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生徒会室にご招待
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放課後、ナツとヨシュアは街に出かけるらしくて俺も誘われた。
そうだな、それも楽しそうだと思っていたら教室のドアが乱暴に開かれた。
「三原歩夢の兄はいる?」
「出てこないなら我らに刃向かったとして、罰を与える」
突然現れて、まるで暴君のようにそんな事を言っていた。
何だよと眉を寄せて、周りは俺を呼んでいいのか分からない顔をしていたから手を上げた。
俺だけが用なら他の奴らを怯えさせるなよ、可哀想だろ。
ナツとヨシュアと遊びに行きたかったが、また今度行こうと断って教室に来た二人のところに行こうとした。
どのくらいの話し合いになるか分からないから、二人を待たせるのは悪い。
しかし、すぐに二人に肩を掴まれて止められてしまった。
「梓馬、あの人達生徒会だぜ?」
「何したの?」
「うーん、分からない…歩夢の話じゃないか?」
歩夢の話より、生徒会の仲間にした事への報復のようなものなんじゃないかとは思っている。
頼みの魔法が使えないから正直凄い怖いけど、逃げ出したくはない。
生徒会の呼び出しだ、もしかしたら歩夢がいるかもしれない。
歩夢がいるのに逃げ出すなんて、俺の選択肢にはない。
生徒会の二人に「俺が歩夢の兄だ」と名乗ると、何処かに連れてかれた。
ナツとヨシュアに心配掛けないように笑って手を振ると、肩まで髪が長い中性的な男は鼻で笑った。
「そんなヘラヘラ笑っていられるのも今のうちですよ」
「昨日の奴らを倒しただけでイキってて恥ずかしいのー、あんなの幹部の下の下なんだよ」
歩夢ほどではないが、可愛い顔をした男はクスクス笑っていた。
校舎を出て裏側にある洋館の中に入って、未知なる場所に周りを見渡す。
王位継承者の寮に近いけど、大きく二つの入り口に別れていた。
中は繋がっているわけではなく、洋館の真ん中に大きな壁で仕切られていた。
まるで、お互いの干渉を嫌うように徹底されていた。
階段を上り、廊下の奥の部屋の扉の前で足を止めた。
生徒会室と書かれた扉を中性的な男が開けて可愛い顔の男に背中を押された。
突然で受け身が出来ず、身体を床に転がされた…フカフカのじゅうたんのおかげで怪我はしなかったけど…
「お前が歩夢の兄か」
すぐ近くで声が聞こえて顔を上げると、生徒会長が俺を見下ろして鼻で笑っていた。
俺はそんな事より、歩夢が何処にもいない事に落胆した。
でもまぁいい、今はこの男にいろいろと聞きたい事がある。
生徒会長を睨みつけると、生徒会長はさっきまで笑っていたのに表情をなくした。
頬を足で蹴られて、口の中が鉄の味でいっぱいに広がる。
やられっぱなしなのは腹が立って反撃しようとしたが、後ろにいた中性的な男と可愛い男に押さえつけられた。
「態度に気をつけろ、俺は歩夢以外には酷い事をする」
「ふっ…それって歩夢には酷い事しないって事だろ」
「なにが可笑しい?」
「歩夢にこんな事してたら、お前の事絶対に許さねぇから良かったと思っただけだ」
歩夢を利用しようとしている奴にヘコヘコ弱気でいたくなくて喧嘩腰になる。
俺は反撃出来ない状態だ、このくらい許してくれよ。
また頬を強く蹴られて…それでも睨み続けた。
レオンハルトにもナイトにも言われた事を無視して悪い。
でも本人を前にしたら俺のイライラが静まりそうにない。
大事な弟を傷つけて利用しようとしている男を前にして冷静でいられるかよ。
「今日はほんの挨拶だ、それと…変態な兄にいいもの見せてやるよ」
「…なに」
生徒会長が手を上げると、俺とナイトと戦ったチャラい男がスマホのような物を床に置いた。
そのスマホのような物が光って、スクリーンのように広がった。
