私に悪役令嬢は無理でした!でも好きな人がいるから頑張ります!

ゆきづき花

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高等部編

人の話を聞けーー!_2

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「どうして弁明しなかった?」

 エリアスがそう言うから、私は軽く混乱した。

(えええええ! どこから聞いてたんだろ?! ダッサい所を見られてしまったー!! いやだあああ恥ずかしい!!!)

 みっともないけど、手でごしごし顔を拭く。涙を見せてしまったのは不覚だったから、にっこり笑ってみた。

「聞く耳のない人にお話ししても、伝わらないもの。私は大丈夫! 明日、きちんとオスカーに話してみるから!」

 でも、エリアスは困ったような表情のまま、ハンカチを持った手をさらに伸ばしてきたから、素直に受け取ることにした。

 薄いとはいえ、リラが毎朝お化粧してくれるから、ハンカチが汚れないようにちょんちょんと使ったけど、何故か思いきり汚した。
 ごめん……洗って返す。

「明らかな誤解だろう? 文言は正確ではないし、見ていて不快だと言ったのはデルベ伯爵令嬢だろう?」

 あれ? 結構前から聞かれてる。私がキョロキョロしたときに、観客はいなかったはずなのに。

「どこで聞いてたの?」
「……盗み聞きするつもりは無かったんだが……」

 そう言って、修練場の方を指差す。学舎に戻ろうとしたら前にオスカー達が歩いていて、ソフィアと親密そうだったから、二人を邪魔しないようにと距離をとっていたらしい。

「話し声は聞こえていた。アリスが誤解されていたから止めようと思ったが……」

 その台詞を聞いて私は思っていた。さっきのソフィアじゃないけど『エリアスが私のために止めようとしてくれた気持ちだけで十分』と思っていた……。

 エリアスはわかってくれている。
 それだけで良い。
 そう思って、ポワンポワンポワンポワ~ンと意識が天国に逝きそうになっていたら、エリアスが呟くようにこう言ったから現実に引き戻された。

「皆の前で罵倒されたかどうか、など、言われた本人が一番わかってることじゃないか。何故彼女は何も言わないのだろうか」


 ……オスカーはソフィア以外から聞いたのかもしれない。でも「事実じゃない」とソフィアが一言いえば終わった話だった。入学式の日にコラリィが私に絡んできたときも、彼女は黙っていた。

 否定も肯定もせず、黙っていた。


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