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第五章 プレイ十三日目・前
#70 ロンルトマジてぇてぇ!!!
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「……Vtuber活動を始めて、わたしはロントと出会った。わたしは幻夢境の人間。ロントはAI。本来なら交わる事のない間柄。……でも」
でも、電脳空間でならば交われる。電脳空間に構築された仮想現実ならば大抵の事は実現可能だ。現実には不可能な事でも、物理法則を無視して再現出来る。しかし、それは、
「……電脳空間にはね、温度はないの。寒くもなければ暑くもない。乾いてもいなければ湿ってもいない。誰かが設定しない限り、その空間には何もないの」
そう、それは所詮作り物だ。本物じゃない。勝手に空間内に雨が降ったり風が吹いたりする事はない。誰かがそうと望まない限り天候自体が存在しない。触れ合っても、その体温は誰かが作ったもの。本当の熱じゃない。照れて温度が上がる事も、冷や汗を掻いて下がる事もない。
私達人間がログインしているなら現実の肉体とシンクロさせる事は出来るけど、現実の肉体がないAIではそうはいかないだろう。マナちゃんやロンちゃんの体温も脈拍も技術者が設定した数値にしか過ぎない。
「……でも、『旧支配者のシンフォニア』なら。幻夢境と入り混じるここなら、温度が自然にある。……ううん、これから自然になる。誰かに弄られた数値なんかじゃない。本物のロントの熱がここに生まれるの」
だから、ルトちゃんはチクタクマン社に協力しているのだという。この世界でならロンちゃんと触れ合えるから。ロンちゃんの熱を感じられるから。
「……わたしはロントと一緒にいたい。ロントと一緒に生きたい。……だからセレファイスの事がなくても、わたしはロントに協力するの」
「そういう理由で……!」
ロンルトじゃん。ロンルトてぇてぇじゃんコレ!
つまりはロンちゃんを求めるが為に行動していると。それがルトちゃんの理由か。そんなの応援するしかないじゃん。応援ていうか支援するしかないじゃん。
やっぱり三本勝負、勝つしかない。ゾヘドさんには悪いけど、負けられない理由がもう一つ出来た。推しをなお推せる方法があるのを知っていながら推さないなんて何がファンか。是が非でも『共犯者』になるしかない。
「――おう、もう良いか?」
私達の話が終わったのを見計らってマイが姿を現した。今まで神社の階段の方に隠れていたようだ。
「マイ、もう来てたんだ」
「ああ。ルトからVtuberに関する話がお前にあるって言われてな。そうなると、一般プレイヤーのオレが聞く訳にはいかねえだろ? だから離れていた」
「そっか。有難う」
マイってば普段は大雑把なのに、こういう所では気遣ってくれるんだから。本当にいつも感謝しかない。さすがは私の幼馴染だ。
「よし、じゃあまずは開会式だ。行こうぜ」
「……ん。お祭りだもん、まずは楽しもう」
「うん!」
マイに頷き、彼女と右手を繋ぐ。反対側の手でルトちゃんとも手を繋いだ。そのまま私達は開会式会場――冒険者ギルド前へと向かった。
でも、電脳空間でならば交われる。電脳空間に構築された仮想現実ならば大抵の事は実現可能だ。現実には不可能な事でも、物理法則を無視して再現出来る。しかし、それは、
「……電脳空間にはね、温度はないの。寒くもなければ暑くもない。乾いてもいなければ湿ってもいない。誰かが設定しない限り、その空間には何もないの」
そう、それは所詮作り物だ。本物じゃない。勝手に空間内に雨が降ったり風が吹いたりする事はない。誰かがそうと望まない限り天候自体が存在しない。触れ合っても、その体温は誰かが作ったもの。本当の熱じゃない。照れて温度が上がる事も、冷や汗を掻いて下がる事もない。
私達人間がログインしているなら現実の肉体とシンクロさせる事は出来るけど、現実の肉体がないAIではそうはいかないだろう。マナちゃんやロンちゃんの体温も脈拍も技術者が設定した数値にしか過ぎない。
「……でも、『旧支配者のシンフォニア』なら。幻夢境と入り混じるここなら、温度が自然にある。……ううん、これから自然になる。誰かに弄られた数値なんかじゃない。本物のロントの熱がここに生まれるの」
だから、ルトちゃんはチクタクマン社に協力しているのだという。この世界でならロンちゃんと触れ合えるから。ロンちゃんの熱を感じられるから。
「……わたしはロントと一緒にいたい。ロントと一緒に生きたい。……だからセレファイスの事がなくても、わたしはロントに協力するの」
「そういう理由で……!」
ロンルトじゃん。ロンルトてぇてぇじゃんコレ!
つまりはロンちゃんを求めるが為に行動していると。それがルトちゃんの理由か。そんなの応援するしかないじゃん。応援ていうか支援するしかないじゃん。
やっぱり三本勝負、勝つしかない。ゾヘドさんには悪いけど、負けられない理由がもう一つ出来た。推しをなお推せる方法があるのを知っていながら推さないなんて何がファンか。是が非でも『共犯者』になるしかない。
「――おう、もう良いか?」
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「マイ、もう来てたんだ」
「ああ。ルトからVtuberに関する話がお前にあるって言われてな。そうなると、一般プレイヤーのオレが聞く訳にはいかねえだろ? だから離れていた」
「そっか。有難う」
マイってば普段は大雑把なのに、こういう所では気遣ってくれるんだから。本当にいつも感謝しかない。さすがは私の幼馴染だ。
「よし、じゃあまずは開会式だ。行こうぜ」
「……ん。お祭りだもん、まずは楽しもう」
「うん!」
マイに頷き、彼女と右手を繋ぐ。反対側の手でルトちゃんとも手を繋いだ。そのまま私達は開会式会場――冒険者ギルド前へと向かった。
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