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初等部編
生徒会長のお悩み相談室_2
しおりを挟む「ルイーズはお姫様だよ。自分から誰かを害するつもりなんてないだろう。ただ周りは違う」
サシャが「あの子は本物のお姫様、深窓のご令嬢」と言っていたが、リュカから見てもそうなのか。
「王太子妃候補ルイーズのために、という言い訳で、君を害することはあるかもしれない」
その時、誰かが戸をノックした。話の途中だったが、リュカが入るよう促す。来たのは、副会長をしているモロー伯家のエミールだった。リュカの隣に私が座っているのを見て、少し驚いた様子だったが、急いでいるのか会釈だけするとリュカと話し始めた。
「お話し中すみません、会長のご許可を頂きたくて」
エミールが持ってきたのは学園内の施設の使用許可証。
学園の授業は基本的には午前中で終わるので、放課後にそれぞれが課外活動をしている。ダンスの練習をする者、修練場で剣術の訓練をする者、法律の勉強会をする者……生徒が主催するサークル活動のようなものだ。その取りまとめをしているのは教師ではなく生徒会。だから、生徒会長であるリュカは何かと忙しい。ちなみに、アリス自身はお妃教育もあり、なんの課外活動もしていない。
日も傾いてきた。首謀者はおそらくロアンヌ嬢だとわかったし、ルイーズ嬢が関わってないであろう事も理解できたので、そろそろ帰宅しなければ。
「忙しいのにありがとう、リュカ。邪魔してごめんね。私は帰るね」
私がそう言うと、書類から目を離さずにリュカが問う。
「……君はオスカーと話したか?」
「話したいけど、まだ……」
結局、舞踏会以降、私は避けられたまま。教室であっても目をそらされるし、話しかけようとすると離席してしまう。
エミールはリュカから書類を受け取ると、言いにくそうに口を開いた。
「あの、会長すみません。明日の会議の件でモープ先生がお呼びです」
「わかった。すぐに行く」
リュカがそう言うと、エミールがほっとしたような顔をした。公爵令嬢である私との会話に入っていくのを遠慮してたんだろう。申し訳ない。
リュカが立ち上がったので、私も席を立つ。エミールは先に部屋を出て、外でリュカを待っていた。
「早めにオスカーと話すことだ。一対一ならまだよいが、相手が複数ならこちらも味方を複数持った方がいい。そのために、今回、一番適役なのはオスカーだと思うが?」
そもそもロアンヌ嬢の不興を買ったのは、オスカーのことがきっかけだし、リュカの言う通りだと思う。
「そうね。ありがとう、リュカ」
私はそう言うと、明日はオスカーがどこへ逃げようと、とっ捕まえて絶対話をしようと決めた。
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