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高等部編
王宮図書館探検隊_3
しおりを挟む王宮図書館は広い。そして広さに比べて司書さんの数が少なく、歴史書について聞いてみてもあまり詳しい人がいないから、私はいつも地道に棚の端から端までを探していた。最近は王立アカデミーの方に重点を置いているから、人員もそちらに割いているらしい。王宮図書館は年代の古い蔵書が多い。
「エリアスは詳しいでしょ?魔法については、どこを調べたらいい?」
「詳しいというほどではないけど、もし魔法の歴史が知りたいなら、何人か著名な研究者を教えるよ」
「あるかどうか、調べてみるわね」
やはりほとんどが帯出禁止。目当ての本が古い物だったので、書庫まで行ってみたが、アカデミーの図書館とは全く違って、古くて黴臭さすら感じる薄暗い場所。あまりいい管理の仕方じゃないよねと思っていると、エリアスが呟いた。
「せっかく希少な蔵書もあるのに、これでは本が傷んでしまう。もったいない」
「そうね。私もそう思う」
私がそう同意すると、エリアスが少し笑った。
「よく図書館にいるけど、アリスは本が好き?」
「う、うん……。好き……」
あわわ、何気ない会話にドキドキしてしまう。
……あれ、そういえばリラもカーラもいない。書庫の入口までは一緒だったのに。
(二人きりーーー?! わざとだな。ぐっじょぶ! リラ&カーラ!)
多分、二人は書庫の入口で待ってるんだろう。ガブリエルが来たら追い出してね。
やっと、デートっぽくなってきた……!とワクワクしながら書棚の間を歩いた。
梯子を使って上段の本を探しているエリアスの背中が格好いい。
毎日のように眺めている背中。
わあああああ!抱きつきたいぞーーー!!!
「ああ、この本だ。ちょっと専門用語も多いから、辞書と一緒に見てみるといい…………アリス?」
私が真っ赤な顔して突っ立ってるのに気づいたんだろう。
梯子から下りたエリアスが、きょとんとした顔で私を見ている。
あまりにも不埒な想像をしていたので、ちょっと反省した。
「あ、ありがとう。帝国公用語の辞書は表にあったから……それを一緒に……」
「待って、アリス」
書庫の扉に向かおうとしていた私の腕をエリアスが掴む。振り返ると顔が近い。
掴まれた腕。
手が触れてる!触れてるー!!!
エリアスが私の顔を覗き込むように見ているから、心臓がバクバクしてきた。顔が熱い。頭がくらくらする。
「な……に、エリアス……?」
エリアスの瞳に私が映っている。
こ、このシチュエーションは―――!!!
「―――むぎゅ?」
エリアスが笑いながらハンカチごと私の鼻をつまんだ。
「アリス、鼻血出てる。大丈夫?」
恥ずかしすぎて思考回路がショートして、私は本当にぶっ倒れた。
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