私に悪役令嬢は無理でした!でも好きな人がいるから頑張ります!

ゆきづき花

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初等部編

これはデートでは?デートですよね?_1

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 その日、オスカーは何やら庭園で密会しているし(金髪に髪飾りが見えたから多分ロアンヌ嬢)、サシャはそれを笑いながら見ているし、アレックスは側から離れないし、少々苦痛ではあったが、久しぶりに何事もなく学園で過ごした。
 帰宅してすぐに「今日は平和だったよ~」とリラに言うと、リラは困ったような顔をした。

「アリスお嬢様、大事な美しいお顔に傷までつけられて、このままお許しになるのですか?」
「いや、これは自分で転んだから……」

 もう説明が面倒になってきた。ちなみに母だけは、傷について問われて「転んだ」と答えたらあっさり「あら、お転婆ね」と信じていた。



 部屋着に着替えたタイミングでお母様に呼ばれた。

「先日のエーメ男爵夫人のお茶会の件だけど、行ってもいいわよ。ただし、護衛をつけて」

 母とも仲の良い、いわゆるルテール公爵派や中立の立場をとる伯爵家の令嬢や、子爵家令嬢が招待されていたそう。
 男爵夫人はまだ19歳。40歳の公爵夫人クロエより、15歳の公爵令嬢アリスと親しくなりたいのだろう、という事だった。男爵本人はともかく、夫人はおとなしくて温和で、まだ少女のような方らしい。

「デビューしてすぐの社交なわけだし、練習のつもりで行って来たら? 今までは親族のお茶会しか行ったことなかったでしょう?」

 確かにその通りだった。

 母から護衛をつけて、と言われて、私は速攻で手紙を書いた。もちろん、エリアスに。
 リラとカーラから「お嬢様……長すぎます」と言われて、また結局用件のみの内容にした。もう夕刻だったが、カーラにすぐ届けてもらうようお願いをした。
 しかし、いつになったら私は恋文を書かせてもらえるんだろう。せっかくの文通なのに、用事があるから手紙を出しているだけのような気がする。
 もっとこう、何か違う!!


 夕飯の前にはカーラが戻ってきた。

「とりあえず、マルシェでお話はしてくださるそうですよ。良かったですね、お嬢様!」

 それを聞いた私は、もうウキウキしてニコニコで夕飯を食べていたので、料理長のケヴィンさん(70歳)が「お嬢様は魚料理がお好きなようだ」と誤解していたそうだが、そんなことは知る由もない。



 日曜日、先週のマルシェに行くときは質素なエプロンワンピースを着て行ったが、今日はどうしようと考えていた。

 だって、これはデートでは? デートですよね?
 日曜日に約束して待ち合わせて二人きり(※正しくは護衛付き)でランチってどう考えてもデートよね?!

 でもあまりにも華美な装いも引かれるだろうし、浮いてしまうのも嫌だった。
 青色のシンプルなワンピースに白のエプロンを合わせてみた。

「ちょっと不思議の国のアリスっぽくない? 可愛くない? 千葉某テーマパークで働けそうじゃない?」

 そう呟いていたら、「不思議の国? チバ?」とリラが首をかしげていた。

 不思議の国のアリスは原作では7歳だから、少し子どもっぽいかもしれないが、某千葉でも大人がパレードで着てたりするし、今の私、金髪碧眼15歳ならギリ許されると信じたい。
 いっそのこと髪飾りもアリスコスプレで行こうと「黒のリボンもつけたい」とリラにお願いした。もう少し濃い金髪だったら完璧だったが、まさか素でコスプレできるとは。
 しかし、リラにもカーラにも誰にも、この感動はわかってもらえなかった……。

「チバはわかりませんが、こんなにうれしそうなお嬢様の様子は久しぶりです」

 そう言って、リラが笑って身支度をしてくれた。黒のリボンも可愛く結んでくれる。
 また歩きやすいようにと、黒の編上げブーツを履いて、私は張り切っていた。
 歩きたかったがやっぱり執事のルベンが許してくれないので、城門までは馬車を使う。

 この前のガルゴットでそわそわ待っていると、約束の正午の鐘が鳴る頃、エリアスが来た。

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