36 / 47
第2章 その後のふたり
7、堀川家姉弟の「うちの長女は」の話
しおりを挟む
今回は堀ちゃんの妹さんと弟さん目線になります。
********************************************
◆堀川家の次女香さん30歳 2児の母による「うちの末っ子長男は。」
我が家の末っ子長男はご多分にもれずシスコンである。
兄弟間の関係性についての本で「長女と一番下の男の子の相性が一番いい」というのを読んだことがあるが、あれは間違いない。
うちは仲良し3姉弟で、もちろん次女であるわたしとも仲は良い。
が、姉との相思相愛ぶりときたら、見ていてこちらが心配になるくらいだった。
姉弟と知らなければ仲良しカップルにしか見えないのだから。
弟は誠と言って3つ年下の27歳で、県外に就職し営業をしている。
お母さん本人が「誠は半分、千佳に育てられたようなもの」と言ってるくらいだ。
おかげで良識のある、フェミニストで誠実な好青年に育った。
さくらと会えば肉弾戦で全力で遊んでくれる、子供好き。
それなのに長らく彼女の影はない。
県外に行っているから知らないだけじゃないかと言われるが、あれはいない。
ちょっとガタイがよくて、どちらかというと愛嬌のある顔立ちだけど、彼女を作ろうと思えば作れるタイプだと思う。
家族の贔屓目を抜きにしても。
それなのになぜいないかと言うと━━だって、理想がお姉ちゃんなんだもん。
誠誠君、もう済んでるわ。
優しくて気遣い上手。
超がつくほどの常識人。
中学校の卒業文集で「いいお母さんになりそうですね」とクラスの男の子からメッセージを寄せられるような姉だ。
朗らかで清楚に見えるけど、下ネタにも対応可能。
下品になり過ぎない程度に上手く乗っかる術を持っている。
なかなかいないだろう。
まー君本人は否定するけど、あんな姉を長く見て来たらそりゃ女に求める条件が厳しくなるのは当然で。
帰省しても毎回必ず姉の所にご飯を食べに行き、泊まって帰る男だ。
一応連絡しておくか。
『お姉ちゃんに彼氏が出来た事をご報告申し上げます』
カワウソがお祝いしているおめでたいスタンプとともにアプリで送信した。
『マジで。
いくつ?どんな人?』
愕然としたウサギスタンプとともに返ってくる。
『38歳の超絶イケメン。
あの会社の元先輩だって。
さくらは陥落済み。お母さんもにやにやしてた』
********************************************
◆堀川家の末っ子長男による「うちの一番上の姉ちゃんは。」
もう家に来て、親にも会わせる仲なのか。
まぁ、もう千佳ちゃんも32だしな。
ピコンと着信音がして画像が届く。
心の準備がなかったからちょっと焦った。
ちーちゃんと一緒に映ってるラブラブ写真とかキッツイな。
身内のそんな写真なんて見たくないんだが━━と思ったのだが。
1枚目。
さくらとカワウソを見ている笑顔のイケメン。
は? これが38歳?
想像以上のハイスペックに、思わず画面に顔を寄せてしまった。
2枚目。
寝ているさくらを抱っこしている、穏やかな表情のイケメン。
ああ、うん。
写真コンクールとか、テレビの『微笑ましい写真』とかで出そうなくらい、いい写真だけど。
え? どういう状況?
ちーちゃん写ってないし。
『私が体調不良で寝込んだ時、二人が動物園連れてってくれた。
ものすごくいい人だったよ。
どうよ。このルックス。
すごくない?』
付き合いがいいのか、ちーちゃんに言われて断れなかったか。
いや、でもちーちゃんはそんな無理言う人じゃないしな。
このイケメンがついて来たって言うのが正解か?
