私に悪役令嬢は無理でした!でも好きな人がいるから頑張ります!

ゆきづき花

文字の大きさ
上 下
10 / 114
初等部編

図書館へ行こう_1

しおりを挟む


「お帰りなさいませ、お嬢様。今日も学業お疲れさまでした。一週間経ちましたが、久しぶりの学園はいかがでしたか?」

 リラが優しく問いかけてくれる。どんよりした空気をひきずっているのを気遣ってるのだろう。

 この一週間、私は探した。探しに探した。勘違いかな?学年が違うのかな?と高等部まで行って探した。
どこにもいなかった。

 生前の『私』が一番好きだった人。
 それはキャラクター名『クラスメイト』。表情差分だって3枚くらいしかないモブキャラ……。
 でも好きだったんだーーー!!!

 「なぜそこ……」と友人があきれていたくらい出番が少ないが、その『クラスメイト』は学園のクラスメイトで(※当たり前)、よく悪役令嬢アリスを庇う立場にいた。だから取り巻きなのだと思っていた。でも幼馴染でもないし、初等部にはいない。どうやら高等部からしか出てこない。

(『アリス』の記憶の中に『クラスメイト』がいないのは、まだ会ってないからなんだ)

 王立アカデミーは、初等部は10歳以上の爵位ある貴族の子女のみ、高等部は16歳以上の貴族(爵位は問われない)の子女のみが入学可能となっている。義務教育ではないので、貴族であっても財力がなかったりすると、リラのように学園には通わず、幼い頃から上位貴族に仕えて、そこで一通り礼儀作法などを学ぶことも多い。身分が高く、学費を払えるお金がないと勉強の機会すらないのが現状だ。
 ついでに説明すると、高等部は入学試験があるが、初等部から在籍していると試験は免除される。また、アカデミー本校は18歳以上で、貴族の推薦状があれば誰でも入学可。とはいえ、本校は学費がかなり高いので、貴族か豪商しか入れないのが現状らしい。……閑話休題。


 『クラスメイト』は、メインキャラクターのような華やかさはないが、整った上品な顔立ち、黒髪に緑の瞳、やや無口で控え目(※セリフが少ない)、他のキャラクターと違って言うことが首尾一貫してるし(※ヒロインの好感度に左右されない)、悪役側とはいえ、とても好きだったのだ。
 彼は騎士団に所属しているらしく、アレックス、王太子ルートでの出番が多かった。もしかしたら騎士爵シュヴァリエなどの準貴族なのかもしれない。会いたいな。どうやったら会えるだろう……。


(騎士爵と公爵令嬢。身分が違い過ぎるけど、お父様許してくださるかしら……。どうしましょう……悲恋?悲恋なのか?ここはもう、実は隣国の王子様のお忍びの姿でしたとかの裏設定がないと公爵令嬢であるアリスは結婚どころかお付き合いすら出来ないのでは?それかいっそヒロインいじめまくって断罪されて身分剥奪され平民になっちゃえばお嫁にいけたりするかしら……?いやいやいじめダメぜったい。てかそれだと死ぬ確率高いし。今更だけど公爵令嬢ってすごい不自由な立場だ。さてどうする……)


「お嬢様?アリスお嬢様?!」

 目の前にリラの顔が飛び込んできた。返事がないから心配したらしい。

「はっ!ごめん、妄想が行き過ぎて駆け落ちして子どもが二人できてたわ!」
「また夢の話ですか。学園はいかがでした?」

 私は妄想は一旦やめて、リラに向かって笑った。

「疲れたけど、皆に会えて毎日楽しかったわ」



 普段着に着替えて、ソファに寝転ぶ。
 実際、学園生活は楽しかった。良家の子女しかいないから、基本的にはわりとのんびりした雰囲気なのだ。でも、いずれお告げとやらがあるはず。「16年前、銀水晶の聖女が甦った」という王宮占星術師によるお告げ。そこで王命により、16歳になる子女で特に優れたものは身分に関係なく王立アカデミーに入る、のだが……なんでこんなに後出しなんだろう?
 シナリオの都合?
 それとも理由がある?


しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか

鳳ナナ
恋愛
第二王子カイルの婚約者、公爵令嬢スカーレットは舞踏会の最中突然婚約破棄を言い渡される。 王子が溺愛する見知らぬ男爵令嬢テレネッツァに嫌がらせをしたと言いがかりを付けられた上、 大勢の取り巻きに糾弾され、すべての罪を被れとまで言われた彼女は、ついに我慢することをやめた。 「この場を去る前に、最後に一つだけお願いしてもよろしいでしょうか」 乱れ飛ぶ罵声、弾け飛ぶイケメン── 手のひらはドリルのように回転し、舞踏会は血に染まった。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

婚約破棄をいたしましょう。

見丘ユタ
恋愛
悪役令嬢である侯爵令嬢、コーデリアに転生したと気づいた主人公は、卒業パーティーの婚約破棄を回避するために奔走する。 しかし無慈悲にも卒業パーティーの最中、婚約者の王太子、テリーに呼び出されてしまうのだった。

【改稿版】婚約破棄は私から

どくりんご
恋愛
 ある日、婚約者である殿下が妹へ愛を語っている所を目撃したニナ。ここが乙女ゲームの世界であり、自分が悪役令嬢、妹がヒロインだということを知っていたけれど、好きな人が妹に愛を語る所を見ていると流石にショックを受けた。  乙女ゲームである死亡エンドは絶対に嫌だし、殿下から婚約破棄を告げられるのも嫌だ。そんな辛いことは耐えられない!  婚約破棄は私から! ※大幅な修正が入っています。登場人物の立ち位置変更など。 ◆3/20 恋愛ランキング、人気ランキング7位 ◆3/20 HOT6位  短編&拙い私の作品でここまでいけるなんて…!読んでくれた皆さん、感謝感激雨あられです〜!!(´;ω;`)

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました

みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。 ここは小説の世界だ。 乙女ゲームの悪役令嬢が主役で、悪役にならず幸せを掴む、そんな内容の話で私はその主人公の姉。しかもゲーム内で妹が悪役令嬢になってしまう原因の1つが姉である私だったはず。 とはいえ私は所謂モブ。 この世界のルールから逸脱しないように無難に生きていこうと決意するも、なぜか第一王子に執着されている。 そういえば、元々姉の婚約者を奪っていたとか設定されていたような…?

勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる

千環
恋愛
 第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。  なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を助けようとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。

処理中です...