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長男
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「弟達が迷惑掛けて悪かった」
「いや、いいよ…俺も楽しかったし」
「……いくら?」
「………は?」
「食べ物もらって料理も作ってもらったんだから当然だと思う」
「俺、そんなつもりはないから…」
「遠慮するな、バイト代入ったから少しくらいなら出せる」
「….それは家族のために稼いだんだろ?だったら家族に使ってくれ」
俺は見返りがほしくてやったわけじゃないから、お礼だとしてもいらない。
楽しい時間を過ごさせてもらった事が一番のお返しだって思う。
少年は「でもなぁ…」と悩んでいると、中学生の少年がやって来た。
「こんな小さな家ですが、一晩泊まっていかれますか?」と言っていた。
俺だけではなく、少年もびっくりした顔で弟を見つめていた。
他の子達も聞いていたのか「お泊まり!お泊まり!」とはしゃいでいた。
今日はレオンハルトもいないし、確かに一人で夜過ごすより大勢いた方が賑やかだろう。
でもさすがに迷惑をではないのか?少年を見るとちょっと考えていた。
「何のおもてなしも出来ないけど、狭い家で良かったら泊まっていけばいい」
「いいのか?」
「それで恩返しになるなら」
少年はそう言っていて、俺も大人数で寝るのは修学旅行以来だったからちょっと楽しみだった。
そして皆でカレーを食べていた、好き嫌いをする弟に少年は「ちゃんと食え」と言っていた。
俺は歩夢の嫌いなものは何でも食べていたから、叱るのも愛だよなと思った。
甘やかすだけが愛情じゃない、だから歩夢は俺から離れていってしまったのか。
食器を洗っていたら、少年も手伝ってくれると言ってくれて一緒に皿洗いをしていた。
そういえば、歩夢の友人というだけで名前は知らないな。
「なんかこれが本物の兄弟なんだな」
「本物のって歩夢がいるだろ」
「まぁそうだけど、歩夢を甘やかしてばかり居たからな…叱った事はないんだ」
「だろうな、歩夢を見てたら分かる」
そんなに歩夢ってわがままに見えるのか?…俺のせいか。
歩夢の友人が「自分の事姫だなんだ言ってるのも珍獣兄さんのせい?」と聞いてきた。
…うっ、確かに歩夢の事お姫様扱いしているけど…それは可愛い弟だからで…
全部俺が悪いんだ、言い訳はしない…食器を洗い終わると子供達に抱きつかれて一緒に遊ぶ事にした。
元気な子供達で、俺は早々にバテてしまい…馬乗りになる小さな子を少年が抱き上げていた。
「付き合わせて悪いな」
「いや、いい運動になったから」
「子供が好きなのか?」
「まぁな、嫌いじゃない」
この子達を見てると歩夢みたいで可愛いんだ、懐いてくれるし…
中学生の少年は「そういえば、お兄さんの名前を聞くの忘れてました…申し訳ございません」と謝ってきた。
俺も名乗らずにいたから、俺も悪かったと謝ったら少年に「何二人で謝ってんの?」と不思議そうな顔をされた。
俺が自己紹介をすると、皆も自己紹介を始めてやっと名前を知った。
末っ子の男の子はリン、女の子はミク、小学生の男の子はセラ。
中学生の少年はイクト、そして歩夢の友人の名はナイトという。
「改めて、よろしく」
「うん、よろしく」
「あらあら、随分賑やかね」
聞き覚えがない女性の声が聞こえて、見るとドアの前に優しそうな女性と男性がいた。
パパママ!と子供達が駆け寄っていて、この人達が両親なのかと頭を下げた。
子供達が両親にも俺がいる理由を説明していて、大歓迎してくれた。
明るい家族で、俺に「いつでも居ていいのよ」と言ってくれて心が暖かくなる。