っていうか、この人、すげぇ楽しんでるよな。
『これで38で独身とか怪しいだろ。
バツイチとか不倫とか大丈夫?』
『お母さんも言ってたw
あの会社で働き過ぎただけの、ちゃんとした独身みたいよ。
お姉ちゃんが選んだんだから大丈夫でしょ』
あぁ、うん。
色々とものすごい説得力があるわ。
ちーちゃんは座右の銘が『自己責任』とか言う人だ。
ちゃんとした人を選ぶだろう。
小さい時はいつも3人姉弟のリーダーだった。
県外に進学した時、フェリーで帰省すればいつも港まで送迎してくれた。
就職活動中、『面接官を笑わせた者勝ちよ。似たり寄ったりの成績だったら一緒に働きたいと思う人を選ぶんだから』そう言って緊張をほぐしてくれた。
常識的で口やかましい事もあったけど、社会に出た時、ちーちゃんに教えられた色々な事に助けられ、本当に感謝した。
イケメンさんとは年齢は少し離れているかもしれないけど、そのくらいの落ち着いた人が一番合っているような気もする。
ちーちゃんは基本的に男を甘えさせてしまうタイプだと思うから、ちーちゃんが甘えられるような人ならいいんだけど。
でもって、ちーちゃんはなかなかコアでニッチな趣味の持ち主だから、そういうのを気にしない包容力のある人だとなお良い。
海岸の岩場に出来た潮だまりで喜々としてイソギンチャクに片っ端から指を突っ込み、素手で子供の拳サイズのカニを捕まえ、その後、真剣にアメフラシを探していたのは20代前半だったはず。
後でふと「イソギンチャクって毒あるんだっけ?」と調べていた。
アホだ。
ちーちゃんは頭はいいのに、時々恐ろしくアホだと思う。
高校ではトップクラスの成績を修め、その努力の甲斐あって地元でも人気の優良企業に就職した自慢の姉のはずなのに。
残念すぎる。
グループ交際かバーベキュー合コンなのか、なぜか男グループに女一人混じって火をおこしている写真を見たのもその頃だったと思う。
我が家の可愛いアホの子ちゃんは「着火剤を忘れて困ってたからつけてあげた」と言っていた。
田舎のばあちゃんちは昔、五右衛門風呂でよく姉弟で火遊びしたもんな。
火をおこすのもお手の物だよな。
ちーちゃん、そこは女子グループで食材をいじってるのが望ましいと思うぞ。
そんなちーちゃんは、見てる分にはすごく面白いんだけどさ。
もうそんな事言ってられる年じゃなくなってる。
あの頃もう少しちゃんと指導しておけば、もっと早く嫁に行っていたのかもしれない。
まぁ、確固たる自分を持っているちーちゃんには、言っても無駄だっただろうけど。
『親父もイケメンに会ったの?』
『まだ。
でもこの間お姉ちゃんがちゃんと報告してた。
お父さんなんか意外と喜んでたよ。
千佳はこんなにいい子なのにどうして彼氏が出来ないのか、って思ってたんだって』
ちーちゃんは確かにぱっと見は優良物件だけど、あとは男がついて行けるかどうかなんだよな。
親父はその辺知らないんだろうけど。
あれほど溺愛してたのに、娘が30代になると父親の反応もそんな物か。
まぁ、かおちゃんも結婚したし、何より今は可愛い孫娘が2人もいるしな。
親父の事だから、あわよくば男の子見たいとか思ってんだろうな。
親父は次男だし、うちは後継ぎ云々を言うような大層な家でもない。
俺が県外の企業に就職する事になった時も何も言われなかった。
母さんには今のご時世、就職して働くだけで万々歳と言われた。
ちーちゃんも揉める事はないだろう。
親父はよく言えばフリーダム。
辛辣に言えば酒癖が悪くて正直面倒な人間だった。
かおちゃんの結婚式で、感動的な『花嫁の手紙』の最中、酔っぱらって合いの手を入れるような人間だ。
あんたへの謝辞の途中だろうが。
ご列席の皆さんが微笑ましく受け取ってくれたのは幸いだったが、あの時ちーちゃんは恐ろしく冷徹な目で、視線だけで親父を黙らせた。
俺達姉弟をそれは大事にしてくれるちーちゃんだ、仕方ない。
あんなちーちゃんを見るのは後にも先にもないだろうと思う。
我が3姉弟がシビアなまでにペースを考えて飲むのは、父という反面教師がいたからだと思う。
人生分からないもので、営業となった今ではとても重宝しているが。
そんな親父もさすがに年を取り、酒量が減って落ち着いたと母が言っていた。
うちの家族はみんなちーちゃんの味方だ。
もし親父が理不尽な事で何かごねるような事態になれば、家族会議と言う名の壮絶説教タイムになるのは目に見えているが、どうやらその心配もなさそうだ。
