12 / 123
第一章 プレイ初日
#12 変な二人組が来たんですけど!
しおりを挟む
「そういえば、すのこはこれからどんな配信をするつもりなんだ?」
「ん? んー。どうしたの急に?」
これは珍しい事を言う。
マイは基本的に私の配信には興味がない。いや、正確には私の配信だけではなく、YabeeTuber自体にまるで関心がないのだが。彼女がこのゲームに付き合ってくれているのも私と幼馴染である以上の理由はない。そんなマイが私の配信を気にするなんてどんな風の吹き回しだろう。
「あー……まあ、何だ。今まではお前一人で配信してたけど、このゲームの中だとオレも一緒だろ? ゲームの事を配信するんならオレも配信の出来に関わってくるって思ってな。だから、お前がどういう配信するつもりなのかを聞いておきたかった」
「ま、マイ……!」
驚いた。マイがそこまで考えてくれていたなんて。ゲームに付き合ってくれるだけでも有難いのに、配信にまで気を使ってくれるなんて思わなかった。感激に胸を打たれるとはまさにこの事だ。そんな事を言われたなら私もきちんと答えなくちゃいけない。
……とはいっても、
「気持ちは嬉しいけど、実はそんなに決まってないんだよね。まだこのゲームの方向性も分かってないし」
「そうか。まあそりゃそうか」
「とりあえずイベントいっぱいやるって公式は言っていたから、それに参加していっぱい活躍しようと思ってる。その中で私の方向性が決まれば良いかな」
「そうかい、分かった。じゃあとりあえずそれに付き合うわ」
「うん、有難う」
私がお礼を言うとマイは当たり前だという顔で頷いた。やはり持つべきものは親友だな、うん。
「よし、それじゃあそろそろ訓練を再開するか。せめて一本くらいはお前の矢が当たるようにしねえとな」
マイが剣を肩に担いで場所を移そうとする。私もそれに付いていこうと立ち上がろうとした。その時だ。
「――いよお。そろそろ話良いかあ?」
背後から声を掛けられた。
いつの間にそこにいたのだろう。私達から十数歩離れた場所に二人の男女が立っていた。一人は筋肉モリモリマッチョマン。ジャケットは着ているもののほぼ上半身裸で、逞しい筋肉を見せ付けている。頭には黒牛の面を被っており、正直言ってあまり近寄りたくない風貌だ。
もう一人はビキニの女性だ。石英が散りばめられた金色の巻き髪に褐色の肌。ボンッキュッボンのボディを紺色のビキニと革のベルト、革の手甲で包んでいる。瞳は血の如き鮮やかな赤色であり、一目で現実にはいない人種だと理解する。
そんなビキニ女は残忍な笑みを浮かべると私達にこう言った。
「どーも、お二人さん。PKでございます。おい殺されねぇか?」
「ん? んー。どうしたの急に?」
これは珍しい事を言う。
マイは基本的に私の配信には興味がない。いや、正確には私の配信だけではなく、YabeeTuber自体にまるで関心がないのだが。彼女がこのゲームに付き合ってくれているのも私と幼馴染である以上の理由はない。そんなマイが私の配信を気にするなんてどんな風の吹き回しだろう。
「あー……まあ、何だ。今まではお前一人で配信してたけど、このゲームの中だとオレも一緒だろ? ゲームの事を配信するんならオレも配信の出来に関わってくるって思ってな。だから、お前がどういう配信するつもりなのかを聞いておきたかった」
「ま、マイ……!」
驚いた。マイがそこまで考えてくれていたなんて。ゲームに付き合ってくれるだけでも有難いのに、配信にまで気を使ってくれるなんて思わなかった。感激に胸を打たれるとはまさにこの事だ。そんな事を言われたなら私もきちんと答えなくちゃいけない。
……とはいっても、
「気持ちは嬉しいけど、実はそんなに決まってないんだよね。まだこのゲームの方向性も分かってないし」
「そうか。まあそりゃそうか」
「とりあえずイベントいっぱいやるって公式は言っていたから、それに参加していっぱい活躍しようと思ってる。その中で私の方向性が決まれば良いかな」
「そうかい、分かった。じゃあとりあえずそれに付き合うわ」
「うん、有難う」
私がお礼を言うとマイは当たり前だという顔で頷いた。やはり持つべきものは親友だな、うん。
「よし、それじゃあそろそろ訓練を再開するか。せめて一本くらいはお前の矢が当たるようにしねえとな」
マイが剣を肩に担いで場所を移そうとする。私もそれに付いていこうと立ち上がろうとした。その時だ。
「――いよお。そろそろ話良いかあ?」
背後から声を掛けられた。
いつの間にそこにいたのだろう。私達から十数歩離れた場所に二人の男女が立っていた。一人は筋肉モリモリマッチョマン。ジャケットは着ているもののほぼ上半身裸で、逞しい筋肉を見せ付けている。頭には黒牛の面を被っており、正直言ってあまり近寄りたくない風貌だ。
もう一人はビキニの女性だ。石英が散りばめられた金色の巻き髪に褐色の肌。ボンッキュッボンのボディを紺色のビキニと革のベルト、革の手甲で包んでいる。瞳は血の如き鮮やかな赤色であり、一目で現実にはいない人種だと理解する。
そんなビキニ女は残忍な笑みを浮かべると私達にこう言った。
「どーも、お二人さん。PKでございます。おい殺されねぇか?」
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説

バグった俺と、依存的な引きこもり少女。 ~幼馴染は俺以外のセカイを知りたがらない~
山須ぶじん
SF
異性に関心はありながらも初恋がまだという高校二年生の少年、赤土正人(あかつちまさと)。
彼は毎日放課後に、一つ年下の引きこもりな幼馴染、伊武翠華(いぶすいか)という名の少女の家に通っていた。毎日訪れた正人のニオイを、密着し顔を埋めてくんくん嗅ぐという変わったクセのある女の子である。
そんな彼女は中学時代イジメを受けて引きこもりになり、さらには両親にも見捨てられて、今や正人だけが世界のすべて。彼に見捨てられないためなら、「なんでもする」と言ってしまうほどだった。
ある日、正人は来栖(くるす)という名のクラスメイトの女子に、愛の告白をされる。しかし告白するだけして彼女は逃げるように去ってしまい、正人は仕方なく返事を明日にしようと思うのだった。
だが翌日――。来栖は姿を消してしまう。しかも誰も彼女のことを覚えていないのだ。
それはまるで、最初から存在しなかったかのように――。
※タイトルを『人間の中身はバグだらけ。 ~俺依存症な引きこもり少女と、セカイ系恋愛ファンタジー~』から変更しました。
※第18回講談社ラノベ文庫新人賞の第2次選考通過、最終選考落選作品。
※『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

海峡の護り ~休載中~
醍醐
SF
不定期更新
平成31年、津軽海峡に侵入した潜水艦と最新鋭護衛艦『斐伊』の静かな戦い…
この世界の日本では、以下の点が現代と異なります。
・海上自衛隊の艦名が漢字表記になっている。
・憲法改正により、現場指揮官による実力行使が可能(ただし、先制攻撃は不可能。)
・天皇陛下の退位は行われていないので、元号は『平成』のまま。

<フリーライフ・クラフト・オンライン>
与都 悠餡
SF
〈簡単なあらすじ〉ストラテジーゲームやSRPGのようなゲームが大好きなOLが【換金可能】という触れ込みをきっかけにモノづくり系VRMMOストラテジー〈フリーライフ・クラフト・オンライン〉に手を出す。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる