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【スピンオフ】ヴァンパイア医師とデュラハン作家の特殊な夜
5、対面座位と淫靡なキス※
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そこまでか。
一瞬、胸がすくような優越感を覚えるも次の瞬間にはそれが自尊心を守るための自衛だと否定する。
自分を慰めるための逃避だと。
だめだ、それを認めたら駄目になる。
分かっているのにどうしても胸がざわつく。
シヴァイツほど社会的地位のある、まともに整えればすこぶる見映えのいい男が必死になって首なしに腰を振っている。
そこに仄暗い歓喜と優越が頭をもたげて来るのを感じる。
イきたいと、急速に体が限界を訴え悲鳴を上げた。
身の内にたまりにたまった快楽は限界まで蓄積され、このまま派手に弾けさせてしまいたい。そうすればどんなに気持ちがいいだろう。
しかし脳が拒絶する。
射精する事に対して恐怖を覚えてしまった。だから射精できなくなった。
しかも今はそれに加えて自分の口内に射精したくないという条件が追加されている。
かといって後ろでなんてイきたくない。考えたくもない。
自身の陰茎を咥えさせられた頭を遠ざけて、陰茎でごく普通にまともな射精をしたい。
あれほど恐れていた射精も、己の口から陰茎を抜きさえすれば秒で達する事ができるだろう。
「ほら、前でイくのが嫌なら後ろでイくしかないだろ」
「んーーっっ! ぅんんンーーっ!!」」
拒否する。
どっちもご免だ。
自分の口に射精するか、後ろで絶頂するかなんて。
こんな二択あっていいはずがない。
口から自分の陰茎を引き抜こうと最後の力を振り絞るようにして全力で腰を上げる。
それをシヴァイツは待っていた。
腰を押し付けドエンの決死の抵抗をも利用し直腸内で肥大したしこりを思いきり擦り上げ、殴打するかのように亀頭で押しつぶして射精を強制する。
人体のエキスパートを相手にしたドエンに、はじめから勝機などなかった。
「━━ッ、ぐふっ━━ぅ」
声もなく絶頂し射精した刹那、口内を襲う自身の白濁にドエンはくぐもったうめき声をあげた。
「……っと」
崩れる身体をすかさずシヴァイツに支えられた。ペニスもそのまま抜いてくれればよかったのに残虐な事に口に挿入されたままだった。
精液など口にしたくない。それなのに射精をとめられない。
「あーあ、だから後ろで達しろと言ったのに」
射精させておきながらシヴァイツはそんな事を言う。
こころなしか喜色が滲むのはシヴァイツにしてみればどちらでも良かったからだ。彼にとって問題は自分との行為でドエンが達する事ができるかどうか、だった。
ドエンの約九か月振りの射精の感覚はあまりにも強烈だった。
絶頂と呼吸困難。酸素を求めるもままならず、ドエンの脳が機能を失いかける。
その瞬間を見極め、シヴァイツはぴったりと密着させたままの腰を引いてドエンの陰茎を口から抜くと自身もドエンの中から出て寝かせてやった。さすがに一度休憩が必要だった。
酸素を求めてドエンが大きく呼吸しようとするも、喉奥や逆流して鼻腔にまでに絡みつく粘液にえづき喘ぐ。ひとしきり噎せかえり、指一本動かす気力もなくドエンはベッドに倒れたままそこから動けなくなった。
男としてのすべての尊厳を失った気がする。自尊心を奪われた。油断すれば嗚咽が漏れそうだがこの男の前でだけは絶対にそんな醜態をさらしたくはなかった。
これ以上の情けない姿など見せたくはないし自分自身がそれを許さない。
ドエンは虚栄心と自尊心が異常に高い男だった。それを完膚なきまで叩きのめされた。
絶望と混乱と脱力。
シヴァイツの動く気配がするがドエンはもうそちらを見る気にもなれなかった。
力が入らずくったりとした大きな体のドエンを、シヴァイツは器用に扱って対面座位に据え、転がっていた頭部を掴んで首の切断面に乗せる。その接合部に大きな手を当て首と胴体を継いだのは医者の術だ。
最悪な事に顔を合わせる状態になったがドエンは自分をこんな目に遭わせた相手の顔を当然見たくもなかった。
えづいた事で目元は涙にぬれ、鼻からも何らかの液体が垂れている。口周りは飲みこまいとした精液にまみれた、汚れきって惨めな顔を見て嘲うのだろう。
射精して精液まみれの口元。絶対に飲みたくなくて口の外に逃がした白濁をシヴァイツはべろりと舐めあげ柳眉を寄せる。
「まずい」
まったくもって何をしているのか理解不能だが、それだけは同感だった。
本当に、ひどい風味だ。
口にしていい代物じゃない。
だから、そのあと口をふさがれ厚い舌で口内を蹂躙された時は混乱した。抵抗する事も思いつかなかった。
こいつ、何やってんだ。気持ちの悪い。
そう意味不明に思いながらも、腹いせとばかりにひどい味の粘液をシヴァイツの舌に絡め擦りつけた。舌下にしぶとく残るぬめりまで舐めとらせようと積極的に迎え入れもした。
責任をもって掃除をさせるくらいの気持ちだったが、シヴァイツもそのつもりだったのか口内の粘液を舐めとり、弄ぶようにとろみあるそれをまとめていく。やっと一つにまとまっとかと思えば舌をからめ、擦りつけてくる。舌で押し返し応戦すれば舌を吸われた。
それが長く、濃厚で淫らな口づけである事にドエンは気付かなかった。
ドエンの口内からようやくぬめりが失せ、シヴァイツへと移る。それを吐かない所を見るに精飲したのだろうとぼんやりとドエンは思った。
精臭も弱まり、ヴァンパイアの官能を匂わせるワインのような唾液の存在がよみがえってハッとする。
「さあ、次は中でイけるか試すぞ」
ヴァンパアの寒気のするような風貌でシヴァイツは笑み、実際ドエンはぞっとした。
一瞬、胸がすくような優越感を覚えるも次の瞬間にはそれが自尊心を守るための自衛だと否定する。
自分を慰めるための逃避だと。
だめだ、それを認めたら駄目になる。
分かっているのにどうしても胸がざわつく。
シヴァイツほど社会的地位のある、まともに整えればすこぶる見映えのいい男が必死になって首なしに腰を振っている。
そこに仄暗い歓喜と優越が頭をもたげて来るのを感じる。
イきたいと、急速に体が限界を訴え悲鳴を上げた。
身の内にたまりにたまった快楽は限界まで蓄積され、このまま派手に弾けさせてしまいたい。そうすればどんなに気持ちがいいだろう。
しかし脳が拒絶する。
射精する事に対して恐怖を覚えてしまった。だから射精できなくなった。
しかも今はそれに加えて自分の口内に射精したくないという条件が追加されている。
かといって後ろでなんてイきたくない。考えたくもない。
自身の陰茎を咥えさせられた頭を遠ざけて、陰茎でごく普通にまともな射精をしたい。
あれほど恐れていた射精も、己の口から陰茎を抜きさえすれば秒で達する事ができるだろう。
「ほら、前でイくのが嫌なら後ろでイくしかないだろ」
「んーーっっ! ぅんんンーーっ!!」」
拒否する。
どっちもご免だ。
自分の口に射精するか、後ろで絶頂するかなんて。
こんな二択あっていいはずがない。
口から自分の陰茎を引き抜こうと最後の力を振り絞るようにして全力で腰を上げる。
それをシヴァイツは待っていた。
腰を押し付けドエンの決死の抵抗をも利用し直腸内で肥大したしこりを思いきり擦り上げ、殴打するかのように亀頭で押しつぶして射精を強制する。
人体のエキスパートを相手にしたドエンに、はじめから勝機などなかった。
「━━ッ、ぐふっ━━ぅ」
