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三原歩夢の物語5
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「そろそろ寮に帰るか」
「…………え?」
見つめ合っていい雰囲気だと思っていたのに、ナイトはすぐに目を逸らして歩いていった。
呆然とナイトの後ろ姿を見つめていて、少し考えてみた。
寮って…そっか、そうだよね…さすがにここは衛生的に悪いもんね。
寮の部屋なら多分シャワーもあるし、ちょっと焦らされるのも燃える。
クールなのに、意外とそういうプレイが好きなのかな。
ナイトは無自覚みたいだけど、他の王位継承者達とも知り合いになりたいな。
皆この学校に通ってるのかな、ナイトやエルダみたいな美形ばかりだといいな。
遺跡を出ると、空はもう夕陽色になっていた…学校に来たのは夕方前だから当たり前か。
「ねぇナイト、他の王位継承者達もこの学校にいるの?」
「そりゃあな」
「へぇ、会いたいなぁ…」
「晦冥の王位継承者だけは近付かない方がいい」
「なんで?」
「危険人物だから」
ナイトはそれだけ言い、森の中を無言で歩いていた。
他の王位継承者は名前からして、何の魔法か分かる。
でもその人だけ想像が出来ない、どういう魔法を使うんだろう。
危険、どんな感じの危険か分からない…そう言われたらますます会いたくなってくる。
他の王位継承者達はどんな感じか聞いてみたら「王子とお嬢」と言っていた。
王子は分かる、王子様みたいなカッコイイ人なんだろうなぁ。
ナイトも見た目で言えば王子だと思うけど、さすがに自分で言うのは恥ずかしいか。
でもお嬢ってなんだ?ここは男子校だし、王位継承者は男しかなれないってエルダは言っていた。
となると男でお嬢……僕はお姫様だから、なんかライバルの予感がする。
僕より可愛い子なんてありえないけど、ちょっとは可愛いのかな。
僕は誰かを守りたいんじゃなくて、守られたいんだ。
だからカッコいい人が好きで、可愛いのは男でも無理かな。
「ナイトはお嬢って子の事好き?」
「……は?」
「だって、可愛い子じゃないの?」
僕の事をお姫様扱いしてくれないのに、その人はお嬢って言うんだ。
僕よりも過ごした時間が長いとかなのかな、まさか恋人?
もしナイトがそのお嬢って子を好きでも僕は奪う自信があるんだけどね。
だって僕は、誰が相手だって負けないお姫様なんだから!
僕の言葉で眉を寄せて、明らかに嫌そうな顔をしていた。
ナイトの様子からして気持ちはなさそうだけど…
もしかして僕に惚れてるからもう好きじゃないって事なのかもしれない。
ナイトが小さな声で「あんなの好きな奴はドMだけだろ」と言っていた。
ドMが好きなお嬢…女王様なのかな。
顔は女みたいだとナイトが言うが、僕とタイプが違うようだ。
僕はどっちかって言うとマゾ寄りだからかな。
ナイトはSっぽいな、雰囲気でだけど…
あっ、ダメダメ…こんなところで想像したら我慢できなくなる!
