腹ペコ淫魔のヤケ酒に媚薬

志野まつこ

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【本編】腹ペコ淫魔のヤケ酒に媚薬

18、※前戯が終わらない

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「とりあえず何回か口と手でヌくぞ、ソレ」
 はじめから後孔で受け入れると最後まではもたないだろうと踏んだルクスは宣言しながらかろうじて残っていた緩んだネクタイを勢いよく抜き、よだれが垂れている気がして口角を舌で舐める。
 その煽っているとしか思えない仕草にディールは喉を鳴らした。熱い視線を送って来るディールに気を良くしながらルクスは長い足の間に座り込んでスラックスを緩める。さぞ窮屈だっただろう。

 おっとこれは。
 今日も元気に飛びだして来るディールの立派な息子にルクスは目を細め舌なめずりをした。
「食い放題どころか大食いチャレンジだな」
 素直に言えばディールは眉をひそめた。
「君はいつも私を食料扱いする」
 不服そうなディールのそれに揶揄はふくまれず、違和感を覚えたルクスはオーガちんこを手にしたまま顔を上げた。
 もしかして、不安にさせていたのだろうか。
 そう言われてみると言い過ぎている気もしてくる。

「僕は美味しい美味しい言うけど、褒め言葉と言うか……食事としてじゃなく恋人とのセックスだと思ってしてるからな」
 恥ずかしい気持ちを堪えて言いながら、照れ隠しにこれ見よがしにいやらしくオーガちんこに舌を這わせた。ディールはその光景に息を飲み、元気で立派なオーガちんこは跳ねるように一度震えてなお体積を増す。

「やろうと思えば触らずにイかせられるんだからな」
 実に素直なオーガちんこにルクスは気をよくしつつも怒った風を装って睨む。ベッドに腰をかけたディールには可愛く不貞腐れた恋人の上目遣いにしか見えなかった。
 首なし先生のように勝手に絶頂させることも出来るが、恋人にそんな仕打ちをする気はない。

「恐ろしいな」
 ディールはそう言って熱に耐えているのがまる分かりの顔で、それでも笑みを作る。ルクスはその実にそそる顔に悪い笑みを浮かべた。期待に胸が高鳴り、股間もまた痛いほど勃ちあがる。

 口と手でヌくと宣言したものの、放たれる実に美味しそうな淫気にルクスはすぐに理性を失った。
 こんな「上物」をみすみす見逃すとか無理だろ。初っ端からフルスロットルでディールの陰茎にむしゃぶりつく。
 媚薬のせいもあってかディールの一度目の吐精はいつになく早かった。しかし達したというのにオーガちんこは「イってませんよ?」とばかりに変わりない様子でそそり立っている。首なし先生もすごかったが恐ろしい効き目だ。
 濃厚な淫気に満足し、さてもういっちょ、と口を開けた所で両脇の下に手を入れられベッドに乗せられた。
「ちょ、まだ」
 四つん這いの体勢に促されたルクスは慌てた。
 まだ早い。ギンギンに薬の効いている状態で挿入に移行してしまうと後が怖い。
 咄嗟に体をひねって訴えようとしたルクスだが、なぜかディールは足の間に仰向けに潜り込んでくる。

「ちょ、なにやっ、なっ」
 足の間に滑り込むように入ったディールはルクスの陰茎にかぶりつく。
「ンあ!」
 突然の口淫にルクスは思わず腕が崩れベッドに突っ伏した。
 オーガの濃厚な淫気に自然と潤った後孔はディールの太い指を難なく迎え入れる。
 ディールの激しい口淫に咄嗟に腰を引くがその腰を抱え込むように回された逞しい腕に阻まれ、後孔をかき回される。崩れ落ちようものなら股座で仰向けに頭を突っ込んでいるディールの頭を潰すことになるその体勢は筋力持久力的にも厳しく、ヒンヒン言わせるつもりだったルクスが啼くことになった。
「ぃあっ、ダメ、僕もするぅぅ、ダメダメ、ムリぃぃ」
 前後に与えらえられる強烈な刺激にシーツを掴んだルクスは早々に泣き言を漏らす。
「ヒぁっ、なんでぇぇ、僕がするって言ってるのにぃぃ」
 訴えるも体は素直で腰が揺れ、震えた。

 ディールはきゅうきゅうと可愛らしく指を締め付け淫らに誘って来るルクスに目を眇める。きっと濡れた赤い肉を晒している事だろうと思うとつい愛撫が激しくなり、咥内の奥までルクスの陰茎を迎え、後孔を指で可愛がる。
「くち、ダメぇぇ、手だけ、手だけでいいからぁぁ」
「教師みたいだな。口ばかり動かしてないで手を動かせって言うだろう?」
「教師なんだよぉぉ、ンぅっ!」
 尻尾で甘くディールの頭をはたけば捕まえられ、先端の膨らんだ部分を柔らかく噛まれルクスは再度声を上げた。今ではそこも立派な性感帯だ。なおも前後を愛撫されルクスは泣き言を漏らす。
「だめ、手も、やぁぁ」
「さっきは手を動かせと言ったのに?」
「くっそ聞きわけが無い!!」
 子供に手を焼く大人のような物言いにディールは楽しそうに喉を鳴らした。

「やだ、も、そんなに食べないでっ、僕がディールの食べるのぉぉ」
「ああ。オーガは生涯現役という者が多い。年老いても食うに困らせることはないから安心してくれ」
「━━ッ」
 生涯とか老後とか。突如発せられたそんな言葉に胸がいっぱいになると同時にルクスは唐突に声もなく射精しないまま後孔で果て、そこはディールの指を強く締め付けた。
 ベッドに転がり後をひく絶頂の熱に浮かされながらルクスは泣きたくなった。

「ディール……欲しい」
 息を切らせながらもルクスははっきりとした口調で欲する。
 猛烈なまでにディールが欲しい。つながりたい。
 淫気など関係のないレベルで愛しい男の熱を心と体がひたすら求めているのを感じた。
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