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5、駅弁とシンク※

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「あああああああああっひっイィィィィィ」
 大久の猛攻に優士屋はただひたすら声を上げる肉筒と化した。

 奥を捏ねられるのがいい。腹の前側の浅い部分を擦られると狂いそうになる。激しい挿出により結合を深めようと腰を振って合わせてしまう。何かに縋りたくて腰を掴む多くの上腕を掴めば引き起こされて対面座位の姿勢に整えられる。一回り近くガタイのいい大久の太い首につい腕を回せば顔が近づく。
「あぁっ、いっ、あぅっ」
 オークの規格外の男根が腹の中で暴れまわるのが堪らない。これまで経験のないあまりの狂悦に大久の肩口に額を押し当てたまま頭を振ってそれを散らし薄めようとするも逃すことが出来ない。上がった息を抑えたくてなぜか助けを求めるように大久の表情を窺うと熱のこもった視線同士が絡んだ。
 大久は唇を開きかけ、小さく舌打ちした。優士屋の胸がなぜかチクリと痛む。
「よっと」
 軽い掛け声とともに、大久は優士屋を抱えたまま立ち上がる。
 無論、繋がったままだ。

「ぅ、ひっ……ンぁっ……」
 大久が一歩歩くごとに優士屋は息をつめ、小さく喘いだ。
 人体の構造上、後孔への挿入では抜けてしまうのが道理だろうがオークの陰茎は長大だ。大久はこれまですべて収めていなかったそれを少し奥へ進める。日頃態度の悪い優士屋に必死で縋りつかれるのは悪くないもので、まして熱くとろけぎゅうぎゅうと締め付けられる淫筒からわざわざ抜け出る気にはなれなかった。まして落ちまいとするのか反射的に優士屋が足をがっちりと絡めてくる。
 大久の肩に縋りついた体格のいい優士屋を抱えたまま大久は危なげなくミニキッチンへと移動すると器用に片手でコップに水を注ぎ口を数回すすいだ。これまた優士屋を片腕で支えたまま首をシンクに伸ばすようにして器用に口の中の水をシンクに吐き出すのだ。

 大久の奇行に熱に浮かされていた脳は少し落ち着き、腕力も体幹も大久の方が上だと思い知らされた気がした。同時に何をやっているんだと苛立つ。
 せっかく盛り上がっていたのに。いい所だったのに、そう思ってから違う違うと脳内で否定しいつものように難癖をつける。
「何やってんだ」
「ケツ舐めたのにいいのか?」
 は? と思って、冷静になった頭で自分の行動を振り返って優士屋は愕然とした。

 キスを、しようとした。
 それが大久にバレている。
 その様子に大久は相変わらずの駅弁体勢でベッドに戻りながら感心した。
 勇者筋ってのは伊達じゃないな。
 オークの体液の効果が薄い。まさか正気に戻るとは思わなかった。
 
 ベッドに戻った大久がそこに腰を下ろし再び対面座位となると結合が深まる。ごり、と感じたことのない腹の中の感覚に優士屋は声を押し殺す。それでもまだ大久はすべてを収めていない。
 オークの先走りは相性が良ければ触れただけで相手を発情させる。性器に塗せば巨大な陰茎を受け入れるため筋弛緩剤となり、痛みを覚えないよう麻酔の役割を果たす。そのくせ媚肉を擦る感覚は失われることなく、例えようもない快感となって相手を襲う。
 常人であれば一瞬で堕ちるところだが優士屋は勇者だ。理性がしぶとく残り没入できない。
 オークの体液のもたらす効果がじくじくと身を侵食してくるのが分かる。勇者の血がそれに抗い悦楽に浸りきれず中途半端な快楽に苛まれ続ける。まるで拷問のようだ。何かを求めるようにひくひくと後孔の肉がうごめくのが恥ずかしいと思うのに大久の太い首に縋って腰を振りたくりたくもある。

