。
『何かもう満足しちまったな……今日はもう解散にすっか』
『ああ、良いライブだった。ロンルトも見れた。もう腹いっぱいだ』
『お疲れっしたー』
チャット欄も腑抜けた事を言っていた。待って待って。気持ちはわかるけど、解散は待って。これからゾヘドさんと一大決戦をしなきゃいけないんだから、私。画面の前で応援してて。
「お、いたいた。よお、極振り巫女」
などとやり取りしていると声を掛けられた。マイに抱えられたままそちらを見ると、いたのはなんとあの女体化PK――ラトだった。
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