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第三章 プレイ三日目

#56 意味深な言葉

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『ワールドニュース! シスター・ルトさんと二倉すのこさんとマイさんのパーティーがボスエネミー【巨神官イマシュマモン】を初討伐しました! ダンジョン「ガタノソア遺跡・地下一階」の最速攻略者として記録されます!』

『二倉すのこのレベルが6に上がりました。パラメーターポイントが10ポイント付与されます。

 条件:「矢を累計で一〇〇本以上、戦闘中に消費する」を達成。
 スキル【命中補正D】を習得しました』

 耳に届くマナちゃんのアナウンスを聞きながら床にへたり込む。
 本当に強敵だった。デカ骨や四本腕のゾンビとは完全に一線を画していた。ボスエネミーとして登録されているのも納得の強さだった。

 けれど、それでも私達は勝った。紛れもなくこのダンジョンを攻略したのだ。
 チャット欄も『おめでとう』、『おめでとう』のコメントの嵐だ。こちらこそ応援有難う!

「おのれ、おのれぇい……!」

 消え去る間際、神官が恨みの声を上げる。地面を舐め、指一本すら動かせない有様だというのにその眼光は強くギラついていた。

「おのれ、『覚醒の世界』の侵略者共め……! 我らの幻夢境ドリームランドを奪いし者共に敗れるとは口惜しや……!」

『覚醒の世界』……?
 何だろう、それは。初めて聞く単語だ。今後のイベントに関係してくる何かだろうか。

「だが、これで終わりではない。我だけではないのだ。我だけが認めぬ訳ではないのだ。『』はまだまだいるという事を覚えておけ……!」

 恨み言を終え、神官が完全に消滅する。
 直後、神官が座っていた椅子に亀裂が入り、瞬く間に崩れ落ちた。瓦礫となった椅子の中から現れたのは宝箱だ。ボスエネミーを倒した報酬だ。あの宝箱の中身をゲットすれば、このダンジョンを完璧に攻略した事になる。

「神官のお尻で温められていた宝箱かぁ」
「いや確かにさっきまで座っていたけどよ。やめろよ、そういう言い方」

 まあ神官はミイラでひんやりしていそうだったし、実際には温まってはいないだろうけど。

「しっかし、あの神官、最後に妙な事を言っていたなぁ。『覚醒の世界』とか『まつろわぬ民』とかって何だろうね? ルトちゃんは何か知っています?」
「…………さあ? わたし知らない」

 ルトちゃんの沈黙がいつもより長い。元々もじもじと話をする彼女だが、今は一層内にこもった雰囲気だ。というか挙動不審だ。そっぽを向いて目が泳いでいる。明らかに何かを知っておきながら、それを隠そうとしている様子だ。こんなにもバレバレなリアクションがこの世にあって良いのだろうかと思う程にバレバレだ。

「あの……無理に言わなくても良いんですよ? もし未公開のイベントとかそういうのに関わるのなら私も何も聞きませんから」
「ん、んんんんん。……な、何の事か分からない。わたしは知らないもん……」

 まだ誤魔化そうとしている……。ともあれこれ以上は追及しない方が良さそうだ。焦り、涙目になっているルトちゃんは大層可愛らしいのだが、我慢我慢。コラ、チャット欄も『草』とか言わないの。
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