『同棲はしないんだって。
まぁ同棲するなら結婚しろって話だしね。
時々おうちご飯してるみたいだけど。
お姉ちゃんがご飯作ってる間にバンテージ巻いてくれるんだってさ。
あの人達シュール過ぎw』
かおちゃんのメッセージを二度見した。
うわぁ、ちーちゃん……
その人逃がしたら後ないわ。
すごい逸材を見つけたもんだ。
『イケメンgetおめでとう』
ちーちゃんに「でかした」のスタンプとともにメッセージを送る。
ゴールデンウイークは帰省しないつもりだったけど、帰るか。
色々と愉快なネタが聞けそうだし、出来る事ならイケメンなお兄さんの口からも本心を聞いてみたい。
それから最近何かしでかしてないか、困っている事や、相談があれば乗ってさしあげたい。
今後ともぜひ姉をお願いしたいと思うので。
********************************************
◆堀川家の次女香さん30歳 2児の母による「うちの末っ子長男は。」
我が家の末っ子長男はご多分にもれずシスコンである。
兄弟間の関係性についての本で「長女と一番下の男の子の相性が一番いい」というのを読んだことがあるが、あれは間違いない。
うちは仲良し3姉弟で、もちろん次女であるわたしとも仲は良い。
が、姉との相思相愛ぶりときたら、見ていてこちらが心配になるくらいだった。
姉弟と知らなければ仲良しカップルにしか見えないのだから。
弟は誠と言って3つ年下の27歳で、県外に就職し営業をしている。
お母さん本人が「誠は半分、千佳に育てられたようなもの」と言ってるくらいだ。
おかげで良識のある、フェミニストで誠実な好青年に育った。
さくらと会えば肉弾戦で全力で遊んでくれる、子供好き。
それなのに長らく彼女の影はない。
県外に行っているから知らないだけじゃないかと言われるが、あれはいない。
ちょっとガタイがよくて、どちらかというと愛嬌のある顔立ちだけど、彼女を作ろうと思えば作れるタイプだと思う。
家族の贔屓目を抜きにしても。
それなのになぜいないかと言うと━━だって、理想がお姉ちゃんなんだもん。
誠誠君、もう済んでるわ。
優しくて気遣い上手。
超がつくほどの常識人。
中学校の卒業文集で「いいお母さんになりそうですね」とクラスの男の子からメッセージを寄せられるような姉だ。
朗らかで清楚に見えるけど、下ネタにも対応可能。
下品になり過ぎない程度に上手く乗っかる術を持っている。
なかなかいないだろう。
まー君本人は否定するけど、あんな姉を長く見て来たらそりゃ女に求める条件が厳しくなるのは当然で。
帰省しても毎回必ず姉の所にご飯を食べに行き、泊まって帰る男だ。
一応連絡しておくか。
『お姉ちゃんに彼氏が出来た事をご報告申し上げます』
カワウソがお祝いしているおめでたいスタンプとともにアプリで送信した。
『マジで。
いくつ?どんな人?』
愕然としたウサギスタンプとともに返ってくる。
『38歳の超絶イケメン。
あの会社の元先輩だって。
さくらは陥落済み。お母さんもにやにやしてた』
********************************************
◆堀川家の末っ子長男による「うちの一番上の姉ちゃんは。」
もう家に来て、親にも会わせる仲なのか。
まぁ、もう千佳ちゃんも32だしな。
ピコンと着信音がして画像が届く。
心の準備がなかったからちょっと焦った。
ちーちゃんと一緒に映ってるラブラブ写真とかキッツイな。
身内のそんな写真なんて見たくないんだが━━と思ったのだが。
1枚目。
さくらとカワウソを見ている笑顔のイケメン。
は? これが38歳?
想像以上のハイスペックに、思わず画面に顔を寄せてしまった。
2枚目。
寝ているさくらを抱っこしている、穏やかな表情のイケメン。
ああ、うん。
写真コンクールとか、テレビの『微笑ましい写真』とかで出そうなくらい、いい写真だけど。
え? どういう状況?
ちーちゃん写ってないし。
『私が体調不良で寝込んだ時、二人が動物園連れてってくれた。
ものすごくいい人だったよ。
どうよ。このルックス。
すごくない?』
付き合いがいいのか、ちーちゃんに言われて断れなかったか。
いや、でもちーちゃんはそんな無理言う人じゃないしな。
このイケメンがついて来たって言うのが正解か?
