6 / 123
第一章 プレイ初日
#6 こういうので極振りは最早嗜みだよね
しおりを挟む
「パラメーターはどうする?」とマナちゃんは私に問うた。
このゲームにおいてパラメーターはレベル、体力、魔力、筋力値、生命値、精神値、敏捷値、器用値、幸運値の九種類がある。この内、レベルと体力と魔力以外のパラメーターはキャラ作成時とレベルアップ時に与えられるポイントを振る事で数値を上げられる。
「精神値って?」
「魔術の威力やレベルアップ時の魔力の上昇具合を決めるパラメーターだよ。他のゲームで言う所の知性値みたいなのと思って貰えれば良いかな」
「成程……」
この世界では知力ではなく精神力が魔法の優劣を左右するのか。確かに知性999でありながらお馬鹿な行動するRPGのキャラクターとかに「何やねんお前」って思った事、何度かあるしな。精神力の方がまだ説得力があるかな。
いずれにしてもプレイヤーである私の知性も精神力も影響しないのだけど。
「あの……極振りってネタになると思いますか?」
おずおずと手を上げてマナちゃんに問う。
極振り。それはプレイヤーがパラメーターの数値を自分で振り分けられるゲームの場合に、一つのパラメーターにポイントを全部注ぎ込むスタイルの事だ。これによってPCはかなりピーキーな性能になり、普通のプレイでは味わえない面白さが生まれる。その分、扱いはかなり難しくなるのだけれど。
「ほーん、すのこちゃんも極振り勢? なるにはなるけど、ネタ被りはするかな。もう既に幸運値極振りとか器用値極振りとかいるし」
「そ、そうですか……」
ネタ被りしちゃってるかあ。皆、考える事は同じなんだな。いやでも、だからといって薄味のキャラを作っても刺激が足りないしなあ。どうせやるんならインパクトが欲しい。
「じゃあ、その、敏捷値にポイント全部でお願いします!」
「すのこちゃんも好き者だねぇ。止めないけど。そういう一見お馬鹿な……ゲフンゲフン。思い切った事する人、好きだし。けれど、それでも弓使いで敏捷値極振りってのはなかなか見ない組み合わせだねぇ」
普通はナイフ使いとか二刀流とか盗賊とかが敏捷値を求めるものだと思うけど、とマナちゃんが零す。私もそう思います。でも良いんです。弓でやりたい事があるのだから。
「はい、これがステータス画面ね」
そう言ってマナちゃんがどこからともなく取り出したのは一冊の本だった。
取扱説明書を読んだので知っている。この本の名前は『冒険者教典』――マナちゃんの言った通り、所有者のステータス画面を表示するアイテムだ。スキルの習得やアイテムの収納やプレイヤー同士の通話など他の機能も備わっている。
教典が宙に浮かび、ページが開かれる。表示されたのは私のパラメーターだ。
このゲームにおいてパラメーターはレベル、体力、魔力、筋力値、生命値、精神値、敏捷値、器用値、幸運値の九種類がある。この内、レベルと体力と魔力以外のパラメーターはキャラ作成時とレベルアップ時に与えられるポイントを振る事で数値を上げられる。
「精神値って?」
「魔術の威力やレベルアップ時の魔力の上昇具合を決めるパラメーターだよ。他のゲームで言う所の知性値みたいなのと思って貰えれば良いかな」
「成程……」
この世界では知力ではなく精神力が魔法の優劣を左右するのか。確かに知性999でありながらお馬鹿な行動するRPGのキャラクターとかに「何やねんお前」って思った事、何度かあるしな。精神力の方がまだ説得力があるかな。
いずれにしてもプレイヤーである私の知性も精神力も影響しないのだけど。
「あの……極振りってネタになると思いますか?」
おずおずと手を上げてマナちゃんに問う。
極振り。それはプレイヤーがパラメーターの数値を自分で振り分けられるゲームの場合に、一つのパラメーターにポイントを全部注ぎ込むスタイルの事だ。これによってPCはかなりピーキーな性能になり、普通のプレイでは味わえない面白さが生まれる。その分、扱いはかなり難しくなるのだけれど。
「ほーん、すのこちゃんも極振り勢? なるにはなるけど、ネタ被りはするかな。もう既に幸運値極振りとか器用値極振りとかいるし」
「そ、そうですか……」
ネタ被りしちゃってるかあ。皆、考える事は同じなんだな。いやでも、だからといって薄味のキャラを作っても刺激が足りないしなあ。どうせやるんならインパクトが欲しい。
「じゃあ、その、敏捷値にポイント全部でお願いします!」
「すのこちゃんも好き者だねぇ。止めないけど。そういう一見お馬鹿な……ゲフンゲフン。思い切った事する人、好きだし。けれど、それでも弓使いで敏捷値極振りってのはなかなか見ない組み合わせだねぇ」
普通はナイフ使いとか二刀流とか盗賊とかが敏捷値を求めるものだと思うけど、とマナちゃんが零す。私もそう思います。でも良いんです。弓でやりたい事があるのだから。
「はい、これがステータス画面ね」
そう言ってマナちゃんがどこからともなく取り出したのは一冊の本だった。
取扱説明書を読んだので知っている。この本の名前は『冒険者教典』――マナちゃんの言った通り、所有者のステータス画面を表示するアイテムだ。スキルの習得やアイテムの収納やプレイヤー同士の通話など他の機能も備わっている。
教典が宙に浮かび、ページが開かれる。表示されたのは私のパラメーターだ。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
旧式戦艦はつせ
古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる