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何度でも確かめていいですよ 1 ※

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 リビングのソファは大きいから窮屈じゃないし、ここでするのも初めてじゃない。けれど、土曜の夜と違って八木沢さんはスーツを着たままだから、私だけ脱がされていくのが余計に恥ずかしかった。
 私を見下ろす彼の濃紺のネクタイが肌に触れる。ネクタイよりも、もっと黒に近いネイビーのスーツは、ダークカラーを好む八木沢さんがよく着ているものだ。上品な艶があって、穏やかな大人の男性である彼によく似合っている。
 でもいまは、纏う空気が普段と全然違う。
 視線が鋭くて捕食されそう……そう思って見つめ返していたら、彼は笑いながら私の背中に手を回して、器用に下着の留め具を外した。

「……ここは、明るくて恥ずかしいです」

 そう言ったのに、彼は反論を許さないかのように私の口をキスで塞いだ。唇を優しく舐められて、抵抗できなくて口を開く。差し込まれた舌が熱くて気持ち良くて、自分から舌を絡める。舌全体を舐められたり、吸われたりしているうちに、吐息が甘ったるい声になっていく。

「あぁ……寝室に……」
「待てないです」

 彼はキスを続けながら、スカートを捲りあげて内腿に触れた。くすぐったさと恥ずかしさで思わず体を引いたけれど、ソファの上では自由に動くことも出来ず、なされるがままゆっくりストッキングを下ろされた。肌に触れる手のひらと化繊の感覚に、足も腰も痺れそうになる。
 これ以上は恥ずかしすぎる。腕を伸ばして彼の体を押しのけようとしたのに、簡単に捕まえられて、逆にソファへ押しつけられた。もっと無防備になった胸に唇が触れる。

「ああっ……ああ!」

 軽く吸われただけなのに、びくびくと体が震えた。口に含んで舌先でちろちろと円を描くように愛撫されたら、じっと出来ないくらいに気持ちいい。

「赤くなってきた、可愛い」
「んっ、いや……」
「いや? こんなに反応して可愛く尖ってるのに?」
「や、言わないで、見ないで」
「可愛い、全部見せて」

 柔らかくゆっくり舐められて、力が抜けていく。拘束されていた腕が解放されたから、ソファの背もたれを掴んで、ずり落ちそうになる自分の体を支えた。
 胸の膨らみを包むように揉まれ、指で先端をこねたり摘んだりされると、まだ直接触れられてない下腹部が熱くなる。
 触れて欲しい。そう思って八木沢さんを見ていたから、気づいた彼が胸への愛撫をやめて、満ち足りたように笑いながら私を見下ろした。どうしよう、好き。好き。

「……好き」
「僕も和咲さんが大好きですよ」
「八木沢さん、だけは……ぜんぶ見ていいです……」

 私がそう告げたら、八木沢さんが息を止めた。そして、普段は見せない淫らな表情になっていくのを間近で見てしまい、心臓の鼓動が速くなっていく。乱暴にジャケットを脱いで、ネクタイを緩める。その仕草が色っぽくて劣情を煽る。背中がぞくぞくするくらい、好きな人に求められるのが嬉しい。

「自分で脱いで。もっと足を開いてみせて」

 自分の手で下着を取って、体を開いた。指と舌が、体中に触れるのを許すつもりで。
 恥ずかしさに震える腹を彼の指が撫で、そのまま何のためらいもなく秘裂に触れる。すでに濡れていたそこを優しく愛撫されて背がのけぞる。何度も何度もゆるゆると擦られて充血した陰核がもっと熱くなる。
 私の内側に触れて欲しくて、もどかしさに喘いだ。私の表情の変化を見ながら、指をゆっくり中へと入れてくる。

「んっ……ぅ……あん、あっ!」
「ここ?」

 頷くことしか出来なくて、喘ぎながら身をよじる。長い指があちこちを探って、敏感な場所を的確に抉る。気持ちいい。ずっと気持ちいい。

「痛くない?」
「きもちいい……です」
「可愛い」

 同時に胸を愛撫されて、体が熱くて、ぐちゅぐちゅに蕩けていく。もう考えるのが億劫で、感じるままに体を動かした。

「あ、あっ、そこ……っ! ああぁっ!」

 体が跳ねるようにびくんと震えて、奥から熱い体液が迸るように溢れ出る。指だけで軽く達してしまった自分が恥ずかしくて顔を背けて息を整えていると、頬に優しくキスされた。
 名残惜しそうにゆっくり指を引き抜かれて、彼の指に纏わりついていた愛液が蜜のように太ももに垂れたのが卑猥だった。
 キスが首、胸へとおりてゆき、膝にもキスされて反射的に足を閉じそうになった。でも彼は、手のひらで内腿を撫でさすり、膝を曲げるようにソファに押しつけてくる。床に跪いている彼の眼前に秘所を晒されて、羞恥で体が熱くなる。

「あ……こんな……」
「物欲しそうにひくひく動いているのは、とてもいやらしいですね」

 全部見ていいとは言ったけど、こんな格好はやっぱり恥ずかしい。恥ずかしいと思うと、なぜかさらに愛液が溢れる。

「やっぱり見ちゃだめぇ……」
「すみません、もう自制できないです」
「や……きゃ、あ、ああっ!」

 軽く唇が触れる。こんな所にキスされて恥ずかしい、と思ったのは一瞬で、すぐにべろりと舌全体で舐められて、悲鳴のような喘ぎ声をあげてしまった。
 気持ちいい場所は知られているから、舌で探られて執拗に責められた。少し視線を下げると、彼の舌が蠢いているのが見える。それがあまりにもいやらしくて目を閉じた。絶え間ない快感が体に蓄積していくようで、腹の奥底が疼いて熱い。

「あぁ、だめ、そんなに……舐めたら、変になる、からっ……」

 怖いくらい気持ちよくて、やめて欲しいけど続けて欲しい。自分でもわからない。
 腰が浮くのを押さえつけて愛撫を続けるから逃げられない。熱い舌だけでなく、指が膣内をかきまわす。何度も愛撫されて熟れた陰核は、少し触れられただけで快楽を生む。気持ちよすぎて涙が零れそうで、ぼやけた視界に、もう限界が近いのを感じた。

「だめ、いく……! いきそう、あぁっ!」

 羞恥心を煽るようにじゅるじゅると音を立てて吸われると、びくびくと腰が動いて頭の中が真っ白になった。
 激しい快感が全身を貫いて、体が熱くて息苦しい。
 脱力して、自分の体さえ支えきれなくて、ソファに乗せていた両足をだらりと投げ出す。恍惚とした、浮遊するような多幸感に身を委ねていると意識が遠のきそうになる。

「まだ休んではだめですよ」

 八木沢さんは意地悪く笑うと、立ち上がって自分も服を脱いでいく。綺麗な体……と、ぼんやり眺めて、「え?」と声をあげそうになった。
 え、こんなに大きかったっけ? 形もこんなだった? こんな反り返るモノ?

「あ、あの、大きいような気がするんですが……?」
「そうですか?」
「形も違う……」
「……和咲さんからそんなに見られると、さすがに恥ずかしいのですが……」

 私が凝視していることに気づいてそう言いつつ、ますます大きくしている。
 八木沢さんだって、さっき見てたくせに。
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