19 / 81
裏側の物語
しおりを挟む
『エルダ視点』
歩夢と別れて生徒会の仕事を終わらせるために特別棟に向かった。
校舎の裏にある特別棟は、生徒会と風紀委員室がある場所だ。
風紀委員の奴らはほとんどあの危ない男の信者だから俺達と仲が悪い。
生徒会の奴らは俺に絶対服従だから居心地が良い。
生徒会の仕事は苦ではない、面倒な事もあるが歴代の王位継承者達が皆こなしていた仕事だ…修行だと思えばいい。
それに、さらに俺が王位継承者に近付くための道具が見つかった…これで王位継承者になったも同然だ。
三原歩夢…俺はあの人間がほしい。
正確に言うとあの人間の赤と青の瞳がほしい、瞳さえ手に出来ればあの人間自身どうなっても構わない。
ずっと機会を伺っていた、どうやって手に入れようか。
瞳があると人間界を覗くのが好きな側近に聞いた時は嬉しくて、いつも以上にアイツを虐めてしまった……真っ赤な血を吐くその姿に興奮した。
あの瞳があれば俺は…ふふ…
…俺はこの世で人間が一番嫌いだが、目的のためなら反吐が出る事も出来る。
呆気なく人間は俺のものになった。
落とすまで時間が掛かるかと思っていたが、つまらない人間だ。
元々恋愛感情がないから、それを気付かれないように甘い言葉を吐いた。
今まで見てきた事を考えると、絶対に一人だけでは満足しないだろう。
だとしたら…他にも恋人を作る筈だ、それでいい…その人間に構う時間は少ない方がいい。
生徒会長の椅子に腰を下ろして、三原歩夢の隠し撮りの写真を眺める。
嫁だと言って喜ぶ下等生物を嘲笑うのは楽しいが、やはり俺を刺激してくれる相手はアイツだけだ。
写真が指先の炎によって消えていく姿を眺めながら、俺は通信機でアイツを呼んだ。
しばらくするとドアが数回ノックされて、アイツが姿を現した。
相変わらず俺のところに来る時は暗い顔をしているな、俺の加虐心にも火がつく。
「…なにか用か」
「幼馴染みが呼んだんだ、もっと嬉しい顔をしろ」
「………」
「せっかく二人っきりなんだ、そこに座れ」
ソファーを指差すと、無言で俺に従う。
生徒会の他の奴らには自分の部屋で仕事するように言ってある、コイツを生徒会室に呼ぶために…
コイツと会う時は他の奴を視界に入れたくない、汚いものを視界に入れるだけで不快だ。
子供の頃から、鮮やかな赤髪と整い過ぎた顔立ち…頭のてっぺんから足の爪先まで全てが美しいと思っていた。
俺も隣に座ると、あからさまに眉を寄せている…それがとても楽しい。
「俺、結婚するんだ」
「けっ、こん?」
不愉快そうだった顔はすぐに驚きに変わった。
この俺が誰かと結婚するなんて思っていなかったのだろう。
その顔が見たくて今日呼んだんだ。
相手が気になるのか「誰なんだ?」と聞いてきた。
俺が誰を好きになったのか、興味がないくせに…
本当に可愛い奴だ。
「お前だ」
「……何言って」
「正確に言うと人間と結婚すると学園中に報告する」
学園中に言うと、いくら好きになっても俺の妻を奪おうとする者などいないだろう。
それでも横取りされて人間が心変わりしてしまうかもしれないから、一緒に居ようと生徒会補佐の役職も与える。
生徒会の補佐になると、寮も生徒会の寮になるが使っていない部屋は物置になっている。
人間にはそれでいいと思うが、歩夢を幻滅させて帰ってしまっては俺の作戦が失敗する。
だから片付けが必要だ、そのために少しの間だけ一般寮で暮らしてもらう。
人間の世話をナイトに任せたのも、あの面倒くさがりが人間に惚れるわけないと思ったからだ。
アイツは常に誰の味方もしないから使いやすい。
面倒くさがりが人間の世話を引き受けたのは等価交換だ。
アイツの家は貧しいからな、金を渡せば面倒でもやる。
俺も後に請求されるより、分かりやすくていい。
