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真剣勝負の末
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「委員長、彼は雷の魔導士のようです」
「ふん、ならあの仕事を任せよう」
ボールが触れたらトゲは消えたが、俺はボールを掴むことなくそのボールが手から滑り落ちてコロコロと落ちた。
敵チームにボールを取られてしまい、そのままゴールしてしまった。
いいところを見せようと張り切っていたからか、かっこ悪いところを見せてしまい落ち込んだ。
もし歩夢が見てたら、物凄く恥ずかしくて教室に戻ってからも頭を抱えていた。
ナツとヨシュアは「次頑張ろうぜ!」と励ましてくれた。
運動神経はいい方なんだけどな、二人の言う通り次は勝てるように頑張ろう。
昼休みになり、三人で食堂に向かって歩き出した…昨日は遅刻したから食堂には行けなかった。
二階の階段横に食堂はあり、扉を開けるとそこはオシャレなカフェのようだった。
空いてるテーブルに座ると、俺達のテーブルの真ん中に巨大なスクリーンが出現した。
慣れた手つきでナツはスクリーンに映し出された料理をタッチしていた。
ナツに続くようにヨシュアもメニューをタッチして、俺の番がやって来た。
見よう見まねでメニューを眺める、どれも知らない料理ばかりだ。
それにしてもナツとヨシュアとメニューが全然違っていた。
おかずは小皿一品だけで、半ライス…育ち盛りの男子高校生には少なすぎる。
そうか、これがランク別で食堂のメニューが違うってやつか。
「うわ、下級ランク同士でもこんなに違うんだ」
「だ、大丈夫だって!俺の料理分けてやるからさ!」
「……ううっ、ありがとう」
ナツとヨシュアはずっとB級でC級の料理を見た事がなかったそうだ。
おかずがあるだけマシだと思い、一つしかないメニューを頼んだ。
放課後は風紀委員室に呼び出されているし、今日は厄日かなにかだろうか。
料理が来るまで二人に寮について質問責めをされたが、正直あの寮で話す事はあまりない。
食堂も誰もいないし、レオンハルトしか帰ってきていないし…見た目は豪華だがお化け屋敷のようだった。
二人は用があっても行きたくないと口を揃えて言っていた。
「なんでだ?レオンハルト……せ、んぱいはいい人だよ?」
「確かにレオンハルト様はいい人だけど、ファントム様が」
「ファントム様?」
「晦冥の王位継承者様だよ、良かったな…初日に会わなくて」
レオンハルトを呼び捨てにしようとして慌てて先輩を付けた。
二人は気付いていないようで、話を続けていてホッとした。
ファントム様って言うのが、危険人物だと言っていた人か…昨日は会わなかったけど、いつか会うんだよなぁ。
ゾクッと悪寒が走り、早く料理来ないかなぁと厨房があるであろう場所を見つめていた。
すると、グループで話していて賑わっていた食堂がザワザワと騒がしい声に変わった。
不思議に思って周りを見渡すと、それは食堂の入り口だった。
とても華やかな集団が歩いていて、人目を惹き付けていた。
その中心人物を見て、俺は思わず椅子から立ち上がった。
「歩夢!」
その声に反応した歩夢は隣の奴と話しているのを止めて俺の方を向いた。
嫌そうな顔を隠しもしないが、そんな歩夢が可愛くて可愛くて歩夢に近付く。
今すぐ歩夢を抱きしめたかったが、寸前で隣の男に止められた。
「歩夢、この男は誰だ?」
「…お、お兄ちゃん…だよ」
「お兄ちゃん?何故人間がここにいるんだ」
「俺は先祖返りなんだ」
腰まで長い桃色の髪を一つに束ねていて、キザ男みたいだと思った。
でも歩夢は男の腕にしがみついていて、親しそうだな。
白い制服だから特クラスなのだろう、俺は思わず睨みつける。
男も不愉快そうに俺を見ていて、俺達の間に見えない火花が散る。
先祖返りという事はスルーされたから信じてくれた…と思う。
男に「歩夢から話は聞いている、随分俺の歩夢をやらしい目で見ているんだな…変態兄」と言われて首を傾げた。
やらしい目ってなんだ?俺のこの目は生まれつきなんだよ!
歩夢を見ると、何故か俺達の方を見ず壁の方を向いていた。
歩夢?どうかしたのか?と声を掛けようとしたら、両サイドから腕を掴まれた。
「うちの梓馬がすみません」
「梓馬、料理来たから行こう!」
「えっ!?ちょっと待って!」
二人に腕を引かれて、ズルズルと引きづられて元のテーブルに戻ってきた。
二人の言う通り、いつの間にか料理がテーブルに並べられていた。
歩夢の方を見ると、歩夢達は食堂の二階に向かっているところだった。
なんだろ、珍獣とかやらしい目とか…俺、他人からどう見られているんだ?
「なぁナツ、俺の顔どう思う?」
「えっ!?び、美人…だと思う」
隣にいるナツに俺がどう見えるか聞いてみた、美人?男に何言ってんだ?
