私に悪役令嬢は無理でした!でも好きな人がいるから頑張ります!

ゆきづき花

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初等部編

校舎裏に呼び出される公爵令嬢_1

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 あくる日、私は上機嫌で学園に向かっていた。昨日はエリアスに会えた。文通もしてくれることになった。
 その日のうちに10枚位書いたあたりで、リラから「いきなりこの量は驚かれるのでは」と止められた。
 5枚に短くしたけど、カーラから「前半部分の愛の言葉が重いです」と添削され、結局、用件のみの簡潔な手紙を書いた。
 今日の夕刻、カーラが届けてくれる。返事はもらえるだろうか。それが楽しみで私は浮かれていた。


「ラファエル様のエスコート、とても素敵でしたね」
「ドレスの色もお揃いで」
「エメラルドもとてもよくお似合いでしたわ」

 私の周りにいるご令嬢方が色々話しかけてくるので、私は舞踏会のお礼を言いつつとりあえず微笑んでいた。

(エリアス格好良かったなあ~)
(御者の鞭を断ち切った時とか超かっこよくない?すごくない?)
(伸びた背筋、真剣な目、落ち着いた声で「お怪我はありませんか」って振り返った時、「かっけー」って思って心臓とまりそうだったわ)

 あまり話を聞いてなかったが、私がニコニコしていたので、皆様もニコニコしていた。
 いつものように笑顔で誤魔化して逃げ出し、自席に戻るとオスカーがいない。またバルコニー?と思って外を見たが、そこにもいない。探しているのに気づいたのか、アレックスが言う。

「今日は、まだ来てないみたいだね」
「そう、話したいことがあったのに……」

 そのうち来るかと思っていたら、結局今日はお休みだった。
 放課後、アレックスがグレーの長い髪を揺らしてこちらを見ている。アレックスが何か言いたそうにしてるな、と思っていたら、私の視界は人影に遮られた。

「ルテール公爵令嬢アリス様」

 仰々しく呼ばれ、違和感を感じつつ顔を上げると、見知らぬご令嬢方が立っていた。いや、もしかしたら舞踏会で会ってるような気もするが、物覚えが悪いので思い出せなかった。見たことあるような無いような。高等部の方かな?全然わからない。

 髪を結い上げて、豪華な宝石の髪飾りをつけた金髪のご令嬢が、私を睨みつけるように見下ろしながら言った。

「少しお時間よろしいかしら?」

(これは!もしかして校舎裏に呼び出されるヤツじゃない?!)

 本当にあるんだ、こんなイベント……もとい、こんな出来事。
 でも、アリスは呼び出す側じゃない?大丈夫かな。まあ、どんなものか体験しておこう。
 そう思った私は、あまり危機感を抱くことなく、のこのこと付いていった。


 ご令嬢方が私を取り囲み、口々に言う。

「あなた、オスカー様を侮辱なさったそうね」
「王太子殿下からの覚えがめでたいからって調子に乗ってるのではなくって?」
「殿下にもオスカー様にも良い顔をして、図々しいにもほどがありません?」
「公爵令嬢の肩書きがなければ相手にされませんわ」

 ……お、王太子殿下ファンクラブだと思っていたら、オスカーファンクラブのお姉様方だった……。

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