45 / 47
第2章 その後のふたり
16、<提案>それは突然やってきた
しおりを挟む
たろさん、まさか魚まで捌けるとは。
もう、なんともいたたまれない感がハンパないのですが。
先週は深夜残業続きだったから、わたしがすべきだとは思うんだけど「もともと俺がやるつもりで持って来たから」というお言葉に、負けた。
女として、彼女としてどうかと思うが、その魅力的過ぎる誘惑に完膚なきまでに負けた。
「昔、会社で一時期海釣りが流行った時期あるの知らない? 高田に無理やり連れて行かれて、しばらくハマってやってたんだけど、さすがに毎回お袋に処理させてたら自分でやれと言われて、そりゃそうだ、と」
そう言えば、社内報で釣り大会の写真とか出てたような?
わりと年齢層が高いメンバーだったと思うけど、たろさんもその一員だったとは意外だった。
あの会社の人は趣味につぎ込むか、趣味を持っても楽しむ時間がなくて遠のいてしまって無趣味状態のどちらかの人が多かった気がする。
「素晴らしいです、たろさん。うちの父もたまに釣りはするんですけど、釣った後は母に丸投げなんですよ。釣りは、『捌いて家族に振る舞うまで』が釣りですよねぇ」
包丁を使う手の邪魔にならないよう、たろさんの右側に離れて立ってその様子を学ばせてもらう。
今日のお昼はお味噌汁とたろさんのお刺身で「刺身定食」にしよう。
さんざんアジを捌かせておいてなんだけど、お疲れのたろさんには休んでほしい。
ここは1日家でまったりするしかない。
「この間はごめん。堀ちゃんが気を遣ってくれたのになんか意固地になった」
突然、何の前触れもなくあっさりと言われた。
━━はい。
たろさんが到着される直前まではわたしも緊張していましたが、レジ袋いっぱいのアジとそれを捌けるたろさんにすべてを持って行かれてました。
しかも、うちの実家の分まで捌いてくれるって言うんだもん。
うちの母は捌けるけど、「ついでだから」って簡単に言ってくれて。
あー、もう、どこまでですか。
どこまで素敵男子ですか。
「いえ、わたしが偉そうに差し出がましいことを言ったので。こちらこそすみませんでした」
「まぁ最近は減ったけど確かに部長とかに連れて行かれる時あるしね。そんなトコ行くくらいなら早く帰って堀ちゃんと一緒にいる方がいいんだけど」
ちょっと、何と答えたらいいか分からなかった。
「最近、無趣味状態だったのがそもそもの問題なんだけど、今は堀ちゃんの趣味に便乗させてもらって、すごい楽しくやってるから」
そう言ったたろさんは本当に楽しそうだ。
そんな調子で手は動き続けているから、魚を捌くのが楽しいのかと錯覚しそうになるけど、目が優しいから違うんだろうな、と思う。
ああ、これって完全に自惚れだよなぁ。
「なんか、淀みないですね。やっぱり捌けるに越した事はないですよねぇ」
照れを隠してしまった。
でも本当に魚を捌いて行く手元から目が離せない。
苦労する割に身が無くなるというトラウマのせいで、これまで避けてきたけど、たろさんがここまで出来るんならわたしも頑張らないといけないかなぁ。
「苦手なら俺が担当するから大丈夫だよ?嫌いじゃないし」
えぇえっ!
「マジですか、師匠。一生ついて行きます」
ちょっと興奮が抑えきれなかった。
たろさん、本当にもう、男前過ぎます!