目を見てくれとお願いしたら「綺麗な目だ」とよく分からない事を言っていた。
ナツは顔を真っ赤にしているが、大丈夫か?と手を伸ばすとヨシュアに止められた。
もしかしたらナツ、怒ってるのか?男に顔近付けられたらいい気はしないよな。
ナツに謝って夕飯を食べようと、俺の料理を見てみる。
……本当に少ない、美味そうだけど…少ない料理に落ち込む。
階級試験…だっけ、俺も少ない食事から脱出するために頑張ってみようかな。
約束通り、ナツとヨシュアにおかずを分けてもらいちょっと豪華になった。
「それにしても、歩夢と一緒にいた奴なんなんだよ…歩夢は懐いてたけど」
「弟から聞いてないのか?」
「…え?なにが?」
「ふん、ならあの仕事を任せよう」
ボールが触れたらトゲは消えたが、俺はボールを掴むことなくそのボールが手から滑り落ちてコロコロと落ちた。
敵チームにボールを取られてしまい、そのままゴールしてしまった。
いいところを見せようと張り切っていたからか、かっこ悪いところを見せてしまい落ち込んだ。
もし歩夢が見てたら、物凄く恥ずかしくて教室に戻ってからも頭を抱えていた。
ナツとヨシュアは「次頑張ろうぜ!」と励ましてくれた。
運動神経はいい方なんだけどな、二人の言う通り次は勝てるように頑張ろう。
昼休みになり、三人で食堂に向かって歩き出した…昨日は遅刻したから食堂には行けなかった。
二階の階段横に食堂はあり、扉を開けるとそこはオシャレなカフェのようだった。
空いてるテーブルに座ると、俺達のテーブルの真ん中に巨大なスクリーンが出現した。
慣れた手つきでナツはスクリーンに映し出された料理をタッチしていた。
ナツに続くようにヨシュアもメニューをタッチして、俺の番がやって来た。
見よう見まねでメニューを眺める、どれも知らない料理ばかりだ。
それにしてもナツとヨシュアとメニューが全然違っていた。
おかずは小皿一品だけで、半ライス…育ち盛りの男子高校生には少なすぎる。
そうか、これがランク別で食堂のメニューが違うってやつか。
「うわ、下級ランク同士でもこんなに違うんだ」
「だ、大丈夫だって!俺の料理分けてやるからさ!」
「……ううっ、ありがとう」
ナツとヨシュアはずっとB級でC級の料理を見た事がなかったそうだ。
おかずがあるだけマシだと思い、一つしかないメニューを頼んだ。
放課後は風紀委員室に呼び出されているし、今日は厄日かなにかだろうか。
料理が来るまで二人に寮について質問責めをされたが、正直あの寮で話す事はあまりない。
食堂も誰もいないし、レオンハルトしか帰ってきていないし…見た目は豪華だがお化け屋敷のようだった。
二人は用があっても行きたくないと口を揃えて言っていた。
「なんでだ?レオンハルト……せ、んぱいはいい人だよ?」
「確かにレオンハルト様はいい人だけど、ファントム様が」
「ファントム様?」
「晦冥の王位継承者様だよ、良かったな…初日に会わなくて」
レオンハルトを呼び捨てにしようとして慌てて先輩を付けた。
二人は気付いていないようで、話を続けていてホッとした。
ファントム様って言うのが、危険人物だと言っていた人か…昨日は会わなかったけど、いつか会うんだよなぁ。
ゾクッと悪寒が走り、早く料理来ないかなぁと厨房があるであろう場所を見つめていた。
すると、グループで話していて賑わっていた食堂がザワザワと騒がしい声に変わった。
不思議に思って周りを見渡すと、それは食堂の入り口だった。
とても華やかな集団が歩いていて、人目を惹き付けていた。
その中心人物を見て、俺は思わず椅子から立ち上がった。
「歩夢!」
その声に反応した歩夢は隣の奴と話しているのを止めて俺の方を向いた。
嫌そうな顔を隠しもしないが、そんな歩夢が可愛くて可愛くて歩夢に近付く。
今すぐ歩夢を抱きしめたかったが、寸前で隣の男に止められた。
「歩夢、この男は誰だ?」
「…お、お兄ちゃん…だよ」
「お兄ちゃん?何故人間がここにいるんだ」
「俺は先祖返りなんだ」
腰まで長い桃色の髪を一つに束ねていて、キザ男みたいだと思った。
でも歩夢は男の腕にしがみついていて、親しそうだな。
白い制服だから特クラスなのだろう、俺は思わず睨みつける。
男も不愉快そうに俺を見ていて、俺達の間に見えない火花が散る。
先祖返りという事はスルーされたから信じてくれた…と思う。
男に「歩夢から話は聞いている、随分俺の歩夢をやらしい目で見ているんだな…変態兄」と言われて首を傾げた。
やらしい目ってなんだ?俺のこの目は生まれつきなんだよ!
歩夢を見ると、何故か俺達の方を見ず壁の方を向いていた。
歩夢?どうかしたのか?と声を掛けようとしたら、両サイドから腕を掴まれた。
「うちの梓馬がすみません」
「梓馬、料理来たから行こう!」
「えっ!?ちょっと待って!」
二人に腕を引かれて、ズルズルと引きづられて元のテーブルに戻ってきた。
二人の言う通り、いつの間にか料理がテーブルに並べられていた。
歩夢の方を見ると、歩夢達は食堂の二階に向かっているところだった。
なんだろ、珍獣とかやらしい目とか…俺、他人からどう見られているんだ?
「なぁナツ、俺の顔どう思う?」
「えっ!?び、美人…だと思う」
隣にいるナツに俺がどう見えるか聞いてみた、美人?男に何言ってんだ?
目を見てくれとお願いしたら「綺麗な目だ」とよく分からない事を言っていた。
ナツは顔を真っ赤にしているが、大丈夫か?と手を伸ばすとヨシュアに止められた。
もしかしたらナツ、怒ってるのか?男に顔近付けられたらいい気はしないよな。
ナツに謝って夕飯を食べようと、俺の料理を見てみる。
……本当に少ない、美味そうだけど…少ない料理に落ち込む。
階級試験…だっけ、俺も少ない食事から脱出するために頑張ってみようかな。
約束通り、ナツとヨシュアにおかずを分けてもらいちょっと豪華になった。
「それにしても、歩夢と一緒にいた奴なんなんだよ…歩夢は懐いてたけど」
「弟から聞いてないのか?」
「…え?なにが?」
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