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11、ビューティー・ザ・キャットウーマン!

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 運命の出会いとか、出会った瞬間恋に落ちるとか。
 そういうのってフィクションの中だけだと思ってたんだけど。

 いつものように「cafeだんでらいおん」のドアを開いたその先。

 ああ、あるんだな、と思った。
 心臓がかっと熱くなったみたいにドキリとして、同時に一瞬、ツキンと締め付けるような胸の痛みを感じた。

 すらりとしたポロポーション。
 シャム猫さんと綺麗なお姉さんを足して2で割ったような、限りなくヒトに近いお顔立ち。
 通った鼻筋にアーモンド型の目。
 青い大きな瞳は愛らしくありながら、知性を感じさせる。

 イッツ・ソー・クール!!
 なんという美人!

 そして当然っちゃ当然なんだけど猫耳。
 完璧です!
 見たか二次元! 猫耳美女は実在したよ! と叫びたい。

 千秋さんと同じ白いシャツだけど、エプロンは黒のカフェエプロン。
 カフェエプロンというやつは胸当てがないタイプでして。
 胸のボタン、もう一つ閉めてもいいんじゃないですかね。開いた胸元につい目が行っちゃいますよ。
 ウエストは細いのにカフェエプロンが覆う腰回りはなんともいいカンジなサイズで。
 そこから伸びるきれいなヒトの足。
 ちょっと澄ました感じの美猫さん。
 ミニ丈の黒いタイトスカートなんてもう犯罪かと。
 そしてぴんと立ちあがった、すらりと細いしっぽ。
 い、言っていいですか。

 エロい。
 エロいです。
 エロス満載です。
 この世界は皆さん割とナチュラルというか保守的なファッションをされているのに、この方と来たら!
 ヤバい、ハァハァとはこの事か、っていうくらいの盛り上がりを感じる。

「幼馴染のニーニャ。街の方に就職してたんだけど、こっちに帰って来てフラフラしてるから親父さんに頼まれてバイトに雇ったんだけど」
 紹介してくれた千秋さんは困惑顔で美人さんを見下ろした。

「何言ってるノ。ちーちゃんだって助かるでショ」
 語尾が、語尾が……ッ!
 少し独特なイントネーションがたまんないです。
 さっきからドキドキが止まらないですよ。
 セクシーなカフェ店員さんバンザイ。

 人間のクールめ美人さんにつれなくされたらとことん落ちるだろうし、怯えてしまうだろうけど相手はネコさん獣人。
 美人さんには本当に申し訳ないんだけど、ツンデレとしか思えない。
 こんな事言うと大変失礼な話だとは思うけど、お婆ちゃんちで飼ってたニャンコもそうだった。
 みんな思うはず。
「お近づきになりたい!」
 例えすげなくされようとも!

 私はその日から思いつく限りのありとあらゆる方法を試みた。
 田舎で都会に就職してしまうので同じ年代の女の子はかなり貴重で、その貴重なお嬢さん方も平日はお仕事でいないし、おばちゃんや若いお母さんとは「クサカベーカリー」に来店してくれた時にお話したりはするんだけど、「〇〇先生は」とかママトークについて行けない時もあるし。

 だから必死になっても仕方ないじゃないですか!
「ああ、しまった!」感を演じながらボールを転がしてみたり、猫じゃらし的な長い物をバッグにつけて歩いてみたり。
 あからさますぎて「ワタシ、そういうあからさまなのには引っ掛からないんだケド」と可愛そうな子を見る目で言われた。
 後で考えたら侮辱的な行為だったと思うんだけど、ニーニャさんは「お客さんのする事だし」と大きな心で生ぬるく見守ってくれていたらしい。

 その後、非礼を反省して若い女の子が好きそうな物にシフトチェンジした。
 ニーニャさんの好きな物が分からないので、とりあえず王道の甘いものから。
 クッキーやラスクを持ってお茶に誘ってみたところ、最終的に、cafeだんでらいおんのテラスのテーブルセットでフルーツパイを食べながら肉球を揉みしだく許可を得る事に成功した。

 くはぁぁぁー、幸せ。
 千秋さんのかたくて少し乾いた肉球とは違う、女性らしい細い手と柔らかくしっとりとした肉球。
 つやっつやの毛並み。
 シルクのような感触と言うのかな。
 一粒で二度おいしい。
 ああ、感無量っす。

 って私、千秋さんの手をもふもふしたことなんてあったっけ?
 ……ああ、あったわ!
 過去の恥を思い出してしまったよ。
 しかも寝てたはずなのに感触を覚えてるとか、どんだけ変態だよ。

「アンタ、変態なの?」
 突然ニーニャさんが少し引いた様子で言った。
 うおう、すんばらしいタイミングで責められたー!
 そりゃスイーツのお礼にハンドマッサージを「させてくれ」って言ってるんだもんねー、変態以外の何物でもないですよネー。

 冷たく言いながらも、されるがままに触らせてくれるニーニャさんは優しい。
 気まぐれなところもあるから、触れられる日に心行くまで堪能させていただかなければ。

「私の世界の人間はみんなこんなカンジだよ」
 フニフニ、さわさわ、ナデナデ。
 右手で掌の肉球を、左手で手の甲のシルクのような肌触りの艶やかな毛並みを堪能させていただく。
 ああ……この感触たまらない。
 完全に「キャバクラで女の子の手を揉みしだいてる酔っ払い」の図。
 おっさんの気持ちが分かった気がする。

「『お客さん』は気が多いってホントなんだネ」
 呆れたようにため息をついて、通りに目を向けて頬杖をついたニーニャさん。
 こんな変態行為に付き合ってくれるニーニャさんは本当に心が広いなぁ。

 あ、ちなみに「この制服は千秋さんの趣味なのか?」と密かに勘ぐってたんだけど、しょっちゅう「ちゃんとしたエプロン着けろ」とあの千秋さんが文句を言ってるのでどうやら違ったらしい。
「暑いし動きにくいからイヤ」
 ってツンと顔をそらすニーニャさん。
 ああ、たまんない。
 そりゃそんなボリューミーなお胸だと大変ですよね!
 普通のエプロンなんてしたら肩こっちゃいますよね!
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