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第四章 プレイ十二日目

#68 忠犬キャラって凄い可愛いよね

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「いや……という感じも何も……何を勝手に話を進めているの? しつけがなっていない仔犬だねぇ。うふふふふ……!」
「ひえっ、御免なさい! 調子に乗りました!」

 即行で謝罪の姿勢を取るゾヘドさん。手の平返しが音速を超えている。
燃眼三騎士トラペゾヘドロン』は全員マナちゃんには頭が上がらないけど、特に彼女はマナちゃんに絶対服従だ。本人の資質もあるだろうけど、忠犬キャラとしての宿命もあるのかもしれない。犬って従順なイメージがあるよね。

「……うん。でも、そっか。ロントとラペと違って、ゾヘドはすのこちゃんとは初対面だものね」

 ペコペコと平身低頭するゾヘドさんを前にしてマナちゃんが少し考える素振りをする。やがて彼女はこう結論を下した。

「いいよ。三本勝負、ひとまず認めよう。それでゾヘドがすのこちゃんの人柄を把握出来るっていうんならね」
「えっ、えええええっ!」

 本当にやるの、三本勝負!?
 仮に私が勝ったとしたら本当に私をプロジェクトに関わらせるつもりなのか。Vtuberとはいえ身分的には一般人の私を。良いのだろうか、そんな事を会社の上役に相談しないで決めて。
 とはいえ、看板Vtuberのマナちゃんの言葉なら大抵の事に通りそうな気もするけど。

 けれど、マナちゃんの願いに協力したい気持ちは嘘じゃないし、記憶を消されるのは絶対に嫌だ。その為にはゾヘドさんに私を認めて貰うしかないというのであれば――これはもう腹を括るしかない。
 勝たなくては。三本勝負。

「それはそれとして、私を挟まず話を進めた仔犬にはお仕置きをしないとね」
「えええええっ!? そんなぁ!」

 ゾヘドさんが目を丸くして愕然とする。そんなゾヘドさんにマナちゃんは無慈悲に、そして愉悦に満ちた顔で近付いた。ゾヘドさんが身を捩らせるが、逃げる事はしない。彼女の精神は逃げ出したくとも、忠犬キャラとしての肉体がマナちゃんから離れる事を拒んでいるのだ。

「うっふっふー。あ、すのこちゃんもお仕置き見学していく?」
「えっ、生を!? 私が見て良いんですか!? 是非!」
「コラァ! 人がお仕置きされている所を見るなんて趣味が悪いぞ!」
「口答えしないの――駄犬」
「ひゅいっ!」

 静かながら威圧感を醸すマナちゃんにゾヘドさんが委縮する。完全に飼い主と飼い犬の関係だ。
 その後、私は生マナゾヘをたっぷりと堪能させて頂いた。御馳走様です。
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