なんか、俺も家族になったみたいで嬉しかった…魔導学園に入った不安が安らぐようだった。
俺が作ったカレーをご両親達にも食べてもらい、美味しいって言ってもらってホッとした。
今まで家族以外に料理を作った事がなかったが、レオンハルトやナイトの家族達に食べてもらえるなんて思わなかった。
友人はいたけど、こんなに人と触れ合う事はなかった…一番は歩夢だったから遊びにもあまり行かず歩夢のいる家に帰っていた。
俺も、俺自身の繋がりを改めないといけないな……歩夢は当然大事だが、歩夢と同じくらい繋がりを大切にしないといけない。
それが欠けていたのも事実だ、世界の全ては歩夢だった。
歩夢にとっても俺にとっても、このまま歩夢を連れて帰っても俺達は何も変わらない。
歩夢と一緒に未来を歩むために、俺は俺の大切を見つける。
この不思議な国で出会ったレオンハルトとナツとヨシュアとナイト達…きっとまだ出会っていない人達…俺はいろんな人達と出会って成長する。
そしてきっと歩夢も同じように大人になっていく。
ナイトを見て、俺もこんな家族になりたいなと思った。
「あたし、あずまおにいちゃんとけっこんする!」
ミクちゃんが俺の膝の上に乗ってそんな事を言っていて、驚いた。
小さいとはいえ女の子にそう言われるのはちょっとドキッとした。
ありがとうと頭を撫でるとおませな女の子は俺の腕に抱きついていた。
すると、リンくんとセラくんも言い出して俺に抱きついてきた。
不思議なモテ期だなぁと笑っていたらイクトくんが「お兄さんが困ってますから」と止めていた。
それを微笑ましそうに見ていたお母さんはナイトの方を見た。
「ナイトはいい人いないの?」
「……またその話か」
「ナイトが心配なのよ、いつもボーッとしてるし将来の事考えてるのかと思って」
「あー、考えてる考えてる」
ナイトのその適当な言葉は全然考えていないように感じた。
俺もなれるかな、歩夢とこんな暖かい家族に…
「いや、いいよ…俺も楽しかったし」
「……いくら?」
「………は?」
「食べ物もらって料理も作ってもらったんだから当然だと思う」
「俺、そんなつもりはないから…」
「遠慮するな、バイト代入ったから少しくらいなら出せる」
「….それは家族のために稼いだんだろ?だったら家族に使ってくれ」
俺は見返りがほしくてやったわけじゃないから、お礼だとしてもいらない。
楽しい時間を過ごさせてもらった事が一番のお返しだって思う。
少年は「でもなぁ…」と悩んでいると、中学生の少年がやって来た。
「こんな小さな家ですが、一晩泊まっていかれますか?」と言っていた。
俺だけではなく、少年もびっくりした顔で弟を見つめていた。
他の子達も聞いていたのか「お泊まり!お泊まり!」とはしゃいでいた。
今日はレオンハルトもいないし、確かに一人で夜過ごすより大勢いた方が賑やかだろう。
でもさすがに迷惑をではないのか?少年を見るとちょっと考えていた。
「何のおもてなしも出来ないけど、狭い家で良かったら泊まっていけばいい」
「いいのか?」
「それで恩返しになるなら」
少年はそう言っていて、俺も大人数で寝るのは修学旅行以来だったからちょっと楽しみだった。
そして皆でカレーを食べていた、好き嫌いをする弟に少年は「ちゃんと食え」と言っていた。
俺は歩夢の嫌いなものは何でも食べていたから、叱るのも愛だよなと思った。
甘やかすだけが愛情じゃない、だから歩夢は俺から離れていってしまったのか。
食器を洗っていたら、少年も手伝ってくれると言ってくれて一緒に皿洗いをしていた。
そういえば、歩夢の友人というだけで名前は知らないな。
「なんかこれが本物の兄弟なんだな」
「本物のって歩夢がいるだろ」
「まぁそうだけど、歩夢を甘やかしてばかり居たからな…叱った事はないんだ」
「だろうな、歩夢を見てたら分かる」
そんなに歩夢ってわがままに見えるのか?…俺のせいか。
歩夢の友人が「自分の事姫だなんだ言ってるのも珍獣兄さんのせい?」と聞いてきた。
…うっ、確かに歩夢の事お姫様扱いしているけど…それは可愛い弟だからで…
全部俺が悪いんだ、言い訳はしない…食器を洗い終わると子供達に抱きつかれて一緒に遊ぶ事にした。
元気な子供達で、俺は早々にバテてしまい…馬乗りになる小さな子を少年が抱き上げていた。
「付き合わせて悪いな」
「いや、いい運動になったから」
「子供が好きなのか?」
「まぁな、嫌いじゃない」
この子達を見てると歩夢みたいで可愛いんだ、懐いてくれるし…
中学生の少年は「そういえば、お兄さんの名前を聞くの忘れてました…申し訳ございません」と謝ってきた。
俺も名乗らずにいたから、俺も悪かったと謝ったら少年に「何二人で謝ってんの?」と不思議そうな顔をされた。
俺が自己紹介をすると、皆も自己紹介を始めてやっと名前を知った。
末っ子の男の子はリン、女の子はミク、小学生の男の子はセラ。
中学生の少年はイクト、そして歩夢の友人の名はナイトという。
「改めて、よろしく」
「うん、よろしく」
「あらあら、随分賑やかね」
聞き覚えがない女性の声が聞こえて、見るとドアの前に優しそうな女性と男性がいた。
パパママ!と子供達が駆け寄っていて、この人達が両親なのかと頭を下げた。
子供達が両親にも俺がいる理由を説明していて、大歓迎してくれた。
明るい家族で、俺に「いつでも居ていいのよ」と言ってくれて心が暖かくなる。
なんか、俺も家族になったみたいで嬉しかった…魔導学園に入った不安が安らぐようだった。
俺が作ったカレーをご両親達にも食べてもらい、美味しいって言ってもらってホッとした。
今まで家族以外に料理を作った事がなかったが、レオンハルトやナイトの家族達に食べてもらえるなんて思わなかった。
友人はいたけど、こんなに人と触れ合う事はなかった…一番は歩夢だったから遊びにもあまり行かず歩夢のいる家に帰っていた。
俺も、俺自身の繋がりを改めないといけないな……歩夢は当然大事だが、歩夢と同じくらい繋がりを大切にしないといけない。
それが欠けていたのも事実だ、世界の全ては歩夢だった。
歩夢にとっても俺にとっても、このまま歩夢を連れて帰っても俺達は何も変わらない。
歩夢と一緒に未来を歩むために、俺は俺の大切を見つける。
この不思議な国で出会ったレオンハルトとナツとヨシュアとナイト達…きっとまだ出会っていない人達…俺はいろんな人達と出会って成長する。
そしてきっと歩夢も同じように大人になっていく。
ナイトを見て、俺もこんな家族になりたいなと思った。
「あたし、あずまおにいちゃんとけっこんする!」
ミクちゃんが俺の膝の上に乗ってそんな事を言っていて、驚いた。
小さいとはいえ女の子にそう言われるのはちょっとドキッとした。
ありがとうと頭を撫でるとおませな女の子は俺の腕に抱きついていた。
すると、リンくんとセラくんも言い出して俺に抱きついてきた。
不思議なモテ期だなぁと笑っていたらイクトくんが「お兄さんが困ってますから」と止めていた。
それを微笑ましそうに見ていたお母さんはナイトの方を見た。
「ナイトはいい人いないの?」
「……またその話か」
「ナイトが心配なのよ、いつもボーッとしてるし将来の事考えてるのかと思って」
「あー、考えてる考えてる」
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俺もなれるかな、歩夢とこんな暖かい家族に…
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