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新婚さん(頑張れない) 3 ※

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 戸惑っている私に構わず、東梧さんは当たり前のように私の服を脱がせていく。

「あなたの肌は白く光ってるみたいです。綺麗だ」
「東梧さんって、おっぱい触るの好きですよね」
「許されるならずっと触っていたい」
「だめ」
「じゃあ、食べます」

 そう宣言して先端を口に含むと、舌全体で舐めながら吸い上げるように愛撫を始めた。意図せず体が跳ねて、びくびくと腰が震える。それを優しく押さえ込むように撫でながら、舌での愛撫を続けて、「素直な反応」と嬉しそうに笑う。
 抵抗を諦めて、行為を受け入れてしまえば、そこからは堕ちるように悦楽に飲み込まれていく。

 昨日、全部見ていいと言ったけれど、足を広げられて、さらに指で開かれたら恥ずかしくて、つい「いや」と言ってしまった。

「いいえ、もう全部、僕のものです。全部愛してる」
「あっ……あ、あぁっ……」

 柔らかい舌が吸い付くように秘裂をなぞった。優しく愛撫されるのは堪らなく気持ちいい。
 舌が往復すると、内側がきゅうと痙攣する。陰唇が充血して、どんどん快楽を拾ってくる。触れられているところだけじゃなくて、全身がぞくぞくした。愛液があふれているのを感じて恥ずかしい。
 私の中に舌を差し込んで、押し上げるように陰核を舐めたり、歯を立てたりするから、強い快感に思わず腰を引いた。でも離してもらえなかった。何度も同じ場所を愛撫されて、熱が溜まっていく。

「や、ああっ、もう、これ以上は……ッ……だめ……」

 執拗なくらいに愛液を啜られて、体がいうことをきかなくなる。いつの間にか自分から腰を浮かせていたことにも気づかなかった。

「気持ちいいですか? おねだりしているみたいで、いやらしくて可愛いです」
「……早く、いれて……ほしいです」

 受け入れやすいように、自分から足を開いた。ゆるゆると擦り付けられていた先端が私の中に入ってくる。熱くて固い。嬉しい。

「あっ、あ……入ってくる……の、きもちいい……」
「こうして、あなたが健気に僕を咥えこんでいるのを見ると興奮しますね」

 浅いところを何度も擦って、愛液でぐちゃぐちゃになる様子を見て喜んでいる。
 早くその熱で奥まで満たしてほしいのに、ぐいぐいと腰を押しつけてきたと思えばすぐに引き抜かれて、焦らされておかしくなりそう。

「もういきそうだ……ちょっと待ってくださいね」
「あっ、ああんっ、そこ触っちゃだめ!」

 彼が動くのをやめて、大きな手のひらで私の腹を撫で始めた。すりすりと優しく撫でながら、指で陰核を弄る。腰が震えて下腹がビクビクと上下した。親指だけでぐりぐりと強く押し潰すかのように愛撫されて、息苦しいほど気持ちいい。
 体ごと逃げようとしたら、緩やかに優しく撫でられて背がのけ反った。震えながら身をよじるけど、彼の愛撫から逃げられるはずもなかった。

「ああぁっ……!」

 叫ぶように喘ぎながら、シーツをぎゅっと掴んだら、彼が小さく呻いた。

「……さっきまでと締まり方が違う。気持ちいい?」
「きもち、いっ、っ!」
「これ好き?」
「好きっ、好き、東梧さん、あぁっ!」

 与えられる快楽に耐えられなくて全身が震えた。絶頂と同時に腰が跳ねて体が離れてしまう。楔を失った私の体から何かが溢れたのを感じたけど、鼓動が激しくて頭がくらくらして、何も考えられなかった。
 東梧さんは黙ったまま、脱力している私の足を持ち上げて、また自身をあてがう。

「待って……またいっちゃう……」
「何回でもいって、エロくて可愛い顔を見せて」

 その声は優しいのに嗜虐的で、期待に体の芯が疼く。
 彼が奥深くを責めるから、お腹も背中も重い快感でいっぱいになってくる。気持ちいい。爪先から髪の先まで、全部。
 指の愛撫はさっきよりもっと優しくて、律動で擦れてまたすぐにそこが熱を持つ。中も外も、感じやすいところを同時に責められて、何度も甘く達していた。

「東梧さ……ん、キスしたい、おねがい」

 腕を伸ばしたら、東梧さんは笑いながら抱きしめてくれた。触れあってる肌が温かくて気持ち良くて、このまま溶け合いたい。潤んで熱っぽくなった彼の瞳には、同じような表情の自分が映っている。
 触れてもらえると嬉しい。キスが気持ちいい。舌を絡めているときも、彼は止まらなかったから、揺さぶられて離れないように、彼の体に夢中でしがみついていた。

「和咲、自分でわかる? 甘えるみたいにずっと僕を締め付けてる」
「ん、んっ……わかんない……ごめんなさいっ、いく……!」
「うん、いって。合わせるから」

 何も考えられなくなって腕も足も絡めていたら、腰が浮いてさらに衝撃が増す。それは熱くて激しくて、でも甘くて幸せで。
 ああ、愛されてるんだ、ってわかったら、気持ちが溢れて抑えきれなくて、子供みたいに何度も名前を呼んでしまった。

「あぁっ、東梧さん……東梧さんっ、愛してる」
「僕のほうがもっと愛してるよ、和咲」

 東梧さんのその言葉は、透き通った音みたいにはっきり聞こえた。
 歓びに喘いで震えていると、快感が弾けて全身に満ちていく。気持ち良くて幸せで、墜ちていくような感覚に朦朧としつつ、私の体は痙攣を繰り返していた。
 私の中で、彼が何度も脈動している。脱力して荒い息を吐いている彼が、甘えるように肩にもたれてくるから、愛おしくてぎゅっと抱きしめた。
 しばらくぼんやりと余韻に浸っていたけれど、動けるようになるまでいつもより時間がかかった気がする。

「すみません、全然もたなかった……。和咲さんが可愛いから、もう少し頑張りたいんですが……」
「うん?」
「今日は、これ以上頑張れません……」

 肩にもたれたまま、眠そうな声でそう囁かれて、可愛いと思ってしまった。
 どうしよう、頑張れない東梧さんが可愛い……!!

「大丈夫ですよ。お仕事でお疲れでしょうし、昨日、ソファでいっぱいしましたもんね」

 私が笑ったら、少し体をずらして彼が仰向けになる。起き上がって覗き込んだら、くったりと惚けた顔をしていた。いつも何度も求めてくるのに、今夜は本当に動けないみたいで、それが私には可愛い。
 無防備なまま眠ってしまいそうだったから、乱れた毛布や掛け布団を整えて、彼の隣にもぐりこんだ。私も眠たい。

「赤ちゃんできるといいな」
「できるまで、励みます」
「わたし、家族たくさんがいいです……」

 とても幸せで眠たくて、「おやすみなさい」と言ったかどうか覚えていない。
 翌朝。
 夜更かししたせいで私は寝坊してしまい、朝食を作ってくれたのは東梧さんだった。
 美味しそうな朝食を前に、私が泣きそうになりながら「平日なのに、寝坊してごめんなさい!」と謝ったので、彼は不思議そうな顔をした。平日とか休日とか関係なく、自分が先に起きたから作っただけ……と言われて、驚いてしまった。彼が穏やかに笑いながら言った。

「僕は別に家事労働してほしくてあなたと結婚したわけではないので……。少しずつ話し合って決めましょう」

 私は「自分が全ての家事をする」と思い込んでいた。真臣と暮らしていたときは、当たり前のように私が家事をしていたけれど、そうじゃない考え方の人もいる。
 こんなふうに、私が気づかされることのほうが多かったけれど、結婚生活は順調だった。
 そして結婚式の準備も順調だった。
 私は一度、準備までは経験しているし、東梧さんは親戚や友人の結婚式に何度も列席して、色々な式を見てきたから、「こうしたい」「これはしたくない」というイメージが明確で、揉める要素がほぼなかった。
 このまま平穏に結婚式を迎えるのだと思っていた。
 あの人と再会するまでは。
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