森を歩いていると、大きな建物が見えてきた。
洋館風の建物があり、ここが一般寮なのだろう。
制服を着ている生徒が何人か外に出て会話をしていた。
そういえばまだ入学式が始まってないのになんで制服来てるんだろう、他の生徒は新入生か分からないけどナイトは同室者だってエルダが言っていた。
「そういえばナイト、なんで制服着てるの?」
「今日、新入生のみで魔力検査があったからな…歩夢は人間だから受けなくてもいい」
そうなんだ、楽しそうだからちょっと残念だな。
でも魔法が使えなくても僕もこの生徒達の仲間入りするんだなぁ、見た目はあまり普通の人と変わらないけど魔導士なんだよね。
そういえば空を飛んでいる人もいる、上を見ると現実離れしている事がよく分かる。
ここは僕がいた世界じゃないんだなと改めて思った。
門を潜ろうとしたら、寮とは別の方向から誰かが歩いてくるのが分かる。
僕の美形察知能力を侮ってはいけないのだ。
金髪の王子様がいる、優雅に歩くその姿は気品に溢れている。
白い制服がよく似合っている、まるで童話から抜け出してきたようだ。
ボーッと見つめていたら、金髪の王子様が見えなくなりそうでナイトの制服の袖を掴んだ。
「ナイトナイト」
「なんだ、早く中に入るぞ」
「あの人ってもしかして…」
王子様だって言うと、ナイトも目線を王子様に向けた。
僕も期待の眼差しを王子様に見つめると、ナイトは「レオンハルトさん」と呼んだ。
まさか金髪の王子様とも知り合いとか、ナイトの交友関係は広いんだなぁ。
こちらに視線を向けるレオンハルトさんは、軽く手を上げていた。
僕の物語の第三の王子様に相応しい人だ!ちなみに一はエルダで二はナイト。
理由は特にない、出会った順位なだけで皆素敵だ。
急いでいるのか「話はまた今度」とだけ言って行ってしまった。
キラキラしたオーラだけ残して去っていってしまった。
もっと近くで見たかったな、僕の顔覚えてくれたかな。
やっぱりあの人ってそうだよね、他の人とは違うものがある。
「相変わらず忙しそうだな」
「あの人が王位継承者の王子?」
「まぁな」
「恋人いるのかな?」
「恋人って、居てもいなくても歩夢には会長がいるだろ」
当然のように言うナイトに分かってないなぁとため息を吐く。
僕みたいな可愛い子は、誰か一人のものになるなんて勿体ないと思わない?
エルダは好きだけど、ナイトだって遠慮しなくていいんだよ。
僕は何でも受け入れるよ、ナイトに熱い視線を送るけど僕の方を見てくれなかった。
ナイトは「まぁでも、恋人は出来ないだろうな」と言っていた。
恋人は出来ない?理想が高いのかな、僕じゃダメ?
可愛い子がタイプじゃないとかかな、でもタイプじゃなくてもメロメロにする自信があるよ!
それとももっと他にこだわりでもあるのかな、僕に出来ない事はないよ!
そしてナイトの言葉に、そういう問題じゃなくて驚いた。
「あの人、そもそも恋愛というものが嫌いだから」
「…………え?」
見つめ合っていい雰囲気だと思っていたのに、ナイトはすぐに目を逸らして歩いていった。
呆然とナイトの後ろ姿を見つめていて、少し考えてみた。
寮って…そっか、そうだよね…さすがにここは衛生的に悪いもんね。
寮の部屋なら多分シャワーもあるし、ちょっと焦らされるのも燃える。
クールなのに、意外とそういうプレイが好きなのかな。
ナイトは無自覚みたいだけど、他の王位継承者達とも知り合いになりたいな。
皆この学校に通ってるのかな、ナイトやエルダみたいな美形ばかりだといいな。
遺跡を出ると、空はもう夕陽色になっていた…学校に来たのは夕方前だから当たり前か。
「ねぇナイト、他の王位継承者達もこの学校にいるの?」
「そりゃあな」
「へぇ、会いたいなぁ…」
「晦冥の王位継承者だけは近付かない方がいい」
「なんで?」
「危険人物だから」
ナイトはそれだけ言い、森の中を無言で歩いていた。
他の王位継承者は名前からして、何の魔法か分かる。
でもその人だけ想像が出来ない、どういう魔法を使うんだろう。
危険、どんな感じの危険か分からない…そう言われたらますます会いたくなってくる。
他の王位継承者達はどんな感じか聞いてみたら「王子とお嬢」と言っていた。
王子は分かる、王子様みたいなカッコイイ人なんだろうなぁ。
ナイトも見た目で言えば王子だと思うけど、さすがに自分で言うのは恥ずかしいか。
でもお嬢ってなんだ?ここは男子校だし、王位継承者は男しかなれないってエルダは言っていた。
となると男でお嬢……僕はお姫様だから、なんかライバルの予感がする。
僕より可愛い子なんてありえないけど、ちょっとは可愛いのかな。
僕は誰かを守りたいんじゃなくて、守られたいんだ。
だからカッコいい人が好きで、可愛いのは男でも無理かな。
「ナイトはお嬢って子の事好き?」
「……は?」
「だって、可愛い子じゃないの?」
僕の事をお姫様扱いしてくれないのに、その人はお嬢って言うんだ。
僕よりも過ごした時間が長いとかなのかな、まさか恋人?