テンションが振り切った状態で見上げれば、たろさんは困ったような顔をしてから小さく息をついた。
包丁をまな板の上に置いて、ちょいちょいと呼ばれる。
何か捌くポイントでもあるのかと見に行けば、右腕で肩を抱き寄せられた。
くっついたのは、久々な気がする。
生魚を触った手が触れないよう、不自然な高さで手の甲の方へ反らされた手は大きくて、骨ばった「男の人の手」。
正直そそるものがありまくりです。
「あの、堀ちゃん。ちゃんとプロポーズしたいと思ってるので、そういうフライングはちょっと困るかも」
まぁ、もう言ったも同然か。
わたしの頭に顎を乗せたたろさんはそう言って、もう一度ため息をついた。
「重ね重ね、出過ぎた真似をして申し訳ないです」
何と答えればいいか分からず、小さく言えば笑われる。
「これこそ牽制だよね」
たろさんはそう言ったけど、こんなに甘い牽制はないですよ。
「わたし、そういう事になるのであれば一度はケンカしときたい派なんで、まぁ結果的には良かったかと思います。あ、決してふっかけた訳じゃないですからね」
「まぁ、ケンカにもなってなかった気がするけどね」
穏やかに笑ったたろさんは、聞けばわたしほどは深くは考えていなかったそうで。
「忙しすぎてメールも出来ない」くらいの感覚だったご様子。
「帰ったら話そう」に至ってはメールや電話では伝わりにくいので、会ってちゃんと色々ゆっくり話したかっただけらしい。
はい、それでいいです。
こっちが勝手に深刻になって悪循環に陥ってただけです。
久々に恋する乙女状態だっただけなんです。
黙り込んで、時間が経って、言うタイミングを逃して、気が済んだつもりになるけど心中ではくすぶってて素直になれなくて。
相手に対する不満をぶつけようのないまま、自己完結させるという非常に不健康な事をしてきたのだけれど。
「そういうのは改めようと思います」
「うん、そうしてくれた方が助かる。黙られるのが一番キツイ。気になったり、嫌な思いしたらすぐ言っていいから。たまには年上らしいとこ見せたいし」
頭をもたせかけて甘えれば、肩を抱く腕でより強く抱き寄せられ、頭のてっぺんに頬を乗せてくれた。
身長差があるから少し体勢が厳しそう。
「あと1尾か。くそっ。手が使えないのがつらい。さっさと終わらせるね」
珍しく乱暴な言葉に思わず笑ってしまう。
最後ぐらいやると言ったら、やはり「ついでだから」と言われてしまう。
手が使えないたろさんの代わりに腰に抱きついて、背伸びしてキスをねだった。
甘い空気というよりも、リアルに生臭いのはご愛敬だ。
父は昔から時々思い出したように釣りに行く。
釣果をすべて母に処理させていた。
母は仕方なく処理していたけど、実はものすごく嫌がっていて、父がいなくなると文句を言いながら捌いていたなぁ。
「おかずになるんだからいいだろう」とか言うけど、釣具やらガソリン代やら考えたら買った方が断然安いからね!
スーパーの切り身の方が手間もかからないからね!
新鮮なのは認めるけど、そんな過程を経て食卓にならんだおかずに好意的にもなれず。
だったのに。
なぜこうも美味しいかな。
新鮮だから?
それとも恋人が捌いたから?
刺身は飲みに行った時にあればつまむ、程度だったのに。
「堀ちゃん、今度、住宅展巡りとかしない?」
舌鼓を打つ勢いでお刺身をいただいていたら、たろさんから新しい提案があった。
★☆★
次回で最終回となります。
もう、なんともいたたまれない感がハンパないのですが。
先週は深夜残業続きだったから、わたしがすべきだとは思うんだけど「もともと俺がやるつもりで持って来たから」というお言葉に、負けた。
女として、彼女としてどうかと思うが、その魅力的過ぎる誘惑に完膚なきまでに負けた。
「昔、会社で一時期海釣りが流行った時期あるの知らない? 高田に無理やり連れて行かれて、しばらくハマってやってたんだけど、さすがに毎回お袋に処理させてたら自分でやれと言われて、そりゃそうだ、と」
そう言えば、社内報で釣り大会の写真とか出てたような?
わりと年齢層が高いメンバーだったと思うけど、たろさんもその一員だったとは意外だった。
あの会社の人は趣味につぎ込むか、趣味を持っても楽しむ時間がなくて遠のいてしまって無趣味状態のどちらかの人が多かった気がする。
「素晴らしいです、たろさん。うちの父もたまに釣りはするんですけど、釣った後は母に丸投げなんですよ。釣りは、『捌いて家族に振る舞うまで』が釣りですよねぇ」
包丁を使う手の邪魔にならないよう、たろさんの右側に離れて立ってその様子を学ばせてもらう。
今日のお昼はお味噌汁とたろさんのお刺身で「刺身定食」にしよう。
さんざんアジを捌かせておいてなんだけど、お疲れのたろさんには休んでほしい。
ここは1日家でまったりするしかない。
「この間はごめん。堀ちゃんが気を遣ってくれたのになんか意固地になった」
突然、何の前触れもなくあっさりと言われた。
━━はい。
たろさんが到着される直前まではわたしも緊張していましたが、レジ袋いっぱいのアジとそれを捌けるたろさんにすべてを持って行かれてました。
しかも、うちの実家の分まで捌いてくれるって言うんだもん。
うちの母は捌けるけど、「ついでだから」って簡単に言ってくれて。
あー、もう、どこまでですか。
どこまで素敵男子ですか。
「いえ、わたしが偉そうに差し出がましいことを言ったので。こちらこそすみませんでした」
「まぁ最近は減ったけど確かに部長とかに連れて行かれる時あるしね。そんなトコ行くくらいなら早く帰って堀ちゃんと一緒にいる方がいいんだけど」
ちょっと、何と答えたらいいか分からなかった。
「最近、無趣味状態だったのがそもそもの問題なんだけど、今は堀ちゃんの趣味に便乗させてもらって、すごい楽しくやってるから」
そう言ったたろさんは本当に楽しそうだ。
そんな調子で手は動き続けているから、魚を捌くのが楽しいのかと錯覚しそうになるけど、目が優しいから違うんだろうな、と思う。
ああ、これって完全に自惚れだよなぁ。
「なんか、淀みないですね。やっぱり捌けるに越した事はないですよねぇ」
照れを隠してしまった。
でも本当に魚を捌いて行く手元から目が離せない。
苦労する割に身が無くなるというトラウマのせいで、これまで避けてきたけど、たろさんがここまで出来るんならわたしも頑張らないといけないかなぁ。
「苦手なら俺が担当するから大丈夫だよ?嫌いじゃないし」
えぇえっ!
