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心と身体の傷
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『アイツ、恋愛より家族を優先するタイプだから今まで好意を寄せられた事はあるが初めてお前に抱いた恋愛感情に戸惑ってるんだぜ』
「ナイトの場合、鈍感なところもあるからな」
俺だって恋愛慣れしていないんだ、そんな事を言われても分からない。
でも、俺はレオンハルトに抱くような気持ちをナイトに抱いているような気すらする。
キスをされても嫌ではなかった、教室で襲われた時は鳥肌が凄かったのにな。
男が好きがどうかなんて、分からない…ただ俺は頭で考えるのは苦手みたいだ。
白猫を見ると、不安そうに俺を見つめていた…俺の答えがナイトを傷付けるかもしれないと思ってだろう。
確かに俺だけを好きで居てくれるナイトを傷付けるかもしれない。
それでも俺は自分の気持ちに偽ってこのままあやふやにしたくない。
「ナイトの事、好きだよ」
『本当か?あの金髪よりもか?』
白猫の瞳がキラキラと輝いていて申し訳なく思う。
俺が好きなのは一人ではない、二人の事を好きなんて我ながら自分勝手なもんだと思う。
でも、自分勝手なら自分勝手でちゃんと責任を持つつもりだ。
俺は男だからな、ちゃんと考えているつもりだ。
先の事なんて誰も分からないが、俺を愛してくれる限り俺も愛で応えるつもりだ。
それが俺が決めた、俺の人生だ。
そしてその人生には当然歩夢も含まれている、歩夢は恋愛感情ではないが家族として俺は生徒会長から歩夢を返してもらう。
歩夢のあの姿を見て、俺はここに来た時よりも強くそう思った。
俺をこんな気持ちにさせたんだ、アイツらには感謝してる…そして俺はお礼に一発ぶん殴ろうと思う。
拳を握り締めると、白猫は不思議そうな顔をしていた。
「俺はレオンハルトとナイト、同じくらい愛してる」
『はぁ!?どういう意味だよ!』
「言葉の通りだ、でも安心してくれ…俺は二人共幸せにするって約束する、悲しませたりなんてしない」
『…それを信用しろと?』
「今は言葉で信用してもらうしかないが、必ず実現させる…だから信じてくれ」
白猫の目線に合わすようにしゃがんで、まっすぐ見つめた。
レオンハルトもナイトも歩夢も俺は一人一人幸せにする。
かもしれないやと思うではない、俺は絶対にするとこの命に誓う。
俺を愛してくれた、そして俺が愛した気持ちに嘘偽りは一つもない。
白猫は『分かった、分かったからそんな目で見るな!』と言われてそっぽ向かれた。
今、俺がどんな顔をしてるか分からないがそんな変な顔をしていたか?
椅子から飛び降りた白猫はベッドの方に歩いていて、ベッドのカーテンが開いている事に今更気付いた。
俺が覗いた時はちゃんとカーテンを閉めたから、開いているわけがない。
立っている足も見えて、立ち上がるとナイトがそこにいた。
「起きたのか、声を掛けてくれたら良かったのに」
「いや、真面目な話をしてたから邪魔しちゃ悪いかと思ってな」
ナイトを起こす手間は省けたけど、あの話を聞かれたと思うと恥ずかしい。
本人を前にしていないから言えた事だったから、顔に火がついたように赤くなる。
一つ咳払いをして、気持ちを落ち着かせてからナイトの方を見つめる。
ナイトは「俺の事、愛してるって本当?」と信じられないと言いたげな顔をして言っていた。
俺はナイトの顔を見て、ちゃんと自分の気持ちを伝えた。
もっと早く伝えていれば、ナイトももっと楽になっただろう。
ナイトの身体を引き寄せて、ギュッと抱きしめた。
「悪かった、早く言えば良かったのに…自分の事が自分でも分からなかったんだ」
「梓馬…」
「愛してる、ナイト…俺は必ず幸せにしてやる……俺を好きになって良かったって言ってもらえるように」
「…なんか、複雑で悔しい」
「なんで?」
「俺が幸せにするからだ」
「それは譲れないな、俺が幸せにしたいから」
ナイトの顔は見えないが、肩を震わせて笑っているようで俺もつられて笑う。
白猫は俺達を見て『ナイトがいいなら俺は言わないけど、ナイトを悲しませたら許さないからな!』と念を押された。
分かってる、俺だって俺の好きな奴を悲しませる奴は許さない。
もう遅いから帰ろうと、寮の道を歩いていたら向かい側から誰かが歩いているのが見えた。
よく見てみると、歩く姿も優雅でさすが王子とか思っていた。
すぐ帰ると言っていたのに、遅くなってしまった。
ナイトから離れてレオンハルトに駆け寄ると、レオンハルトは心配を顔に出さずニコッと笑っていた。
でも、雰囲気がバシバシ心配していたオーラを放っていた。
「レオンハルト、ごめん…遅くなった」
「梓馬が無事ならそれでいいが、頭の怪我と顔の傷は説明してくれるよな」
「…えっ…あーっと」
口の横の絆創膏は転んだ事にしようとしていたが、頭の包帯の事をすっかり忘れていた。
これも転んだとか言ったら大事故になるよな。
どうしよう、上手い誤魔化し方が思いつかない。
下手な事を言っても、レオンハルトには見破られる。
本当の事を言うしかないかと思っていたら、追いついてきたナイトが俺の肩を軽く叩いた。