「…お前、人間嫌いじゃなかったのか?」
「嫌いだ、本当にするわけないだろ」
「……」
「俺はあの人間の瞳がほしいだけだ、その後は捨てればいい………その時はお前を俺のものにしてやる」
耳に触れると、すぐに手を振り払われて立ち上がった。
お前はまだあんな下らない夢を見ているのか…
俺が何のために瞳を手に入れて、王位継承者になろうとしていると思っているんだ。
……全てはお前の
「そんな話をするだけならもう帰る」
「お前のそのくだらない夢を捨てて、さっさと俺のものになれ」
俺の言葉を聞こえないフリをして、去っていった。
まぁいい、瞳さえ手に入れば嫌でも分かる事になるだろう。
誰の傍にいるのが一番いいのか…
アイツの身体に俺の印を何度刻み込んだか分からない。
痛めつける時のアイツの声は、他の誰よりもそそるものがある。
まだ抱いてはいないが、俺が王位継承者になりアイツが逆らわなくなってからではないと本当の意味で手に入れた事にはならない。
そんな遠くない未来の想像をして、一人で笑いを堪えていた。
歩夢と別れて生徒会の仕事を終わらせるために特別棟に向かった。
校舎の裏にある特別棟は、生徒会と風紀委員室がある場所だ。
風紀委員の奴らはほとんどあの危ない男の信者だから俺達と仲が悪い。
生徒会の奴らは俺に絶対服従だから居心地が良い。
生徒会の仕事は苦ではない、面倒な事もあるが歴代の王位継承者達が皆こなしていた仕事だ…修行だと思えばいい。
それに、さらに俺が王位継承者に近付くための道具が見つかった…これで王位継承者になったも同然だ。
三原歩夢…俺はあの人間がほしい。
正確に言うとあの人間の赤と青の瞳がほしい、瞳さえ手に出来ればあの人間自身どうなっても構わない。
ずっと機会を伺っていた、どうやって手に入れようか。
瞳があると人間界を覗くのが好きな側近に聞いた時は嬉しくて、いつも以上にアイツを虐めてしまった……真っ赤な血を吐くその姿に興奮した。
あの瞳があれば俺は…ふふ…
…俺はこの世で人間が一番嫌いだが、目的のためなら反吐が出る事も出来る。
呆気なく人間は俺のものになった。
落とすまで時間が掛かるかと思っていたが、つまらない人間だ。
元々恋愛感情がないから、それを気付かれないように甘い言葉を吐いた。
今まで見てきた事を考えると、絶対に一人だけでは満足しないだろう。
だとしたら…他にも恋人を作る筈だ、それでいい…その人間に構う時間は少ない方がいい。
生徒会長の椅子に腰を下ろして、三原歩夢の隠し撮りの写真を眺める。
嫁だと言って喜ぶ下等生物を嘲笑うのは楽しいが、やはり俺を刺激してくれる相手はアイツだけだ。
写真が指先の炎によって消えていく姿を眺めながら、俺は通信機でアイツを呼んだ。
しばらくするとドアが数回ノックされて、アイツが姿を現した。
相変わらず俺のところに来る時は暗い顔をしているな、俺の加虐心にも火がつく。
「…なにか用か」
「幼馴染みが呼んだんだ、もっと嬉しい顔をしろ」
「………」
「せっかく二人っきりなんだ、そこに座れ」
ソファーを指差すと、無言で俺に従う。
生徒会の他の奴らには自分の部屋で仕事するように言ってある、コイツを生徒会室に呼ぶために…
コイツと会う時は他の奴を視界に入れたくない、汚いものを視界に入れるだけで不快だ。
子供の頃から、鮮やかな赤髪と整い過ぎた顔立ち…頭のてっぺんから足の爪先まで全てが美しいと思っていた。
俺も隣に座ると、あからさまに眉を寄せている…それがとても楽しい。
「俺、結婚するんだ」
「けっ、こん?」
不愉快そうだった顔はすぐに驚きに変わった。
この俺が誰かと結婚するなんて思っていなかったのだろう。
その顔が見たくて今日呼んだんだ。
相手が気になるのか「誰なんだ?」と聞いてきた。
俺が誰を好きになったのか、興味がないくせに…
本当に可愛い奴だ。
「お前だ」
「……何言って」
「正確に言うと人間と結婚すると学園中に報告する」
学園中に言うと、いくら好きになっても俺の妻を奪おうとする者などいないだろう。
それでも横取りされて人間が心変わりしてしまうかもしれないから、一緒に居ようと生徒会補佐の役職も与える。
生徒会の補佐になると、寮も生徒会の寮になるが使っていない部屋は物置になっている。
人間にはそれでいいと思うが、歩夢を幻滅させて帰ってしまっては俺の作戦が失敗する。
だから片付けが必要だ、そのために少しの間だけ一般寮で暮らしてもらう。
人間の世話をナイトに任せたのも、あの面倒くさがりが人間に惚れるわけないと思ったからだ。
アイツは常に誰の味方もしないから使いやすい。
面倒くさがりが人間の世話を引き受けたのは等価交換だ。
アイツの家は貧しいからな、金を渡せば面倒でもやる。
俺も後に請求されるより、分かりやすくていい。
「…お前、人間嫌いじゃなかったのか?」
「嫌いだ、本当にするわけないだろ」
「……」
「俺はあの人間の瞳がほしいだけだ、その後は捨てればいい………その時はお前を俺のものにしてやる」
耳に触れると、すぐに手を振り払われて立ち上がった。
お前はまだあんな下らない夢を見ているのか…
俺が何のために瞳を手に入れて、王位継承者になろうとしていると思っているんだ。
……全てはお前の
「そんな話をするだけならもう帰る」
「お前のそのくだらない夢を捨てて、さっさと俺のものになれ」
俺の言葉を聞こえないフリをして、去っていった。
まぁいい、瞳さえ手に入れば嫌でも分かる事になるだろう。
誰の傍にいるのが一番いいのか…
アイツの身体に俺の印を何度刻み込んだか分からない。
痛めつける時のアイツの声は、他の誰よりもそそるものがある。
まだ抱いてはいないが、俺が王位継承者になりアイツが逆らわなくなってからではないと本当の意味で手に入れた事にはならない。
そんな遠くない未来の想像をして、一人で笑いを堪えていた。
13
お気に入りに追加
674
あなたにおすすめの小説
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
転生したらBLゲームの攻略キャラになってたんですけど!
朝比奈歩
BL
ーーある日目覚めたら、おれはおれの『最推し』になっていた?!
腐男子だった主人公は、生まれ変わったら生前プレイしていたBLゲームの「攻略対象」に転生してしまった。
そのBLゲームとは、本来人気ダンスヴォーカルグループのマネージャーになってメンバーと恋愛していく『君は最推し!』。
主人公、凛は色々な問題に巻き込まれながらも、メンバー皆に愛されながらその問題に立ち向かっていく!
表紙イラストは入相むみ様に描いていただきました!
R-18作品は別で分けてあります。
※この物語はフィクションです。
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
元生徒会長さんの日常
あ×100
BL
俺ではダメだったみたいだ。気づけなくてごめんね。みんな大好きだったよ。
転校生が現れたことによってリコールされてしまった会長の二階堂雪乃。俺は仕事をサボり、遊び呆けたりセフレを部屋に連れ込んだりしたり、転校生をいじめたりしていたらしい。
そんな悪評高い元会長さまのお話。
長らくお待たせしました!近日中に更新再開できたらと思っております(公開済みのものも加筆修正するつもり)
なお、あまり文才を期待しないでください…痛い目みますよ…
誹謗中傷はおやめくださいね(泣)
2021.3.3
俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる