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好きの気持ち
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顔色一つ変えず、すらすらとナイトは嘘を言っていた。
確かにブラコンだって自覚してるが、そんなに馬鹿じゃないと反論したかったがレオンハルトが信じているからそのままにする事にした。
なんでレオンハルトは信じてるんだよと不満だったが、俺ってそんな奴に見られているのかもなと落ち込んだ。
とりあえず外は冷えるからと三人で寮を目指した。
レオンハルトにも俺の気持ち、ちゃんと伝えないとな。
俺は、二人と一緒に…歩夢を助けるんだってそう決めたから…
「そう、梓馬はそう決めたんだな」
「あぁ、レオンハルトには酷い事をしていると思ってる…でも俺は自分を偽る事が出来ない、レオンハルトもナイトも必ず幸せにする…二人が好きなんだ」
「そうか、梓馬らしいな…俺を幸せにしてくれ」
レオンハルトはそう笑って、パンをちぎって口の中に入れた。
夕飯を三人で食べている時にレオンハルトにも俺の気持ちを伝えた。
受け入れてくれなかったら、それはそれで俺には引き止める権利はないと思っていた。
でも、レオンハルトは「梓馬が悩んでいる時から分かっていたがな」と言っていた。
レオンハルトには何でもお見通しのようだ。
食事が終わって、今日はレオンハルトが食器を洗う番で全ての食器をいっぺんに持ち厨房に向かった。
凄い、あんな沢山持ってるのにバランスがよくてぐらついていない。
俺が半分持つと言ったが、断るだけはあるなと感心する。
ナイトは椅子に座っている俺を後ろから抱きしめて、ピッタリとくっついていた。
「梓馬、誘い方が分からないが…今日、俺としよう」
「うぇっ!?」
ナイトが直球で言ってくるからびっくりした。
いや、ではないがなんというか…そんな真っ直ぐな瞳で見られたら断れない。
でも、俺の場合他の奴としたら魔力が変わってしまうのではないのか?
それに、急にレオンハルトの雷が使えなくなった原因がまだ分からない。
そこで、レオンハルトに聞く事を思い出して俺はナイトに「ちょっと用事思い出したから待っててくれ!」と伝えて、ナイトの腕から逃れた。
逃げる口実ではないが、ナイトが寂しそうな顔をしていた。
まだ分からないまま、ナイトとするのはリスクがある。
俺はただの人間で、バレるような事は避けたい。
厨房に向かうと、レオンハルトが食器を洗っていて俺の方に目線を向けた。
「どうかしたのか、梓馬」
「魔力の事で話があって」
俺がそう言うと、レオンハルトの顔色が変わった。
俺はただ話すのもアレだから、レオンハルトの洗った食器を拭いていた。
魔力が使えなかった事を話して、レオンハルトの前でも使おうと手のひらに力を込めた。
でもやっぱり俺の力はピクリともせず、ため息を吐いた。
レオンハルトは濡れた手をタオルで拭いて、俺の手を掴んだ。
レオンハルトの手から電流のようなものが見えた。
俺は痺れたり痛みはなかったが、レオンハルトの顔が険しくなった。
「僕の魔力が梓馬に吸収されている」
「それってどういう事なんだ?」
「梓馬、今日…なんか変な事はなかったか?些細な事でもいい…話してくれ」
今日会った強烈は事なんて、生徒会と会った事くらいだ。
でも、俺が力を使えなくなったのはそれよりも前の事だ。
今朝はナイトといた時まで普通だった、その後確か下駄箱に手紙が入っていて開けようとしたら指を軽く切ったんだ。
もしかして、あの小さな指の傷がなにかあったのか?
傷が付いた指を見ると、血が固まってかさぶたになっていた。
レオンハルトに言う前に、レオンハルトに手首を掴まれた。
「梓馬、これは?」
「えっと、俺の下駄箱に手紙が入ってて…開けようとしたらちょっと切って」
「なんですぐに言わないんだ!原因はこれかもしれない」
レオンハルトは俺のかさぶたを剥がして、傷口から血が滲んできた。
そして、俺の指を咥えて暖かい舌で撫でられる。
ゾクゾクするが、こんなところで興奮している場合ではない事は分かっている。
でも、レオンハルトの舌が妙にやらしい動きをしている。
少しの時間が長く感じていたら、やっと解放された。
舐められて吸われて、いつの間にか指の血が止まっていた。
「レオンハルト、これって」
「梓馬、今後こういう事は内緒にするな…梓馬の事だから余計な心配を掛けるとか思っているんだろうが、僕からしたら内緒にされる方が困る」
「……わ、悪い」
「その傷もな」
そう言ってレオンハルトは俺の俺の頭の包帯を指差した。
やっぱりレオンハルトには何でもお見通しみたいだな。
俺が厨房から出ると、ナイトがちゃんと椅子に座って待ってくれていた。
ナイトも仲間だ…ナイトにも話そうと思って、レオンハルトの部屋に置いていたカバンを取りに向かってまた食堂に入った。
もう食器を洗い終わったのか、レオンハルトも食堂の椅子に座っていた。
俺は二人に手紙を見せた。
本当は歩夢を助けるために話すべきではないんだと思うが、二人に話せば解決出来るかもしれない。
今の俺は魔力もないただの人間、限界はある。
手紙を読み終わって、俺の指を傷付けた封筒を見つめていた。
ナイトは俺の手を心配していたが、送り主も何も知らないようだ。
でも、レオンハルトはずっと封筒を見つめていた。
