37 / 81
お転婆お兄さん
しおりを挟む
「お転婆な珍獣お兄さんですね」
「…聞こうと思ってたけど、その珍獣ってなんだ?」
「歩夢が変態兄だって言うから、弟をそんな目で見るなんて珍獣みたいだと思っただけですよ」
やっぱり歩夢から俺ってそんな風に見えるのか、ショックだった。
そして歩夢の友人なら多分後輩だろう少年に、お姫様抱っこされてるこの状況はいったいなんだ?
落ちた俺を助けてくれたんだろうけど、そろそろ下ろして欲しい…周りの視線が痛い。
耐えきれなくて下ろしてと言ったら貸しがもう一つ増えてしまった。
少年は氷を溶かしてしまい、まだ照明があるのに足場が消えてしまった。
まだあるのになんで?と聞いたら「お兄さんは危なっかしいから」と言った。
でも全部照明に雷を当てないと帰れないと思ったら、また少年にお姫様抱っこされた。
「ちょっ、なんでまた…」
「これなら安全だろ」
そう思っていたら、少年の足が浮いて天井まで向かった。
少年の飛行魔法だろう、初めての飛行魔法で驚いて少年にしがみつく。
頭を抱えたせいか、少年が見えないと言っていて慌てて離れた。
「本当お転婆ですね、大人しくしてて下さい」と言われて、お転婆じゃないと言い返したかったが黙って照明に触れる。
この少年なら歩夢がどんな学園生活を送っているのか分かるかもしれない。
俺はただ普通に歩夢は学園ではどんな子なのか聞いただけだ、そんな不審者を見るような顔をされる覚えはない。
「…ストーカー?」
「なんでそうなるんだよ」
「歩夢の事なら俺よりお兄さんの方が詳しいよね」
確かに少年の言う通りだが、この学園に来て…俺の知らない歩夢がいるようで気になった。
「俺の知ってる歩夢は、可愛くて天使で無垢で俺の大切な弟なんだ」
「…無垢?天使?随分分厚いフィルターだな」
「フィルターじゃなくて本当に…」
「歩夢は毎日違う恋人がいて、寮の部屋にも連れ込んでいるな」
少年の言葉に開いた口が塞がらなかった、少年の言葉を全て信じるなら…
歩夢は生徒会長以外にも恋人がいるのか、しかも寮の部屋に連れ込んでって…
歩夢、いったいどうなっちゃったんだ?この学園に来てから可笑しくなったのか?
もしかしてこの少年も歩夢の恋人だったのか?顔が変わらないから何を考えてるか分からない。
最後の照明に触れて、少年の身体は下がっていき床に少々乱暴に降ろされた。
背中をぶつけて痛くて顔を歪ませた俺の前に少年はモップを見せた。
「俺の貸し一つ返してもらうからな」
「…あ、あぁ」
少年は床掃除を任されていて、氷を溶かして水にしてモップを動かしていて俺も手伝ってぞうきんで拭く。
こんな広いホールを一人で任されたなんて、風紀委員も酷い事するなぁ。
ちょっと制服が乱れていただけなのにな、ダンスホールの清掃は夜まで掛かった。
総合図書館を出ると、真っ暗で外灯だけが足元を照らしている。
腕と腰が痛くて、腕を回しながら歩いていくと少年は森と反対方向に歩いていく。
こんな夜に何処か用事でもあるのか?話からして歩夢と同室なんだよな。
「歩夢が待ってるんじゃないのか?何処に行くんだ?」
「待ってない、適当な場所で寝る」
「いや、だって部屋で歩夢一人…」
「また男連れ込んでるんだろ、安眠妨害だからあの部屋にはほとんど帰ってないんだよ」
そう言って、少年は暗闇の中に消えていき…俺も寮に帰ろうと森の中に歩いていったら。
歩夢が男を…じゃあナツの言った通り…歩夢はそんな事に…
ふと足を止めて、周りを見渡す…あれ?ここって何処だ?
朝と夜だと森の雰囲気が全然違う、俺…今どの辺にいるんだ?
外灯もないし、通い慣れた道でもないから迷ってしまった。
レオンハルトに迎えに来てもらおうかな、この時間だったらまだ寝るには早いし…心配してるかもしれない。
そう思いカバンに入れていたスマホを取り出そうと探した。
すると背後にガサガサと木が揺れる音を聞いて思わず振り返った。
手に雷を出して光の代わりにして目の前を見ても、何もなかった。
ただの風かと思ってカバンに目線を向けると、耳元で唸り声のようなものが聞こえた。
思いっきり後ろを振り返る、するとそこにいたのは呻き声を上げているお爺さんがいた。
夜という事を忘れて大きな叫び声を上げて、走り出した。
あ、あれって…ゆっ、ゆゆゆゆ……信じていない筈だが、本物?を見たら誰でもビビる。
俺は何処に向かってるのか分からない、ただ無我夢中で走っていた。
確実に離れている筈なのに、呻き声が耳から離れなかった。
幽霊が付いて来てるのか?もしかして憑かれたのか!?
慌てて走っていたから、足がもつれて地面に思いっきりダイブした。
あちこちを擦って痛い…立ち上がろうとしても、なにかが上に乗って動かない。
痛い、苦しいという地を這うような声が聞こえてくる。
まさかこの森に幽霊が出るなんて思っていなくて、もがいて逃げようとする。
すると、急に背中が軽くなり目の前に誰かの足が見えた。
あのお爺さんの足かと思って上を向けれなくなっていたら、お爺さんとは違う声が聞こえた。
「こんなところで、何をしてる?」
「…聞こうと思ってたけど、その珍獣ってなんだ?」
「歩夢が変態兄だって言うから、弟をそんな目で見るなんて珍獣みたいだと思っただけですよ」
やっぱり歩夢から俺ってそんな風に見えるのか、ショックだった。
そして歩夢の友人なら多分後輩だろう少年に、お姫様抱っこされてるこの状況はいったいなんだ?
