44 / 123
第三章 プレイ三日目
#39 初コラボ相手はあくまでルトちゃん
しおりを挟む
「てめぇ、この間は良くも巻き込んでくれたな!」
マイが包帯男に突っ掛かる。一方の私は唐突な再会にどうしたら良いか分からず立ち往生だ。
包帯男はばつが悪そうに頭を掻くとこう言った。
「いやあ、御免御免。僕もちゃんとお詫びしなきゃなーって思っていたんだけど、ほら、このゲーム、プレイヤーが一〇〇〇人もいるじゃん? 初日だからって皆ログインしているしさ。戻ってきた時にはもう君ら見つけらんなくって」
「ああ、それは……仕方ないですね」
このゲームでは全滅したプレイヤーはログイン前の画面に戻される。再ログインした時にはログイン地点――あの巨大な鳥居がある神社からスタートになる。後々ゲームの拡張に従ってログイン地点は増えるのだろうが、今はあの神社しかない。
なお、このゲームにデスペナルティーはない。強いて言うなら、いつどこで全滅しようとログイン地点にまで戻される事くらいか。フィールドで死のうとダンジョンで死のうと例外なくあの神社に戻される。遠征していたり何かの攻略中だったりする時は不便だ。逆に街に即座に帰りたい時には『死に戻り』という手段として使える。
「ウチのリスナーにも散々『ダッサ!』だの『これはぽんこつ』だの言われちゃってねぇ。いつかどうにかしなきゃなーって考えていたんだけど……いやあ、運が良いねぇ。まさかこんなにも早く再会出来るとは」
そうだったのか。それは何と言うか、お気の毒様だ。
「あれ? リスナーに言われたという事はあの時、私達って貴方の配信に映っていたんですか?」
「ん? ん-、映っていたっちゃー映っていたけど、映っていないっちゃー映っていないね。あの時、カメラ越しには僕以外のPCは全員、モザイクが掛かるように設定していたからさ。君らの顔も誰だか分かんないようになっていたよ」
「そうですか……」
「あ、映っていないの残念だった? それなら御免ね」
「い、いえ! そういう事では……!」
そうか、この人の配信には私が二倉すのことしては映っていなかったのか。つまり私とのコラボにはなっていなかったという訳だ。
別に誰が初めてのコラボ相手でも名誉な事だけど、ルトちゃんは私のお初だった事に喜んでくれた。彼女の笑顔を否定するような事にならなくて少しホッとしている。
それはともかく、今ここに彼がいるのなら一つ満たしたい好奇心がある。
「話を戻しますけど……その、それじゃあ、詫び代わりにと言っては何ですが……あ、貴方の名前を当てても良いですか?」
マイが包帯男に突っ掛かる。一方の私は唐突な再会にどうしたら良いか分からず立ち往生だ。
包帯男はばつが悪そうに頭を掻くとこう言った。
「いやあ、御免御免。僕もちゃんとお詫びしなきゃなーって思っていたんだけど、ほら、このゲーム、プレイヤーが一〇〇〇人もいるじゃん? 初日だからって皆ログインしているしさ。戻ってきた時にはもう君ら見つけらんなくって」
「ああ、それは……仕方ないですね」
このゲームでは全滅したプレイヤーはログイン前の画面に戻される。再ログインした時にはログイン地点――あの巨大な鳥居がある神社からスタートになる。後々ゲームの拡張に従ってログイン地点は増えるのだろうが、今はあの神社しかない。
なお、このゲームにデスペナルティーはない。強いて言うなら、いつどこで全滅しようとログイン地点にまで戻される事くらいか。フィールドで死のうとダンジョンで死のうと例外なくあの神社に戻される。遠征していたり何かの攻略中だったりする時は不便だ。逆に街に即座に帰りたい時には『死に戻り』という手段として使える。
「ウチのリスナーにも散々『ダッサ!』だの『これはぽんこつ』だの言われちゃってねぇ。いつかどうにかしなきゃなーって考えていたんだけど……いやあ、運が良いねぇ。まさかこんなにも早く再会出来るとは」
そうだったのか。それは何と言うか、お気の毒様だ。
「あれ? リスナーに言われたという事はあの時、私達って貴方の配信に映っていたんですか?」
「ん? ん-、映っていたっちゃー映っていたけど、映っていないっちゃー映っていないね。あの時、カメラ越しには僕以外のPCは全員、モザイクが掛かるように設定していたからさ。君らの顔も誰だか分かんないようになっていたよ」
「そうですか……」
「あ、映っていないの残念だった? それなら御免ね」
「い、いえ! そういう事では……!」
そうか、この人の配信には私が二倉すのことしては映っていなかったのか。つまり私とのコラボにはなっていなかったという訳だ。
別に誰が初めてのコラボ相手でも名誉な事だけど、ルトちゃんは私のお初だった事に喜んでくれた。彼女の笑顔を否定するような事にならなくて少しホッとしている。
それはともかく、今ここに彼がいるのなら一つ満たしたい好奇心がある。
「話を戻しますけど……その、それじゃあ、詫び代わりにと言っては何ですが……あ、貴方の名前を当てても良いですか?」
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
もうダメだ。俺の人生詰んでいる。
静馬⭐︎GTR
SF
『私小説』と、『機動兵士』的小説がゴッチャになっている小説です。百話完結だけは、約束できます。
(アメブロ「なつかしゲームブック館」にて投稿されております)
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
VRMMOを引退してソロゲーでスローライフ ~仲良くなった別ゲーのNPCが押しかけてくる~
オクトパスボールマン
SF
とある社会人の男性、児玉 光太郎。
彼は「Fantasy World Online」というVRMMOのゲームを他のプレイヤーの様々な嫌がらせをきっかけに引退。
新しくオフラインのゲーム「のんびり牧場ファンタジー」をはじめる。
「のんびり牧場ファンタジー」のコンセプトは、魔法やモンスターがいるがファンタジー世界で
スローライフをおくる。魔王や勇者、戦争など物騒なことは無縁な世界で自由気ままに生活しよう!
「次こそはのんびり自由にゲームをするぞ!」
そうしてゲームを始めた主人公は畑作業、釣り、もふもふとの交流など自由気ままに好きなことをして過ごす。
一方、とあるVRMMOでは様々な事件が発生するようになっていた。
主人公と関わりのあったNPCの暗躍によって。
※ゲームの世界よりスローライフが主軸となっています。
※是非感想いただけると幸いです。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる