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高等部編
シュラバを治めるには私が悪役になるしかないのか_3
しおりを挟むでもそんな強力な媚薬ってどういう物……?と考え込んでいると、泣いているヒロインちゃんを慰める役割で、また二人が揉め始めていた。いつの間に集まったのか、校舎の入口あたりには野次馬の生徒がたくさん様子を伺っている。
とりあえず、今は「修羅場」を終わらせなければ。
(えーと、次は、ダンスも出来ず、ドレスも持ってないソフィアを馬鹿にするのよね、確か)
「ところで、ダンスは踊れるようになったのかしら?あなたは努力家だから、きっと上手になったでしょうね。ドレスはどうなさるの?制服で行くわけにはいかなくてよ?」
意地悪く言う私に、オスカーが宣言した。
「ソフィアのドレスはオレが贈ることになっている」
オスカーが「宝石だって準備している」と言ってたから、相当のぼせてるなあとまたドン引きしてしまった。エスコート役ではないオスカーが、ソフィアのドレスを準備すると言うのもおかしな話だから、私は言った。
「『魔術師の舞踏会』のエスコートはアレックスなのでしょう?先にお約束していたのだから。オスカーは彼女と一緒に『お菓子の舞踏会』にいらしたら?来週末ですけど、オスカーがドレスや宝飾品の準備しているなら大丈夫ですわよね?」
「来週末?!そんな!」
珍しくソフィアが口を開いた。本当に焦っているような顔だった。ドレスの準備が間に合わないのかもしれない。
「ちょっと、ちょっとお、アリスちゃん!さすがに無理じゃない?それに『お菓子の舞踏会』の招待状をオスカーにも勿論出したけど、次の日が近衛府の公式行事だから今年は欠席するって返事だったし」
「あら、じゃあ無理かしら?」
しばらく沈黙した後でオスカーが言った。
「いや、大丈夫だ。ソフィアのために出席するよ。ノワイユの名にかけて」
「オスカー様……」
ヒロインちゃんは少し戸惑っていた。何か違和感がある。私は彼女に向かって質問した。
「何か都合が悪いのかしら?」
「あの……その舞踏会には別の方とお約束をしていて……」
その台詞に、オスカーとアレックスが驚いていた。他にもいるんかい。
「誰かしら?」
「言わなければなりませんか?」
「それはそうでしょう。オスカーが納得しないわ」
「……エヴルー侯爵であるリュカ様です」
三つ巴か。ますます面倒になってきた。そしてオスカーがかわいそう。それが私の本音だった。
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