「マジですか、師匠。一生ついて行きます」
ちょっと興奮が抑えきれなかった。
たろさん、本当にもう、男前過ぎます!
テンションが振り切った状態で見上げれば、たろさんは困ったような顔をしてから小さく息をついた。
包丁をまな板の上に置いて、ちょいちょいと呼ばれる。
何か捌くポイントでもあるのかと見に行けば、右腕で肩を抱き寄せられた。
くっついたのは、久々な気がする。
生魚を触った手が触れないよう、不自然な高さで手の甲の方へ反らされた手は大きくて、骨ばった「男の人の手」。
正直そそるものがありまくりです。
「あの、堀ちゃん。ちゃんとプロポーズしたいと思ってるので、そういうフライングはちょっと困るかも」
まぁ、もう言ったも同然か。
わたしの頭に顎を乗せたたろさんはそう言って、もう一度ため息をついた。
「重ね重ね、出過ぎた真似をして申し訳ないです」
何と答えればいいか分からず、小さく言えば笑われる。
「これこそ牽制だよね」
たろさんはそう言ったけど、こんなに甘い牽制はないですよ。
「わたし、そういう事になるのであれば一度はケンカしときたい派なんで、まぁ結果的には良かったかと思います。あ、決してふっかけた訳じゃないですからね」
「まぁ、ケンカにもなってなかった気がするけどね」
穏やかに笑ったたろさんは、聞けばわたしほどは深くは考えていなかったそうで。
「忙しすぎてメールも出来ない」くらいの感覚だったご様子。
「帰ったら話そう」に至ってはメールや電話では伝わりにくいので、会ってちゃんと色々ゆっくり話したかっただけらしい。
はい、それでいいです。
こっちが勝手に深刻になって悪循環に陥ってただけです。
久々に恋する乙女状態だっただけなんです。
黙り込んで、時間が経って、言うタイミングを逃して、気が済んだつもりになるけど心中ではくすぶってて素直になれなくて。
相手に対する不満をぶつけようのないまま、自己完結させるという非常に不健康な事をしてきたのだけれど。
「そういうのは改めようと思います」
「うん、そうしてくれた方が助かる。黙られるのが一番キツイ。気になったり、嫌な思いしたらすぐ言っていいから。たまには年上らしいとこ見せたいし」
頭をもたせかけて甘えれば、肩を抱く腕でより強く抱き寄せられ、頭のてっぺんに頬を乗せてくれた。
身長差があるから少し体勢が厳しそう。
「あと1尾か。くそっ。手が使えないのがつらい。さっさと終わらせるね」
珍しく乱暴な言葉に思わず笑ってしまう。
最後ぐらいやると言ったら、やはり「ついでだから」と言われてしまう。
手が使えないたろさんの代わりに腰に抱きついて、背伸びしてキスをねだった。
甘い空気というよりも、リアルに生臭いのはご愛敬だ。
父は昔から時々思い出したように釣りに行く。
釣果をすべて母に処理させていた。
母は仕方なく処理していたけど、実はものすごく嫌がっていて、父がいなくなると文句を言いながら捌いていたなぁ。
「おかずになるんだからいいだろう」とか言うけど、釣具やらガソリン代やら考えたら買った方が断然安いからね!
スーパーの切り身の方が手間もかからないからね!
新鮮なのは認めるけど、そんな過程を経て食卓にならんだおかずに好意的にもなれず。
だったのに。
なぜこうも美味しいかな。
新鮮だから?
それとも恋人が捌いたから?
刺身は飲みに行った時にあればつまむ、程度だったのに。
「堀ちゃん、今度、住宅展巡りとかしない?」
舌鼓を打つ勢いでお刺身をいただいていたら、たろさんから新しい提案があった。
★☆★
次回で最終回となります。
10
お気に入りに追加
287
あなたにおすすめの小説

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される
えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。
お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。
少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。
22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!
楠ノ木雫
恋愛
貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?
貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。
けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?
※他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる