会社一のイケメン王子は立派な独身貴族になりました。(令和ver.)

志野まつこ

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第2章 その後のふたり

2、ちょっと遅めのバレンタイン家飲み

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 もう少し大きい鍋が欲しいなぁ。

 深手のフライパンいっぱいにロールキャベツを並べて思う。
 大きい鍋だったら1日目はコンソメ、2日目はトマト風味にアレンジして二日分一気に作れるのに。
 今まで一人暮らしだったから大きな鍋は要らなかったけど、たろさんと2人分になると少し心許ない。 
 おでんとか、鍋物も作れるしなぁ。
 一気にいっぱい作って二日食べる方が効率が良いしなぁ。
 おでんって一人だと作る気にならないけど、二人で食べるなら急にアリになるのはなんでだろ。

 車も置けるようになったので、今日はちょっと手の込んだ料理でバレンタイン企画「おうちディナーごっこ」。
 ロールキャベツと、いつもよりちょっと具材の多い見目良いサラダと、パン屋さんでハード系のパンを何種類か買ってきた。
 冷凍している白ご飯も選択可能でございます。
 それからあっさり目のスープ。
 年齢的にね、あんまりこってり系ばかりはちょっと脂っこくて重たく感じちゃうようになったので。

 残ったパンとスープは明日の朝ご飯へ。
 近年稀に見る、見事な使い回しに自己満足がハンパないですよ。
 ベーコンエッグのサンドイッチにしよっと。
 朝から手作りサンドイッチ、と言えば響きはいいけど挟むだけで恐縮です。

 たろさんと話した結果、「やっぱビールは仕事の後の生が最高」と意見が一致したので、缶ビールはやめてスパークリングワインを用意。
 甘口のスパークリングワインは好きだけど、一人では飲みきれないから家では飲めないので嬉しい。
 って!!
 バレンタイン飲みなのになぜか譲ってもらってない!?
 今日はたろさんがお泊りしてくれるのでゆっくり飲めるのに、申し訳ない事をしたかもしれない。
 他にわたしが時々飲んでいる梅酒もあるけど、たろさんは日本酒とか洋酒の方が良かったのかも?
 後で聞いてみよう。
 あぁ、しまったなぁ。

◆◇◆

「お邪魔します」
「お疲れ様でした」
 今日わたしは昼までの半日出勤、たろさんは出勤日の土曜だった。
 会社を出る時にメールをもらったので、もうすぐロールキャベツとスープが温め終わる。

「何したらいい?」
 シンクに向かってロールキャベツを盛りつけようとしていたら、背後からふんわりと包み込まれた。
 しかも、こめかみへのキスのおまけつき。

 こ、これは!
 色恋に関して多少ドライだという自覚があるわたしが、唯一憧れる「新婚さんシチュエーション」!
 帰って来た旦那さんが「ただいま」と言ってキッチンに立つ新妻に、の妄想。
 それが現実に自分の身に起ころうとは!
 こうもあっさり理想をかなえていただけるとは、思ってもいませんでしたっ。

 でもって「何かする事ある?」とかではなく、ご飯の支度をするのが前提なんですね。
 たろさん、出来過ぎで恐ろしいです。
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