「梓馬、厄介な呪いに掛かったみたいだな」
「呪い!?」
「この封筒には恨みが込められている、その恨みは梓馬の魔力を打ち消すほど強い」
確かにブラコンだって自覚してるが、そんなに馬鹿じゃないと反論したかったがレオンハルトが信じているからそのままにする事にした。
なんでレオンハルトは信じてるんだよと不満だったが、俺ってそんな奴に見られているのかもなと落ち込んだ。
とりあえず外は冷えるからと三人で寮を目指した。
レオンハルトにも俺の気持ち、ちゃんと伝えないとな。
俺は、二人と一緒に…歩夢を助けるんだってそう決めたから…
「そう、梓馬はそう決めたんだな」
「あぁ、レオンハルトには酷い事をしていると思ってる…でも俺は自分を偽る事が出来ない、レオンハルトもナイトも必ず幸せにする…二人が好きなんだ」
「そうか、梓馬らしいな…俺を幸せにしてくれ」
レオンハルトはそう笑って、パンをちぎって口の中に入れた。
夕飯を三人で食べている時にレオンハルトにも俺の気持ちを伝えた。
受け入れてくれなかったら、それはそれで俺には引き止める権利はないと思っていた。
でも、レオンハルトは「梓馬が悩んでいる時から分かっていたがな」と言っていた。
レオンハルトには何でもお見通しのようだ。
食事が終わって、今日はレオンハルトが食器を洗う番で全ての食器をいっぺんに持ち厨房に向かった。
凄い、あんな沢山持ってるのにバランスがよくてぐらついていない。
俺が半分持つと言ったが、断るだけはあるなと感心する。
ナイトは椅子に座っている俺を後ろから抱きしめて、ピッタリとくっついていた。
「梓馬、誘い方が分からないが…今日、俺としよう」
「うぇっ!?」
ナイトが直球で言ってくるからびっくりした。
いや、ではないがなんというか…そんな真っ直ぐな瞳で見られたら断れない。
でも、俺の場合他の奴としたら魔力が変わってしまうのではないのか?
それに、急にレオンハルトの雷が使えなくなった原因がまだ分からない。
そこで、レオンハルトに聞く事を思い出して俺はナイトに「ちょっと用事思い出したから待っててくれ!」と伝えて、ナイトの腕から逃れた。
逃げる口実ではないが、ナイトが寂しそうな顔をしていた。
まだ分からないまま、ナイトとするのはリスクがある。
俺はただの人間で、バレるような事は避けたい。
厨房に向かうと、レオンハルトが食器を洗っていて俺の方に目線を向けた。
「どうかしたのか、梓馬」
「魔力の事で話があって」
俺がそう言うと、レオンハルトの顔色が変わった。
俺はただ話すのもアレだから、レオンハルトの洗った食器を拭いていた。
魔力が使えなかった事を話して、レオンハルトの前でも使おうと手のひらに力を込めた。
でもやっぱり俺の力はピクリともせず、ため息を吐いた。
レオンハルトは濡れた手をタオルで拭いて、俺の手を掴んだ。
レオンハルトの手から電流のようなものが見えた。
俺は痺れたり痛みはなかったが、レオンハルトの顔が険しくなった。
「僕の魔力が梓馬に吸収されている」
「それってどういう事なんだ?」
「梓馬、今日…なんか変な事はなかったか?些細な事でもいい…話してくれ」
今日会った強烈は事なんて、生徒会と会った事くらいだ。
でも、俺が力を使えなくなったのはそれよりも前の事だ。
今朝はナイトといた時まで普通だった、その後確か下駄箱に手紙が入っていて開けようとしたら指を軽く切ったんだ。
もしかして、あの小さな指の傷がなにかあったのか?
傷が付いた指を見ると、血が固まってかさぶたになっていた。
レオンハルトに言う前に、レオンハルトに手首を掴まれた。
「梓馬、これは?」
「えっと、俺の下駄箱に手紙が入ってて…開けようとしたらちょっと切って」
「なんですぐに言わないんだ!原因はこれかもしれない」
レオンハルトは俺のかさぶたを剥がして、傷口から血が滲んできた。
そして、俺の指を咥えて暖かい舌で撫でられる。
ゾクゾクするが、こんなところで興奮している場合ではない事は分かっている。
でも、レオンハルトの舌が妙にやらしい動きをしている。
少しの時間が長く感じていたら、やっと解放された。
舐められて吸われて、いつの間にか指の血が止まっていた。
「レオンハルト、これって」
「梓馬、今後こういう事は内緒にするな…梓馬の事だから余計な心配を掛けるとか思っているんだろうが、僕からしたら内緒にされる方が困る」
「……わ、悪い」
「その傷もな」
そう言ってレオンハルトは俺の俺の頭の包帯を指差した。
やっぱりレオンハルトには何でもお見通しみたいだな。
俺が厨房から出ると、ナイトがちゃんと椅子に座って待ってくれていた。
ナイトも仲間だ…ナイトにも話そうと思って、レオンハルトの部屋に置いていたカバンを取りに向かってまた食堂に入った。
もう食器を洗い終わったのか、レオンハルトも食堂の椅子に座っていた。
俺は二人に手紙を見せた。
本当は歩夢を助けるために話すべきではないんだと思うが、二人に話せば解決出来るかもしれない。
今の俺は魔力もないただの人間、限界はある。
手紙を読み終わって、俺の指を傷付けた封筒を見つめていた。
ナイトは俺の手を心配していたが、送り主も何も知らないようだ。
でも、レオンハルトはずっと封筒を見つめていた。
「梓馬、厄介な呪いに掛かったみたいだな」
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