そこに映し出されたものを見て、俺は目を見開いて驚いた。
歩夢がいる、それだけだったらこんなに驚く事はない。
歩夢の身体が裸で、体を揺さぶられている映像でなければ…
歩夢の表情は俺が知らないもの、甘ったるく媚びを売る声も知らない。
歩夢の後ろにいる男は知らない、知らなかったら歩夢の恋人かと思うだろう。
でも、もう一人やってきて歩夢の頭を掴んで咥えさせていた。
もうそれ以上見たくなくて、下を向いても声が聞こえるから無意味だ。
腕を掴まれているから耳を塞ぐ事すら出来ない、暴力よりも俺の精神を追い詰めていた。
「もう、もうやめてくれ!!」
「何故だ?お前もいつも歩夢とこうしたくて妄想しているのだろ?」
「…するわけないだろ、兄弟で」
歩夢は無理矢理されているようには見えなかった、むしろ自分からねだっていた。
これが全て合成で、歩夢はそんな事していない…そう思いたいのに脳内で歩夢の姿がちらつく。
無理矢理立たされて、よろけていると生徒会長に顎を掴まれた。
「これに懲りたら、これ以上俺達の邪魔をするなよ」
そう言われて、生徒会室から突き飛ばされて追い出された。
何もする気がなくて、放心状態で廊下に座り込む。
俺のスマホが震えているが、それを取る気にもならなかった。
分かっていた事だったのに、実際に見ると精神的なダメージが大きかった。
「…あゆ、む」
「そこで何をしている」
誰かに声を掛けられたような気がしなくもないが、今はそんな事より歩夢の事で頭がいっぱいで他なんて目に入らなかった。
俺の知らない歩夢がそこに居たんだ、兄弟だって知らない事の一つや二つあっても不思議じゃないだろ。
そう頭で思っていても、歩夢のあの姿は見たくなかった。
肩を揺さぶられて、視界が大きくぶれたところでやっと誰かがいる事に気付いた。
俺の横でしゃがんでいる男は、俺を心配しているような顔をしていた。
赤い髪の少年は「大丈夫か?」と俺に声を掛けていた。
知らない人に心配掛けられるほど、俺…やばかったのか?
「お前、生徒会の奴か?それにしても見かけないが」
そうだな、それも楽しそうだと思っていたら教室のドアが乱暴に開かれた。
「三原歩夢の兄はいる?」
「出てこないなら我らに刃向かったとして、罰を与える」
突然現れて、まるで暴君のようにそんな事を言っていた。
何だよと眉を寄せて、周りは俺を呼んでいいのか分からない顔をしていたから手を上げた。
俺だけが用なら他の奴らを怯えさせるなよ、可哀想だろ。
ナツとヨシュアと遊びに行きたかったが、また今度行こうと断って教室に来た二人のところに行こうとした。
どのくらいの話し合いになるか分からないから、二人を待たせるのは悪い。
しかし、すぐに二人に肩を掴まれて止められてしまった。
「梓馬、あの人達生徒会だぜ?」
「何したの?」
「うーん、分からない…歩夢の話じゃないか?」
歩夢の話より、生徒会の仲間にした事への報復のようなものなんじゃないかとは思っている。
頼みの魔法が使えないから正直凄い怖いけど、逃げ出したくはない。
生徒会の呼び出しだ、もしかしたら歩夢がいるかもしれない。
歩夢がいるのに逃げ出すなんて、俺の選択肢にはない。
生徒会の二人に「俺が歩夢の兄だ」と名乗ると、何処かに連れてかれた。
ナツとヨシュアに心配掛けないように笑って手を振ると、肩まで髪が長い中性的な男は鼻で笑った。
「そんなヘラヘラ笑っていられるのも今のうちですよ」
「昨日の奴らを倒しただけでイキってて恥ずかしいのー、あんなの幹部の下の下なんだよ」
歩夢ほどではないが、可愛い顔をした男はクスクス笑っていた。
校舎を出て裏側にある洋館の中に入って、未知なる場所に周りを見渡す。
王位継承者の寮に近いけど、大きく二つの入り口に別れていた。
中は繋がっているわけではなく、洋館の真ん中に大きな壁で仕切られていた。
