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お転婆お兄さん
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「お転婆な珍獣お兄さんですね」
「…聞こうと思ってたけど、その珍獣ってなんだ?」
「歩夢が変態兄だって言うから、弟をそんな目で見るなんて珍獣みたいだと思っただけですよ」
やっぱり歩夢から俺ってそんな風に見えるのか、ショックだった。
そして歩夢の友人なら多分後輩だろう少年に、お姫様抱っこされてるこの状況はいったいなんだ?
落ちた俺を助けてくれたんだろうけど、そろそろ下ろして欲しい…周りの視線が痛い。
耐えきれなくて下ろしてと言ったら貸しがもう一つ増えてしまった。
少年は氷を溶かしてしまい、まだ照明があるのに足場が消えてしまった。
まだあるのになんで?と聞いたら「お兄さんは危なっかしいから」と言った。
でも全部照明に雷を当てないと帰れないと思ったら、また少年にお姫様抱っこされた。
「ちょっ、なんでまた…」
「これなら安全だろ」
そう思っていたら、少年の足が浮いて天井まで向かった。
少年の飛行魔法だろう、初めての飛行魔法で驚いて少年にしがみつく。
頭を抱えたせいか、少年が見えないと言っていて慌てて離れた。
「本当お転婆ですね、大人しくしてて下さい」と言われて、お転婆じゃないと言い返したかったが黙って照明に触れる。
この少年なら歩夢がどんな学園生活を送っているのか分かるかもしれない。
俺はただ普通に歩夢は学園ではどんな子なのか聞いただけだ、そんな不審者を見るような顔をされる覚えはない。
「…ストーカー?」
「なんでそうなるんだよ」
「歩夢の事なら俺よりお兄さんの方が詳しいよね」
確かに少年の言う通りだが、この学園に来て…俺の知らない歩夢がいるようで気になった。
「俺の知ってる歩夢は、可愛くて天使で無垢で俺の大切な弟なんだ」
「…無垢?天使?随分分厚いフィルターだな」
「フィルターじゃなくて本当に…」
「歩夢は毎日違う恋人がいて、寮の部屋にも連れ込んでいるな」
少年の言葉に開いた口が塞がらなかった、少年の言葉を全て信じるなら…
歩夢は生徒会長以外にも恋人がいるのか、しかも寮の部屋に連れ込んでって…
歩夢、いったいどうなっちゃったんだ?この学園に来てから可笑しくなったのか?
もしかしてこの少年も歩夢の恋人だったのか?顔が変わらないから何を考えてるか分からない。
最後の照明に触れて、少年の身体は下がっていき床に少々乱暴に降ろされた。
背中をぶつけて痛くて顔を歪ませた俺の前に少年はモップを見せた。
「俺の貸し一つ返してもらうからな」
「…あ、あぁ」
少年は床掃除を任されていて、氷を溶かして水にしてモップを動かしていて俺も手伝ってぞうきんで拭く。
こんな広いホールを一人で任されたなんて、風紀委員も酷い事するなぁ。
ちょっと制服が乱れていただけなのにな、ダンスホールの清掃は夜まで掛かった。
総合図書館を出ると、真っ暗で外灯だけが足元を照らしている。
腕と腰が痛くて、腕を回しながら歩いていくと少年は森と反対方向に歩いていく。
こんな夜に何処か用事でもあるのか?話からして歩夢と同室なんだよな。
「歩夢が待ってるんじゃないのか?何処に行くんだ?」
「待ってない、適当な場所で寝る」
「いや、だって部屋で歩夢一人…」
「また男連れ込んでるんだろ、安眠妨害だからあの部屋にはほとんど帰ってないんだよ」
そう言って、少年は暗闇の中に消えていき…俺も寮に帰ろうと森の中に歩いていったら。
歩夢が男を…じゃあナツの言った通り…歩夢はそんな事に…
ふと足を止めて、周りを見渡す…あれ?ここって何処だ?
朝と夜だと森の雰囲気が全然違う、俺…今どの辺にいるんだ?
外灯もないし、通い慣れた道でもないから迷ってしまった。
レオンハルトに迎えに来てもらおうかな、この時間だったらまだ寝るには早いし…心配してるかもしれない。
そう思いカバンに入れていたスマホを取り出そうと探した。
すると背後にガサガサと木が揺れる音を聞いて思わず振り返った。
手に雷を出して光の代わりにして目の前を見ても、何もなかった。
ただの風かと思ってカバンに目線を向けると、耳元で唸り声のようなものが聞こえた。
思いっきり後ろを振り返る、するとそこにいたのは呻き声を上げているお爺さんがいた。
夜という事を忘れて大きな叫び声を上げて、走り出した。
あ、あれって…ゆっ、ゆゆゆゆ……信じていない筈だが、本物?を見たら誰でもビビる。
俺は何処に向かってるのか分からない、ただ無我夢中で走っていた。
確実に離れている筈なのに、呻き声が耳から離れなかった。
幽霊が付いて来てるのか?もしかして憑かれたのか!?
慌てて走っていたから、足がもつれて地面に思いっきりダイブした。
あちこちを擦って痛い…立ち上がろうとしても、なにかが上に乗って動かない。
痛い、苦しいという地を這うような声が聞こえてくる。
まさかこの森に幽霊が出るなんて思っていなくて、もがいて逃げようとする。
すると、急に背中が軽くなり目の前に誰かの足が見えた。
あのお爺さんの足かと思って上を向けれなくなっていたら、お爺さんとは違う声が聞こえた。
「こんなところで、何をしてる?」
「…聞こうと思ってたけど、その珍獣ってなんだ?」
「歩夢が変態兄だって言うから、弟をそんな目で見るなんて珍獣みたいだと思っただけですよ」
やっぱり歩夢から俺ってそんな風に見えるのか、ショックだった。
そして歩夢の友人なら多分後輩だろう少年に、お姫様抱っこされてるこの状況はいったいなんだ?
