俺の弟が一番かわいい

ー結月ー

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レオンハルトの物語5

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梓馬が見たら大切にしそうな写真だ、弟が大好きな梓馬ならきっとそうするだろう。

でも、これを僕に見せる意味が分からない。

「三原歩夢、学校じゃ有名人だからお前も知ってるだろ」

「それが君達とどういう関係があるんだ?」

「三原歩夢は顔のいい男が好みらしい、だからお前…三原歩夢に近付いて情報を探れ」

「…なんでそんな事を」

「あのエルダが人間を使って何を企んでるのか知りたいんだよ」

「知ってどうするつもりだ」

「あ!?なんでお前にそこまで言わなきゃ」

「まぁいいじゃないか、エルダの弱みを握るため…王族だからいろいろと弱みを握れば便利だろ?」

そう言ってファントムは不敵に笑っていた。
なるほど、エルダの弱みか…ファントムらしい性格が悪い事だな。

僕が三原歩夢に近付く…顔がいいのならラルフやファントムが行けばいいだろ。
僕は演技が苦手なんだ、すぐに企んでいる事をバレるかもしれないだろ。

素直にそう言うと、ラルフは何故か三原歩夢に嫌われているから無理だと言っていた。
ファントムはこの学園では有名人だから、三原歩夢に近付けないと僕を利用するつもりらしい。

変な事はしたくない、そう言うとファントムは「仲良くなってくれればいい」と言っていた。
言うのは簡単だ、彼らだって三原歩夢の事を知らないわけではないだろうに…

「とはいえ、君に拒否権なんてないけどね」

「……」

「お願いするね、王子様」

ファントムの笑みが気持ち悪くて、その言葉には何も答えなかった。

梓馬は心配しているだろうから、連絡くらいは取りたかったが連絡手段は全て奪われた。
僕の後ろには見張り役まで付けて徹底している。

僕が逃げたり余計な事をしたら、すぐに殺すぞと言いたげだ。

翌朝、僕は三原歩夢のところに真っ先に行けと言われた。
情報を聞き出すまで、解放するつもりはないのだろう。

「三原歩夢くん、だよね…はじめまして」

三原歩夢が両隣に男を引き連れて歩いているのが見えた。
エルダじゃなくて良かった、アイツなら悪巧みにすぐに勘付くだろう。

驚いて僕を見ている三原歩夢に、あくまで友好的に笑いかける。
三原歩夢は僕の名前を聞いてきて、仲良くなる気があるようだった。
これなら、すぐにペラペラといろんな事を話しそうだ。

ただ、両隣の三原歩夢の友人だろう男達は僕を警戒しているようだ。

「エルダがなにか変な事をしているとか、見た事ないか?」

「…変な事…そういえば、生徒会室に入っちゃいけないって言われたんだよ…理由は生徒会メンバーに僕を取られないように…とか」

「……生徒会室」

エルダが皆と仲良くする事を推奨しているのに、生徒会メンバーとはダメだと考えるのは単純だ。
三原歩夢は信じているみたいで、不思議そうにはしていない。

生徒会室になにか秘密があるのかもしれない。
他にエルダに関して気付いた事はないかと聞いた。

再び考えていて、思い出したように手を叩いた。
エルダはいつも放課後になると何処かに行っているらしい。

たまたま一度見かけたが、生徒会室がある特別棟に入っていったから中で何をしているのか分からないそうだ。

もっと他になにかあったのかと聞き出そうとしたら、三原歩夢の頬が膨れていた。

「なんか、エルダの事ばっかり!僕の事も聞いてよ!」

「えーっと、じゃあ君のお兄さんの…」

「イヤ!!」

三原歩夢には悪いけど、僕は彼らの方が利口だと思った。
僕が王位継承者でも警戒するべきだ…梓馬が心配するのも頷ける。
とはいえ、梓馬もちょろいところがあるから弟の事をとやかく言えないな。

フッと笑みを見せると、三原歩夢の頬がほんのり赤くなっていた。

そうだった、今は梓馬の事を考えている場合ではなかったんだった。

三原歩夢にさっさと情報を聞き出さないといけない。
勿論、顔を使っても身体は使わない…僕の身体は梓馬のものだから…

「君と二人っきりで話したい、ダメかな」

「えっ!?」

「おい!途中から来たくせになんだよ!」

「いいよ」

「歩夢!!」

「仲良くするのはいい事だってエルダが言ってたよ」

三原歩夢は二人の男をなだめていて、上手くいきそうだ。
エルダは三原歩夢を利用したら他の奴に押し付けるつもりなんだろう。
だから、友達を多く作って自分に依存するなって事か。

梓馬が聞いたらエルダを殴りにいきそうだな。

僕も知りたい、エルダは彼を使って何をしようとしているのか。

三原歩夢は僕の腕に腕を絡めて、歩いていた。
歩きづらい、いつもこんな歩きづらい格好で歩いているのか?

とりあえず校舎の中に入り、誰にも邪魔されない場所に三原歩夢を呼んだ。
誰かに聞かれたら、絶対に邪魔される…僕の首が掛かってるんだ、早く終わらせたい。

誰もいない空き教室に入り、廊下に誰もいない事を確認した。
誰が聞き耳立てているか分からないからな。
いざとなったら僕の魔術で気絶させようと思っていたが、いないらしい。

でも、カチャカチャと音が聞こえる…廊下からは聞こえない。

「何をしているんだ、君は」

「え?だってするんでしょ?」

「話し合いを、ね」

僕のズボンのベルトを外そうとしているから、三原歩夢から離れた。
話し合いと言ったら、三原歩夢はそう思うのか。

普段どんな生活をしているのか、すぐに分かるな。
三原歩夢はつまんなさそうな顔をしていた。

ベルトを元に戻して椅子に座り、三原歩夢にも座るように言った。
三原歩夢は椅子を持ってきて、僕の隣に座った。

「話って何?」

「君とエルダの関係について」

「エルダ?僕はエルダの婚約者だよ」

「そうではなく、僕が聞きたいのはもっと深いところだよ」

三原歩夢の扱いはすぐに分かった、顔を近付けて囁くと三原歩夢の顔が赤くなった。
僕の下半身に手を伸ばそうとしていて、腕を掴んだ。

三原歩夢の腕をそのまま自分の頬に持っていく。

この顔ならいくらでも触らせてあげる、だから洗いざらい知っている事を吐いてもらおうか。
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