まるで、お互いの干渉を嫌うように徹底されていた。
階段を上り、廊下の奥の部屋の扉の前で足を止めた。
生徒会室と書かれた扉を中性的な男が開けて可愛い顔の男に背中を押された。
突然で受け身が出来ず、身体を床に転がされた…フカフカのじゅうたんのおかげで怪我はしなかったけど…
「お前が歩夢の兄か」
すぐ近くで声が聞こえて顔を上げると、生徒会長が俺を見下ろして鼻で笑っていた。
俺はそんな事より、歩夢が何処にもいない事に落胆した。
でもまぁいい、今はこの男にいろいろと聞きたい事がある。
生徒会長を睨みつけると、生徒会長はさっきまで笑っていたのに表情をなくした。
頬を足で蹴られて、口の中が鉄の味でいっぱいに広がる。
やられっぱなしなのは腹が立って反撃しようとしたが、後ろにいた中性的な男と可愛い男に押さえつけられた。
「態度に気をつけろ、俺は歩夢以外には酷い事をする」
「ふっ…それって歩夢には酷い事しないって事だろ」
「なにが可笑しい?」
「歩夢にこんな事してたら、お前の事絶対に許さねぇから良かったと思っただけだ」
歩夢を利用しようとしている奴にヘコヘコ弱気でいたくなくて喧嘩腰になる。
俺は反撃出来ない状態だ、このくらい許してくれよ。
また頬を強く蹴られて…それでも睨み続けた。
レオンハルトにもナイトにも言われた事を無視して悪い。
でも本人を前にしたら俺のイライラが静まりそうにない。
大事な弟を傷つけて利用しようとしている男を前にして冷静でいられるかよ。
「今日はほんの挨拶だ、それと…変態な兄にいいもの見せてやるよ」
「…なに」
生徒会長が手を上げると、俺とナイトと戦ったチャラい男がスマホのような物を床に置いた。
そのスマホのような物が光って、スクリーンのように広がった。
そこに映し出されたものを見て、俺は目を見開いて驚いた。
歩夢がいる、それだけだったらこんなに驚く事はない。
歩夢の身体が裸で、体を揺さぶられている映像でなければ…
歩夢の表情は俺が知らないもの、甘ったるく媚びを売る声も知らない。
歩夢の後ろにいる男は知らない、知らなかったら歩夢の恋人かと思うだろう。
でも、もう一人やってきて歩夢の頭を掴んで咥えさせていた。
もうそれ以上見たくなくて、下を向いても声が聞こえるから無意味だ。
腕を掴まれているから耳を塞ぐ事すら出来ない、暴力よりも俺の精神を追い詰めていた。
「もう、もうやめてくれ!!」
「何故だ?お前もいつも歩夢とこうしたくて妄想しているのだろ?」
「…するわけないだろ、兄弟で」
歩夢は無理矢理されているようには見えなかった、むしろ自分からねだっていた。
これが全て合成で、歩夢はそんな事していない…そう思いたいのに脳内で歩夢の姿がちらつく。
無理矢理立たされて、よろけていると生徒会長に顎を掴まれた。
「これに懲りたら、これ以上俺達の邪魔をするなよ」
そう言われて、生徒会室から突き飛ばされて追い出された。
何もする気がなくて、放心状態で廊下に座り込む。
俺のスマホが震えているが、それを取る気にもならなかった。
分かっていた事だったのに、実際に見ると精神的なダメージが大きかった。
「…あゆ、む」
「そこで何をしている」
誰かに声を掛けられたような気がしなくもないが、今はそんな事より歩夢の事で頭がいっぱいで他なんて目に入らなかった。
俺の知らない歩夢がそこに居たんだ、兄弟だって知らない事の一つや二つあっても不思議じゃないだろ。
そう頭で思っていても、歩夢のあの姿は見たくなかった。
肩を揺さぶられて、視界が大きくぶれたところでやっと誰かがいる事に気付いた。
俺の横でしゃがんでいる男は、俺を心配しているような顔をしていた。
赤い髪の少年は「大丈夫か?」と俺に声を掛けていた。
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