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第二章 プレイ二日目

#35 企業勢の連絡先を手に入れてしまった

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 リストというのはざっくりいうとアドレス帳の事だ。登録には互いの同意が必要なのが普通のアドレス帳と違ってハードルが高いが、一度リストに登録されたプレイヤーとは通話をしたりログイン状態を確認したりする事が出来る。リストから直接パーティーに誘う事も可能だ。広大かつ多数のプレイヤーがいるMMOでは必須の機能だ。

 ……いや、しかし、そんな! ロンちゃんやルトちゃんをリストに入れようだなんて、そんな畏れ多い……! 近くで御尊顔や絡みを拝めただけでも感無量だというのに、今後も繋がりを保とうだなんて欲張り過ぎだ。
 ま、まあ本音を言えばそりゃあ連絡先は欲しいけど。めっちゃ欲しいですけれど。けれでも、それは高望みというものだろう。何事にもラインというものがある。それを越えてはならない。

「リストか。それは生憎だけど難しいね。チクタクマン社ボクのところはその辺りが厳しくてね。会社に許可を取らないと教えてはいけない事になっているんだ」
「あ、うん。ですよねー……」

 ロンちゃんの返答は予想通りだった。そりゃあまあそうだろうという答えだ。企業勢はその辺きちんとしないと後々トラブルになるからね。残念だけど仕方ない。

「……あの、わたしは平気だよ。ヒプノス・Cわたしのところはそういうの緩いから。だから、その、良かったらわたしと交換してくれる?」
「うぇえええええ!? い、良いんですか!?」
「……うん、いつでもパーティーに誘って。VTuberのお仕事があるから出られるかどうかまでは約束出来ないけど」
「いやいやいやいや! そのお言葉だけで充分ですから!」

 むしろ私の事なんか忘れてお仕事頑張って! そして配信でより多くのてぇてぇを見せてもろて!

「ボクも会社に頼んでみよう。問題がなかったら、その時はルトを通じて知らせるよ」
「ひょおわっ! あ、あ、有難う御座いますぅ!」

 エラい事になった。まさか企業勢と連絡先を交換してしまうなんて。望外にも程がある。私、今日中に死ぬんじゃないだろうか。運の使い過ぎで私、死んじゃうんじゃないのこれ?

「……じゃあ、これからもよろしく、すのこさん」
「ひゃ、ひゃい!」

「よろしく」の言葉と共にルトちゃんがとびきりの笑顔を見せてくれた。本物の天使の笑顔だ。あ、うん。これはもう私、死んでも満足だわ。むしろこの場で尊死するわ。てぇてぇが過ぎて心臓止まるわ。

 ……本当、テストプレイ二日目にしてエラい事になってしまった。
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