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第二章 プレイ二日目
#34 会話だけでも畏れ多いというのに
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「改めて自己紹介をしておこうか。ボクは夜凪ロント。今回は悪かったね、ボク達の無鉄砲に付き合わせて。二人のお陰で全滅を免れるどころか勝ちまで得られるとは。感謝するよ」
「……うん、本当にありがとう……ございます」
「あ、いえ、そんなそんな! いえいえいえ! こちらこそ!?」
二人の笑顔に思わず「こちらこそ」と言ってしまった。しかし、こんな美少女の笑顔を二人分も見られたのだからそりゃあ「こちらこそ有難う御座います」と返したくもなる。私はおかしくない。
「……ん? なあ、オレらお前らに名乗ったっけか? オレらのなんで名前知っているんだ?」
「いや頭の上、頭の上。そこに名前が書いてあるでしょ」
「あっ……そ、そうだったな」
マイが恥ずかしさに頬を赤く染める。前にも言ったが、このゲームではPC・NPCの名前は頭上に白文字で表示される。ちなみに、これは非表示にする事も可能で、包帯男ことラペさんの頭上には何も書かれていなかった。
「さて、助けてくれた礼をしなきゃなんだけど……ふむ、何にしようか」
「いっ!? お、お礼!? いや、そんな……おおおお構いなく!」
生ロンルトだけでも眼福だったというのに、これ以上のお礼なんて恐縮が過ぎる。そんなの罰が当たるというものだ。
「そうだなぁ。貸し借りはきちんとしなきゃいけねえからなぁ」
「ちょっとマイまで……!?」
何を失礼な事を言い出しているのか、この娘は。ロンちゃんは涼やかな笑みを浮かべているけど私はハラハラが止まらない。
「まずはデカ骨とゾンビから入手したアイテム、これはオレらのもんで良いよな?」
「ああ、それは勿論。問われるまでもないね」
「そうか……。お前、良い奴だな」
デカ骨が落とした宝箱はマイに、ゾンビが落とした宝箱は私に吸収された。今頃は『冒険者教典』のアイテム欄に追加されている筈だ。入手したのは私達なのだから成程確かにそれは私達の所有物になるのが道理だろう。
……もしルトちゃんやロンちゃんが「欲しい」と言ったら秒で差し出せる自信はあるけど。
「そんじゃあ、あとは……」
マイがちらりと私を横目で見る。何だろう?
「お前ら、良かったらこいつと連絡先交換してくれねえか? このゲームにはリストってのがあるんだろう? 折角出来た縁だしよ」
「えっ、えええええっ!?」
突然なんて事を言い出すんだこいつ!?
「……うん、本当にありがとう……ございます」
「あ、いえ、そんなそんな! いえいえいえ! こちらこそ!?」
二人の笑顔に思わず「こちらこそ」と言ってしまった。しかし、こんな美少女の笑顔を二人分も見られたのだからそりゃあ「こちらこそ有難う御座います」と返したくもなる。私はおかしくない。
「……ん? なあ、オレらお前らに名乗ったっけか? オレらのなんで名前知っているんだ?」
「いや頭の上、頭の上。そこに名前が書いてあるでしょ」
「あっ……そ、そうだったな」
マイが恥ずかしさに頬を赤く染める。前にも言ったが、このゲームではPC・NPCの名前は頭上に白文字で表示される。ちなみに、これは非表示にする事も可能で、包帯男ことラペさんの頭上には何も書かれていなかった。
「さて、助けてくれた礼をしなきゃなんだけど……ふむ、何にしようか」
「いっ!? お、お礼!? いや、そんな……おおおお構いなく!」
生ロンルトだけでも眼福だったというのに、これ以上のお礼なんて恐縮が過ぎる。そんなの罰が当たるというものだ。
「そうだなぁ。貸し借りはきちんとしなきゃいけねえからなぁ」
「ちょっとマイまで……!?」
何を失礼な事を言い出しているのか、この娘は。ロンちゃんは涼やかな笑みを浮かべているけど私はハラハラが止まらない。
「まずはデカ骨とゾンビから入手したアイテム、これはオレらのもんで良いよな?」
「ああ、それは勿論。問われるまでもないね」
「そうか……。お前、良い奴だな」
デカ骨が落とした宝箱はマイに、ゾンビが落とした宝箱は私に吸収された。今頃は『冒険者教典』のアイテム欄に追加されている筈だ。入手したのは私達なのだから成程確かにそれは私達の所有物になるのが道理だろう。
……もしルトちゃんやロンちゃんが「欲しい」と言ったら秒で差し出せる自信はあるけど。
「そんじゃあ、あとは……」
マイがちらりと私を横目で見る。何だろう?
「お前ら、良かったらこいつと連絡先交換してくれねえか? このゲームにはリストってのがあるんだろう? 折角出来た縁だしよ」
「えっ、えええええっ!?」
突然なんて事を言い出すんだこいつ!?
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