「さて、『何回でも』だったな。言っておくが本当に御無沙汰だからな? 気合入れて相手しろよ?」
「うっせぇ、んなこと自慢してんじゃねぇよ。奥まで来い短小が」
 息を乱し腰を揺らしながら優士屋は虚勢と分かる笑みを浮かべて悪態をつく。
 オークの陰茎は太く、大久は相手を思うからこそ己の性欲を抑え恋人との性交を控えるタイプだ。今も深い挿入は内臓を傷つけるのではないかと自分を律し試し試し押し拓いていたというのに予想以上に煽り返され馬鹿らしくなった。

「馬鹿が。せっかくオークの本能抑えてたってのに。責任取れよ」
 優士屋の硬い腰を掴むと宣言し、大久は一気に穿った。
 それは優士屋にとって脳天を突き抜けるような衝撃だった。
「か……はっ」
 優士屋は息を詰まらせ、一瞬意識を飛ばしたようにも思えた。直後、体は快楽を受け入れる。一方的な受け身だったのは始めだけで激しい突き上げに完全降伏し快楽を愉しみ、大久を貪り尽くす勢いで自らも腰を振る。もう抗おうなどとは思わなかった。

 優士屋は女を抱く際、激しく腰を打ち付けた際に出るパンパンと肉のあたる音を聞くのが好きで、興奮した。それが今はどうだ。お互い腰を振る重量級二人の肉を打つ音は重い。バンバンとひどい音とともに内壁を擦り上げ、奥を捏ねられる。
 唐突に大久に乳首を撫でられる。
「ぁッ」
 思わず声を上げたそこに舌をねじ込まれ口内をぐるりと肉厚の下でまんべんなく舐めあげられる。
 優士屋はとっさにその舌を噛もうとし━━異変に気付いた。
 力が入らない。顎どころか押し返す腕まで。
 肉厚な大きな舌に喉奥まで犯される。舌に擦り上げられた咥内の柔らかい肉は性器のような感覚を覚える。

 息ができない。苦しいのにひたすら気持ちがいい。

 窒息しそうになっているのにそれを甘受し、やがてまるで雄芯を口で愛撫しているような舌遣いでもっとよこせと強請るように大久の舌を吸っていた。そんな自身の暴走に気付くや優士屋は慌てて受け身から攻めに転じ、舌を絡ませ自分の技巧を示す。
「腰踊ってんぞ。オラ、啼け」
「はっ、真面目な大久くんがこんな時だけオラつくのかよ。ウケるわ」
 言葉で殴り合っておきながら行為は激しい性交で、両者ひどく興奮した。

「あ、ああっ、あ、ああっっ」
 再度繋がったままベッドに背中から転がされた優士屋は片足を大久に抱えられて奥まで穿たれる。優士屋の体はすぐに大久の動きを覚え、合わせるように腰を振って奥まで迎え入れると鍛えられ引き締まった腹が大久の陰茎の先端を浮かび上がらせるような錯覚を覚える。
 腹に快楽が急激に集約し、一気に弾ける。陰茎を擦るまでもなく絶頂し、射精した。体が余韻に痙攣を繰り返すなか簡単に身を返され後ろからまたしても律動に襲われる。
「ばっか、今イってる……ッ」
「痙攣して引き絞ってるトコ小突き倒すのがいいんだろうが」
 追い詰められ恥も外聞もなく後だけで極めたことを言外に認めるも大久は追撃の手を緩めることはしなかった。
「一回イくわ」
 妙にあっさりとした口調で大久は宣言すると数回の激しい突き上げのあと奥深くにとどまると同時に優士屋の体をきつく抱きしめた。子種汁を定着させるためのオークの最後の儀式だ。
 優士屋は腹の中がかっと熱を持つのを感じた。中に出されると同時に優士屋もまた射精していた。大久の突き上げの余韻に体が痙攣するように跳ねるのが止められない。大久の陰茎を肉で締めると快楽が続くのに気付いた体は勝手に胎に残る楔を媚肉で扱こうとする。
 かたく抱きしめられ肌と肌が合わさる感覚と腹の中の熱い大久の体液に多幸感を感じた気がして慌てて理性を保とうと小さく頭を振ってそれを追いやる。それなのに腹の熱さが治まらない。
 ヤバい。
 勇者の本能がそれを訴える。
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