落ちた俺を助けてくれたんだろうけど、そろそろ下ろして欲しい…周りの視線が痛い。
耐えきれなくて下ろしてと言ったら貸しがもう一つ増えてしまった。
少年は氷を溶かしてしまい、まだ照明があるのに足場が消えてしまった。
まだあるのになんで?と聞いたら「お兄さんは危なっかしいから」と言った。
でも全部照明に雷を当てないと帰れないと思ったら、また少年にお姫様抱っこされた。
「ちょっ、なんでまた…」
「これなら安全だろ」
そう思っていたら、少年の足が浮いて天井まで向かった。
少年の飛行魔法だろう、初めての飛行魔法で驚いて少年にしがみつく。
頭を抱えたせいか、少年が見えないと言っていて慌てて離れた。
「本当お転婆ですね、大人しくしてて下さい」と言われて、お転婆じゃないと言い返したかったが黙って照明に触れる。
この少年なら歩夢がどんな学園生活を送っているのか分かるかもしれない。
俺はただ普通に歩夢は学園ではどんな子なのか聞いただけだ、そんな不審者を見るような顔をされる覚えはない。
「…ストーカー?」
「なんでそうなるんだよ」
「歩夢の事なら俺よりお兄さんの方が詳しいよね」
確かに少年の言う通りだが、この学園に来て…俺の知らない歩夢がいるようで気になった。
「俺の知ってる歩夢は、可愛くて天使で無垢で俺の大切な弟なんだ」
「…無垢?天使?随分分厚いフィルターだな」
「フィルターじゃなくて本当に…」
「歩夢は毎日違う恋人がいて、寮の部屋にも連れ込んでいるな」
少年の言葉に開いた口が塞がらなかった、少年の言葉を全て信じるなら…
歩夢は生徒会長以外にも恋人がいるのか、しかも寮の部屋に連れ込んでって…
歩夢、いったいどうなっちゃったんだ?この学園に来てから可笑しくなったのか?
もしかしてこの少年も歩夢の恋人だったのか?顔が変わらないから何を考えてるか分からない。
最後の照明に触れて、少年の身体は下がっていき床に少々乱暴に降ろされた。
背中をぶつけて痛くて顔を歪ませた俺の前に少年はモップを見せた。
「俺の貸し一つ返してもらうからな」
「…あ、あぁ」
少年は床掃除を任されていて、氷を溶かして水にしてモップを動かしていて俺も手伝ってぞうきんで拭く。
こんな広いホールを一人で任されたなんて、風紀委員も酷い事するなぁ。
ちょっと制服が乱れていただけなのにな、ダンスホールの清掃は夜まで掛かった。
総合図書館を出ると、真っ暗で外灯だけが足元を照らしている。
腕と腰が痛くて、腕を回しながら歩いていくと少年は森と反対方向に歩いていく。
こんな夜に何処か用事でもあるのか?話からして歩夢と同室なんだよな。
「歩夢が待ってるんじゃないのか?何処に行くんだ?」
「待ってない、適当な場所で寝る」
「いや、だって部屋で歩夢一人…」
「また男連れ込んでるんだろ、安眠妨害だからあの部屋にはほとんど帰ってないんだよ」
そう言って、少年は暗闇の中に消えていき…俺も寮に帰ろうと森の中に歩いていったら。
歩夢が男を…じゃあナツの言った通り…歩夢はそんな事に…
ふと足を止めて、周りを見渡す…あれ?ここって何処だ?
朝と夜だと森の雰囲気が全然違う、俺…今どの辺にいるんだ?
外灯もないし、通い慣れた道でもないから迷ってしまった。
レオンハルトに迎えに来てもらおうかな、この時間だったらまだ寝るには早いし…心配してるかもしれない。
そう思いカバンに入れていたスマホを取り出そうと探した。
すると背後にガサガサと木が揺れる音を聞いて思わず振り返った。
手に雷を出して光の代わりにして目の前を見ても、何もなかった。
ただの風かと思ってカバンに目線を向けると、耳元で唸り声のようなものが聞こえた。
思いっきり後ろを振り返る、するとそこにいたのは呻き声を上げているお爺さんがいた。
夜という事を忘れて大きな叫び声を上げて、走り出した。
あ、あれって…ゆっ、ゆゆゆゆ……信じていない筈だが、本物?を見たら誰でもビビる。
俺は何処に向かってるのか分からない、ただ無我夢中で走っていた。
確実に離れている筈なのに、呻き声が耳から離れなかった。
幽霊が付いて来てるのか?もしかして憑かれたのか!?
慌てて走っていたから、足がもつれて地面に思いっきりダイブした。
あちこちを擦って痛い…立ち上がろうとしても、なにかが上に乗って動かない。
痛い、苦しいという地を這うような声が聞こえてくる。
まさかこの森に幽霊が出るなんて思っていなくて、もがいて逃げようとする。
すると、急に背中が軽くなり目の前に誰かの足が見えた。
あのお爺さんの足かと思って上を向けれなくなっていたら、お爺さんとは違う声が聞こえた。
「こんなところで、何をしてる?」
20
お気に入りに追加
680
あなたにおすすめの小説
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる