私に悪役令嬢は無理でした!でも好きな人がいるから頑張ります!

ゆきづき花

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初等部編

これはデートでは?デートですよね?_3

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「それで公爵夫人は護衛をつけるようにとおっしゃったのですね。でもそれは私でなくてもよいのでは?もっと熟練の騎士もたくさんおります」

 勿論そんなことはわかっている。でも、こんな公式に側にいてもらえるチャンスなんかないでしょ!?逃すわけないじゃない!!!というのが本音だったが、私は建前を口にした。

「経緯についても知っているし、エリアスと私は歳も同じだから、近侍として傍にいても仰々しくないでしょう?表向きは和やかなお茶会なのですもの」

 私がそう言うと、エリアスは少し考えこんでいた。

 もっともらしい答えでしょう。
 ふっふっふ。断れないようにリラとカーラと一緒に散々言い訳を考えたんだから!

 会話が途切れたので、私はランチをぱくぱく口に放り込んで片付けていた。
 安レストランガルゴットは常に混みあっている。客の回転が早いから、少々私たちが話し込んでいても目立ちはしないが、そんなに長居するような店ではない。
 今日もサラダは新鮮で美味しいし、今日の日替わり、りんごと玉ねぎのソースがかかった豚のローストは絶品だった。今度、料理長のケヴィンさんに頼んで再現してもらおう。馬番のモハメド爺さん(※事情通)によると、ケヴィンさんは「こんなのが食べたい」というと、すぐチャレンジしてくれるらしい。禿げた頭を叩きながらきっと考えてくれるに違いない。
 すっかり目の前のご飯に夢中になっていると、向かいのエリアスが少しだけ笑っていた。

 ……しまった。またやらかした。
 もう少しおしとやかにしようと、持参しておいたナプキンをカーラに出してもらう。
 そのタイミングで、カーラが「申し上げてよろしいですか」と言ってから発言した。

「エーメ男爵に関する件ついては、私からルテール公爵様には報告しております。ただ、下町へ連れて行ったのが私自身なので……」

 カーラがそこで言葉を切った。とても申し訳なさそうにしている。

「身分をわかっていなかったとはいえ、お嬢様に向かって鞭をふるったことを公に弾劾するとなると、そもそも下町へ連れて行った私の責任にもなります。なので公爵様は、結果的には特に怪我もなかったし、問題にしないとおっしゃっていました」

「そうなの。だから、もうひとつの事についても話したくて」
「もうひとつの事?」
「まだお返事をいただいていない、先日のお手紙の件よ」

 私は、なるべくおしとやかに口元にナプキンを当てて、にっこり笑ってそう言った。

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