レオンハルトは視線をナイトに向けた。
「梓馬は歩夢を見ていて、壁に激突しただけだ」
「そうなのか?」
「いつもの事だ」
「ナイトの場合、鈍感なところもあるからな」
俺だって恋愛慣れしていないんだ、そんな事を言われても分からない。
でも、俺はレオンハルトに抱くような気持ちをナイトに抱いているような気すらする。
キスをされても嫌ではなかった、教室で襲われた時は鳥肌が凄かったのにな。
男が好きがどうかなんて、分からない…ただ俺は頭で考えるのは苦手みたいだ。
白猫を見ると、不安そうに俺を見つめていた…俺の答えがナイトを傷付けるかもしれないと思ってだろう。
確かに俺だけを好きで居てくれるナイトを傷付けるかもしれない。
それでも俺は自分の気持ちに偽ってこのままあやふやにしたくない。
「ナイトの事、好きだよ」
『本当か?あの金髪よりもか?』
白猫の瞳がキラキラと輝いていて申し訳なく思う。
俺が好きなのは一人ではない、二人の事を好きなんて我ながら自分勝手なもんだと思う。
でも、自分勝手なら自分勝手でちゃんと責任を持つつもりだ。
俺は男だからな、ちゃんと考えているつもりだ。
先の事なんて誰も分からないが、俺を愛してくれる限り俺も愛で応えるつもりだ。
それが俺が決めた、俺の人生だ。
そしてその人生には当然歩夢も含まれている、歩夢は恋愛感情ではないが家族として俺は生徒会長から歩夢を返してもらう。
歩夢のあの姿を見て、俺はここに来た時よりも強くそう思った。
俺をこんな気持ちにさせたんだ、アイツらには感謝してる…そして俺はお礼に一発ぶん殴ろうと思う。
拳を握り締めると、白猫は不思議そうな顔をしていた。
「俺はレオンハルトとナイト、同じくらい愛してる」
『はぁ!?どういう意味だよ!』
「言葉の通りだ、でも安心してくれ…俺は二人共幸せにするって約束する、悲しませたりなんてしない」
『…それを信用しろと?』
「今は言葉で信用してもらうしかないが、必ず実現させる…だから信じてくれ」
白猫の目線に合わすようにしゃがんで、まっすぐ見つめた。
レオンハルトもナイトも歩夢も俺は一人一人幸せにする。
かもしれないやと思うではない、俺は絶対にするとこの命に誓う。
俺を愛してくれた、そして俺が愛した気持ちに嘘偽りは一つもない。
白猫は『分かった、分かったからそんな目で見るな!』と言われてそっぽ向かれた。
今、俺がどんな顔をしてるか分からないがそんな変な顔をしていたか?
椅子から飛び降りた白猫はベッドの方に歩いていて、ベッドのカーテンが開いている事に今更気付いた。
俺が覗いた時はちゃんとカーテンを閉めたから、開いているわけがない。
立っている足も見えて、立ち上がるとナイトがそこにいた。
「起きたのか、声を掛けてくれたら良かったのに」
「いや、真面目な話をしてたから邪魔しちゃ悪いかと思ってな」
ナイトを起こす手間は省けたけど、あの話を聞かれたと思うと恥ずかしい。
本人を前にしていないから言えた事だったから、顔に火がついたように赤くなる。
一つ咳払いをして、気持ちを落ち着かせてからナイトの方を見つめる。
ナイトは「俺の事、愛してるって本当?」と信じられないと言いたげな顔をして言っていた。
俺はナイトの顔を見て、ちゃんと自分の気持ちを伝えた。
もっと早く伝えていれば、ナイトももっと楽になっただろう。
ナイトの身体を引き寄せて、ギュッと抱きしめた。
「悪かった、早く言えば良かったのに…自分の事が自分でも分からなかったんだ」
「梓馬…」
「愛してる、ナイト…俺は必ず幸せにしてやる……俺を好きになって良かったって言ってもらえるように」
「…なんか、複雑で悔しい」
「なんで?」
「俺が幸せにするからだ」
「それは譲れないな、俺が幸せにしたいから」
ナイトの顔は見えないが、肩を震わせて笑っているようで俺もつられて笑う。
白猫は俺達を見て『ナイトがいいなら俺は言わないけど、ナイトを悲しませたら許さないからな!』と念を押された。
分かってる、俺だって俺の好きな奴を悲しませる奴は許さない。
もう遅いから帰ろうと、寮の道を歩いていたら向かい側から誰かが歩いているのが見えた。
よく見てみると、歩く姿も優雅でさすが王子とか思っていた。
すぐ帰ると言っていたのに、遅くなってしまった。
ナイトから離れてレオンハルトに駆け寄ると、レオンハルトは心配を顔に出さずニコッと笑っていた。
でも、雰囲気がバシバシ心配していたオーラを放っていた。
「レオンハルト、ごめん…遅くなった」
「梓馬が無事ならそれでいいが、頭の怪我と顔の傷は説明してくれるよな」
「…えっ…あーっと」
口の横の絆創膏は転んだ事にしようとしていたが、頭の包帯の事をすっかり忘れていた。
これも転んだとか言ったら大事故になるよな。
どうしよう、上手い誤魔化し方が思いつかない。
下手な事を言っても、レオンハルトには見破られる。
本当の事を言うしかないかと思っていたら、追いついてきたナイトが俺の肩を軽く叩いた。
レオンハルトは視線をナイトに向けた。
「梓馬は歩夢を見ていて、壁に激突しただけだ」
「そうなのか?」
「いつもの事だ」
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