もしナイトがそのお嬢って子を好きでも僕は奪う自信があるんだけどね。
だって僕は、誰が相手だって負けないお姫様なんだから!
僕の言葉で眉を寄せて、明らかに嫌そうな顔をしていた。
ナイトの様子からして気持ちはなさそうだけど…
もしかして僕に惚れてるからもう好きじゃないって事なのかもしれない。
ナイトが小さな声で「あんなの好きな奴はドMだけだろ」と言っていた。
ドMが好きなお嬢…女王様なのかな。
顔は女みたいだとナイトが言うが、僕とタイプが違うようだ。
僕はどっちかって言うとマゾ寄りだからかな。
ナイトはSっぽいな、雰囲気でだけど…
あっ、ダメダメ…こんなところで想像したら我慢できなくなる!
森を歩いていると、大きな建物が見えてきた。
洋館風の建物があり、ここが一般寮なのだろう。
制服を着ている生徒が何人か外に出て会話をしていた。
そういえばまだ入学式が始まってないのになんで制服来てるんだろう、他の生徒は新入生か分からないけどナイトは同室者だってエルダが言っていた。
「そういえばナイト、なんで制服着てるの?」
「今日、新入生のみで魔力検査があったからな…歩夢は人間だから受けなくてもいい」
そうなんだ、楽しそうだからちょっと残念だな。
でも魔法が使えなくても僕もこの生徒達の仲間入りするんだなぁ、見た目はあまり普通の人と変わらないけど魔導士なんだよね。
そういえば空を飛んでいる人もいる、上を見ると現実離れしている事がよく分かる。
ここは僕がいた世界じゃないんだなと改めて思った。
門を潜ろうとしたら、寮とは別の方向から誰かが歩いてくるのが分かる。
僕の美形察知能力を侮ってはいけないのだ。
金髪の王子様がいる、優雅に歩くその姿は気品に溢れている。
白い制服がよく似合っている、まるで童話から抜け出してきたようだ。
ボーッと見つめていたら、金髪の王子様が見えなくなりそうでナイトの制服の袖を掴んだ。
「ナイトナイト」
「なんだ、早く中に入るぞ」
「あの人ってもしかして…」
王子様だって言うと、ナイトも目線を王子様に向けた。
僕も期待の眼差しを王子様に見つめると、ナイトは「レオンハルトさん」と呼んだ。
まさか金髪の王子様とも知り合いとか、ナイトの交友関係は広いんだなぁ。
こちらに視線を向けるレオンハルトさんは、軽く手を上げていた。
僕の物語の第三の王子様に相応しい人だ!ちなみに一はエルダで二はナイト。
理由は特にない、出会った順位なだけで皆素敵だ。
急いでいるのか「話はまた今度」とだけ言って行ってしまった。
キラキラしたオーラだけ残して去っていってしまった。
もっと近くで見たかったな、僕の顔覚えてくれたかな。
やっぱりあの人ってそうだよね、他の人とは違うものがある。
「相変わらず忙しそうだな」
「あの人が王位継承者の王子?」
「まぁな」
「恋人いるのかな?」
「恋人って、居てもいなくても歩夢には会長がいるだろ」
当然のように言うナイトに分かってないなぁとため息を吐く。
僕みたいな可愛い子は、誰か一人のものになるなんて勿体ないと思わない?
エルダは好きだけど、ナイトだって遠慮しなくていいんだよ。
僕は何でも受け入れるよ、ナイトに熱い視線を送るけど僕の方を見てくれなかった。
ナイトは「まぁでも、恋人は出来ないだろうな」と言っていた。
恋人は出来ない?理想が高いのかな、僕じゃダメ?
可愛い子がタイプじゃないとかかな、でもタイプじゃなくてもメロメロにする自信があるよ!
それとももっと他にこだわりでもあるのかな、僕に出来ない事はないよ!
そしてナイトの言葉に、そういう問題じゃなくて驚いた。
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