声もなく絶頂し射精した刹那、口内を襲う自身の白濁にドエンはくぐもったうめき声をあげた。
「……っと」
崩れる身体をすかさずシヴァイツに支えられた。ペニスもそのまま抜いてくれればよかったのに残虐な事に口に挿入されたままだった。
精液など口にしたくない。それなのに射精をとめられない。
「あーあ、だから後ろで達しろと言ったのに」
射精させておきながらシヴァイツはそんな事を言う。
こころなしか喜色が滲むのはシヴァイツにしてみればどちらでも良かったからだ。彼にとって問題は自分との行為でドエンが達する事ができるかどうか、だった。
ドエンの約九か月振りの射精の感覚はあまりにも強烈だった。
絶頂と呼吸困難。酸素を求めるもままならず、ドエンの脳が機能を失いかける。
その瞬間を見極め、シヴァイツはぴったりと密着させたままの腰を引いてドエンの陰茎を口から抜くと自身もドエンの中から出て寝かせてやった。さすがに一度休憩が必要だった。
酸素を求めてドエンが大きく呼吸しようとするも、喉奥や逆流して鼻腔にまでに絡みつく粘液にえづき喘ぐ。ひとしきり噎せかえり、指一本動かす気力もなくドエンはベッドに倒れたままそこから動けなくなった。
男としてのすべての尊厳を失った気がする。自尊心を奪われた。油断すれば嗚咽が漏れそうだがこの男の前でだけは絶対にそんな醜態をさらしたくはなかった。
これ以上の情けない姿など見せたくはないし自分自身がそれを許さない。
ドエンは虚栄心と自尊心が異常に高い男だった。それを完膚なきまで叩きのめされた。
絶望と混乱と脱力。
シヴァイツの動く気配がするがドエンはもうそちらを見る気にもなれなかった。
力が入らずくったりとした大きな体のドエンを、シヴァイツは器用に扱って対面座位に据え、転がっていた頭部を掴んで首の切断面に乗せる。その接合部に大きな手を当て首と胴体を継いだのは医者の術だ。
最悪な事に顔を合わせる状態になったがドエンは自分をこんな目に遭わせた相手の顔を当然見たくもなかった。
えづいた事で目元は涙にぬれ、鼻からも何らかの液体が垂れている。口周りは飲みこまいとした精液にまみれた、汚れきって惨めな顔を見て嘲うのだろう。
射精して精液まみれの口元。絶対に飲みたくなくて口の外に逃がした白濁をシヴァイツはべろりと舐めあげ柳眉を寄せる。
「まずい」
まったくもって何をしているのか理解不能だが、それだけは同感だった。
本当に、ひどい風味だ。
口にしていい代物じゃない。
だから、そのあと口をふさがれ厚い舌で口内を蹂躙された時は混乱した。抵抗する事も思いつかなかった。
こいつ、何やってんだ。気持ちの悪い。
そう意味不明に思いながらも、腹いせとばかりにひどい味の粘液をシヴァイツの舌に絡め擦りつけた。舌下にしぶとく残るぬめりまで舐めとらせようと積極的に迎え入れもした。
責任をもって掃除をさせるくらいの気持ちだったが、シヴァイツもそのつもりだったのか口内の粘液を舐めとり、弄ぶようにとろみあるそれをまとめていく。やっと一つにまとまっとかと思えば舌をからめ、擦りつけてくる。舌で押し返し応戦すれば舌を吸われた。
それが長く、濃厚で淫らな口づけである事にドエンは気付かなかった。
ドエンの口内からようやくぬめりが失せ、シヴァイツへと移る。それを吐かない所を見るに精飲したのだろうとぼんやりとドエンは思った。
精臭も弱まり、ヴァンパイアの官能を匂わせるワインのような唾液の存在がよみがえってハッとする。
「さあ、次は中でイけるか試すぞ」
ヴァンパアの寒気のするような風貌でシヴァイツは笑み、実際ドエンはぞっとした。
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