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第二章 プレイ二日目
#27 爆殺系ロリめっちゃカッコいい
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「あ、あのっ! この間のバトルロイヤル大会での優勝、おめでとう御座います!」
「……そうなの? あれ見てくれたんだ。えへへ、嬉しい」
「バトルロイヤル大会で? このお嬢ちゃんが? へえ……」
マイが意外だと顔をする。確かに、彼女の小動物系空気から銃撃戦による生存競争で優勝するというのは想像しにくいかもしれない。
しかし、彼女こそは火薬の覇者。VTuber同士のゲーム大会にて、その威力をまざまざと見せ付けた。
車で敵陣に突っ込み、制圧するその様は嵐が如く。引き際を見極め、敵の攻撃から身を隠す様は霞が如く。銃よりも爆弾を好んで使用し、圧倒的火力で他の参加者を寄せ付けなかった。当時の戦場は殆ど彼女の独壇場と化していた。
一方で追い詰められるとすぐに「ごめんなさいごめんなさい」と口走る。何に対して謝罪しているのか謎だが、とにかく謝り倒す。そんな両極端な彼女を視聴者達はこう称えた。
――『爆殺天使ルトちゃん』、または『全方位謝罪爆撃太郎』と!
……『全方位謝罪爆撃太郎』はあんまり良い愛称じゃなかったね。まあそれは置いといて。
「決着の仕方は本当に伝説だったんだよぅ。乱戦に次ぐ乱戦、敵を倒して疲労していたルトちゃんに接近する他の参加者。呂律が回ってない程に謝りながら逃げていたと思ったら、実は地雷に誘導していて一掃! あの鮮やかなハメ具合は見ていた皆がびっくりして、チャット欄が爆速だったもの!」
「……ありがと。えへへへへ。あれはわたし自身も出来過ぎだと思ったよ。でも、わたしが相手だったらあの場面こそが狙い目になるだろうなーっていう予想はしていたから。心臓がバクバクしてて痛い程だったけど」
「ひぃい、カッコいい……! この外見で歴戦の考え方しているのたまらん……!」
ギャップが凄くて鼻血が出そうだ。さすがは一流VTuberはキャラの濃さが違う。
「……あっ、うん、うん。そうだよね、話し込んでる場合じゃなかった」
ふとルトちゃんが虚空を見て何やら呟く。独り言ではなく明確な会話としての言葉だ。恐らくはチャット欄だろう。彼女は今、YabeeTubeで生配信中であり、視聴者が書き込んだチャット欄のコメントに反応しているのだ。
となると、私は今、彼女の配信に映っているのか。ヤッベ緊張してきた。胃がキリキリしてきたぞ。
「……ごめんなさい。いきなりだけど、わたしとパーティーを組んで」
「えっ、えっ!? ルトちゃんと私が!?」
そんな胃痛に苦しむ私にルトちゃんがとんでもない事を言い出した。登録者数一〇〇人の私に一〇〇〇〇〇人のルトちゃんがパーティーを申し込む? いやいやいや、なんて畏れ多い。格が違い過ぎる。こうして対面しているだけでも有難い事なのに、仲間になるだなんて身が縮む。
「……そうなの? あれ見てくれたんだ。えへへ、嬉しい」
「バトルロイヤル大会で? このお嬢ちゃんが? へえ……」
マイが意外だと顔をする。確かに、彼女の小動物系空気から銃撃戦による生存競争で優勝するというのは想像しにくいかもしれない。
しかし、彼女こそは火薬の覇者。VTuber同士のゲーム大会にて、その威力をまざまざと見せ付けた。
車で敵陣に突っ込み、制圧するその様は嵐が如く。引き際を見極め、敵の攻撃から身を隠す様は霞が如く。銃よりも爆弾を好んで使用し、圧倒的火力で他の参加者を寄せ付けなかった。当時の戦場は殆ど彼女の独壇場と化していた。
一方で追い詰められるとすぐに「ごめんなさいごめんなさい」と口走る。何に対して謝罪しているのか謎だが、とにかく謝り倒す。そんな両極端な彼女を視聴者達はこう称えた。
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……『全方位謝罪爆撃太郎』はあんまり良い愛称じゃなかったね。まあそれは置いといて。
「決着の仕方は本当に伝説だったんだよぅ。乱戦に次ぐ乱戦、敵を倒して疲労していたルトちゃんに接近する他の参加者。呂律が回ってない程に謝りながら逃げていたと思ったら、実は地雷に誘導していて一掃! あの鮮やかなハメ具合は見ていた皆がびっくりして、チャット欄が爆速だったもの!」
「……ありがと。えへへへへ。あれはわたし自身も出来過ぎだと思ったよ。でも、わたしが相手だったらあの場面こそが狙い目になるだろうなーっていう予想はしていたから。心臓がバクバクしてて痛い程だったけど」
「ひぃい、カッコいい……! この外見で歴戦の考え方しているのたまらん……!」
ギャップが凄くて鼻血が出そうだ。さすがは一流VTuberはキャラの濃さが違う。
「……あっ、うん、うん。そうだよね、話し込んでる場合じゃなかった」
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「……ごめんなさい。いきなりだけど、わたしとパーティーを組んで」
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