落ちた俺を助けてくれたんだろうけど、そろそろ下ろして欲しい…周りの視線が痛い。
耐えきれなくて下ろしてと言ったら貸しがもう一つ増えてしまった。
少年は氷を溶かしてしまい、まだ照明があるのに足場が消えてしまった。
まだあるのになんで?と聞いたら「お兄さんは危なっかしいから」と言った。
でも全部照明に雷を当てないと帰れないと思ったら、また少年にお姫様抱っこされた。
「ちょっ、なんでまた…」
「これなら安全だろ」
そう思っていたら、少年の足が浮いて天井まで向かった。
少年の飛行魔法だろう、初めての飛行魔法で驚いて少年にしがみつく。
頭を抱えたせいか、少年が見えないと言っていて慌てて離れた。
「本当お転婆ですね、大人しくしてて下さい」と言われて、お転婆じゃないと言い返したかったが黙って照明に触れる。
この少年なら歩夢がどんな学園生活を送っているのか分かるかもしれない。
俺はただ普通に歩夢は学園ではどんな子なのか聞いただけだ、そんな不審者を見るような顔をされる覚えはない。
「…ストーカー?」
「なんでそうなるんだよ」
「歩夢の事なら俺よりお兄さんの方が詳しいよね」
確かに少年の言う通りだが、この学園に来て…俺の知らない歩夢がいるようで気になった。
「俺の知ってる歩夢は、可愛くて天使で無垢で俺の大切な弟なんだ」
「…無垢?天使?随分分厚いフィルターだな」
「フィルターじゃなくて本当に…」
「歩夢は毎日違う恋人がいて、寮の部屋にも連れ込んでいるな」
少年の言葉に開いた口が塞がらなかった、少年の言葉を全て信じるなら…
歩夢は生徒会長以外にも恋人がいるのか、しかも寮の部屋に連れ込んでって…
歩夢、いったいどうなっちゃったんだ?この学園に来てから可笑しくなったのか?
もしかしてこの少年も歩夢の恋人だったのか?顔が変わらないから何を考えてるか分からない。
最後の照明に触れて、少年の身体は下がっていき床に少々乱暴に降ろされた。
背中をぶつけて痛くて顔を歪ませた俺の前に少年はモップを見せた。
「俺の貸し一つ返してもらうからな」
「…あ、あぁ」
少年は床掃除を任されていて、氷を溶かして水にしてモップを動かしていて俺も手伝ってぞうきんで拭く。
こんな広いホールを一人で任されたなんて、風紀委員も酷い事するなぁ。
ちょっと制服が乱れていただけなのにな、ダンスホールの清掃は夜まで掛かった。
総合図書館を出ると、真っ暗で外灯だけが足元を照らしている。
腕と腰が痛くて、腕を回しながら歩いていくと少年は森と反対方向に歩いていく。
こんな夜に何処か用事でもあるのか?話からして歩夢と同室なんだよな。
「歩夢が待ってるんじゃないのか?何処に行くんだ?」
「待ってない、適当な場所で寝る」
「いや、だって部屋で歩夢一人…」
「また男連れ込んでるんだろ、安眠妨害だからあの部屋にはほとんど帰ってないんだよ」
そう言って、少年は暗闇の中に消えていき…俺も寮に帰ろうと森の中に歩いていったら。
歩夢が男を…じゃあナツの言った通り…歩夢はそんな事に…
ふと足を止めて、周りを見渡す…あれ?ここって何処だ?
朝と夜だと森の雰囲気が全然違う、俺…今どの辺にいるんだ?
外灯もないし、通い慣れた道でもないから迷ってしまった。
レオンハルトに迎えに来てもらおうかな、この時間だったらまだ寝るには早いし…心配してるかもしれない。
そう思いカバンに入れていたスマホを取り出そうと探した。
すると背後にガサガサと木が揺れる音を聞いて思わず振り返った。
手に雷を出して光の代わりにして目の前を見ても、何もなかった。
ただの風かと思ってカバンに目線を向けると、耳元で唸り声のようなものが聞こえた。
思いっきり後ろを振り返る、するとそこにいたのは呻き声を上げているお爺さんがいた。
夜という事を忘れて大きな叫び声を上げて、走り出した。
あ、あれって…ゆっ、ゆゆゆゆ……信じていない筈だが、本物?を見たら誰でもビビる。
俺は何処に向かってるのか分からない、ただ無我夢中で走っていた。
確実に離れている筈なのに、呻き声が耳から離れなかった。
幽霊が付いて来てるのか?もしかして憑かれたのか!?
慌てて走っていたから、足がもつれて地面に思いっきりダイブした。
あちこちを擦って痛い…立ち上がろうとしても、なにかが上に乗って動かない。
痛い、苦しいという地を這うような声が聞こえてくる。
まさかこの森に幽霊が出るなんて思っていなくて、もがいて逃げようとする。
すると、急に背中が軽くなり目の前に誰かの足が見えた。
あのお爺さんの足かと思って上を向けれなくなっていたら、お爺さんとは違う声が聞こえた。
「こんなところで、何をしてる?」
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