っていうか、この人、すげぇ楽しんでるよな。
『これで38で独身とか怪しいだろ。
バツイチとか不倫とか大丈夫?』
『お母さんも言ってたw
あの会社で働き過ぎただけの、ちゃんとした独身みたいよ。
お姉ちゃんが選んだんだから大丈夫でしょ』
あぁ、うん。
色々とものすごい説得力があるわ。
ちーちゃんは座右の銘が『自己責任』とか言う人だ。
ちゃんとした人を選ぶだろう。
小さい時はいつも3人姉弟のリーダーだった。
県外に進学した時、フェリーで帰省すればいつも港まで送迎してくれた。
就職活動中、『面接官を笑わせた者勝ちよ。似たり寄ったりの成績だったら一緒に働きたいと思う人を選ぶんだから』そう言って緊張をほぐしてくれた。
常識的で口やかましい事もあったけど、社会に出た時、ちーちゃんに教えられた色々な事に助けられ、本当に感謝した。
イケメンさんとは年齢は少し離れているかもしれないけど、そのくらいの落ち着いた人が一番合っているような気もする。
ちーちゃんは基本的に男を甘えさせてしまうタイプだと思うから、ちーちゃんが甘えられるような人ならいいんだけど。
でもって、ちーちゃんはなかなかコアでニッチな趣味の持ち主だから、そういうのを気にしない包容力のある人だとなお良い。
海岸の岩場に出来た潮だまりで喜々としてイソギンチャクに片っ端から指を突っ込み、素手で子供の拳サイズのカニを捕まえ、その後、真剣にアメフラシを探していたのは20代前半だったはず。
後でふと「イソギンチャクって毒あるんだっけ?」と調べていた。
アホだ。
ちーちゃんは頭はいいのに、時々恐ろしくアホだと思う。
高校ではトップクラスの成績を修め、その努力の甲斐あって地元でも人気の優良企業に就職した自慢の姉のはずなのに。
残念すぎる。
グループ交際かバーベキュー合コンなのか、なぜか男グループに女一人混じって火をおこしている写真を見たのもその頃だったと思う。
我が家の可愛いアホの子ちゃんは「着火剤を忘れて困ってたからつけてあげた」と言っていた。
田舎のばあちゃんちは昔、五右衛門風呂でよく姉弟で火遊びしたもんな。
火をおこすのもお手の物だよな。
ちーちゃん、そこは女子グループで食材をいじってるのが望ましいと思うぞ。
そんなちーちゃんは、見てる分にはすごく面白いんだけどさ。
もうそんな事言ってられる年じゃなくなってる。
あの頃もう少しちゃんと指導しておけば、もっと早く嫁に行っていたのかもしれない。
まぁ、確固たる自分を持っているちーちゃんには、言っても無駄だっただろうけど。
『親父もイケメンに会ったの?』
『まだ。
でもこの間お姉ちゃんがちゃんと報告してた。
お父さんなんか意外と喜んでたよ。
千佳はこんなにいい子なのにどうして彼氏が出来ないのか、って思ってたんだって』
ちーちゃんは確かにぱっと見は優良物件だけど、あとは男がついて行けるかどうかなんだよな。
親父はその辺知らないんだろうけど。
あれほど溺愛してたのに、娘が30代になると父親の反応もそんな物か。
まぁ、かおちゃんも結婚したし、何より今は可愛い孫娘が2人もいるしな。
親父の事だから、あわよくば男の子見たいとか思ってんだろうな。
親父は次男だし、うちは後継ぎ云々を言うような大層な家でもない。
俺が県外の企業に就職する事になった時も何も言われなかった。
母さんには今のご時世、就職して働くだけで万々歳と言われた。
ちーちゃんも揉める事はないだろう。
親父はよく言えばフリーダム。
辛辣に言えば酒癖が悪くて正直面倒な人間だった。
かおちゃんの結婚式で、感動的な『花嫁の手紙』の最中、酔っぱらって合いの手を入れるような人間だ。
あんたへの謝辞の途中だろうが。
ご列席の皆さんが微笑ましく受け取ってくれたのは幸いだったが、あの時ちーちゃんは恐ろしく冷徹な目で、視線だけで親父を黙らせた。
俺達姉弟をそれは大事にしてくれるちーちゃんだ、仕方ない。
あんなちーちゃんを見るのは後にも先にもないだろうと思う。
我が3姉弟がシビアなまでにペースを考えて飲むのは、父という反面教師がいたからだと思う。
人生分からないもので、営業となった今ではとても重宝しているが。
そんな親父もさすがに年を取り、酒量が減って落ち着いたと母が言っていた。
うちの家族はみんなちーちゃんの味方だ。
もし親父が理不尽な事で何かごねるような事態になれば、家族会議と言う名の壮絶説教タイムになるのは目に見えているが、どうやらその心配もなさそうだ。
『同棲はしないんだって。
まぁ同棲するなら結婚しろって話だしね。
時々おうちご飯してるみたいだけど。
お姉ちゃんがご飯作ってる間にバンテージ巻いてくれるんだってさ。
あの人達シュール過ぎw』
かおちゃんのメッセージを二度見した。
うわぁ、ちーちゃん……
その人逃がしたら後ないわ。
すごい逸材を見つけたもんだ。
『イケメンgetおめでとう』
ちーちゃんに「でかした」のスタンプとともにメッセージを送る。
ゴールデンウイークは帰省しないつもりだったけど、帰るか。
色々と愉快なネタが聞けそうだし、出来る事ならイケメンなお兄さんの口からも本心を聞いてみたい。
それから最近何かしでかしてないか、困っている事や、相談があれば乗ってさしあげたい。
今後ともぜひ姉をお願いしたいと思うので。
10
お気に入りに追加
287
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される
えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。
お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。
少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。
22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
踏み台令嬢はへこたれない
IchikoMiyagi
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる