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過去と未来 1
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呼び止めたのは私なのに、やっぱり「帰って」なんて身勝手だと自分でも思う。桂先生は、動けなくなった私に一歩近づき、少し屈むと耳元で囁いた。
「東梧は優しいでしょう? だから、あなたのほうから別れてくれる?」
そんなの絶対嫌だ。でも、言い返したくても声が出ない。彼女は悠然と笑いながら背筋を伸ばした。太陽を背にしたシルエットがとても綺麗だった。揚々とした表情で、何でもないことのように続けた。
「それが一番いいと思うの。戸樫さんもそう思うでしょう、ね?」
共感を求めるように優しく笑っている。
その笑顔が怖くて後ずさりした私の視界が急に真っ黒になった。音と風が遮断され、びっくりしすぎて声が出なかった。体の周りは、ふわふわと温かい。ほのかに八木沢さんのオーデトワレの甘い匂いする。
「あら、隠さなくてもいいじゃない。いま、お話ししてたのに」
「話し? 和咲さんが泣いてるのに?」
「……そんなに怒らないでよ。混乱してるんじゃないの?」
ああ、これ八木沢さんのコートだ。
包まれて前が見えなくなったらしい。視界が開けているのは足下だけ。私と桂先生の間に、八木沢さんが割り込むように立っている。彼のコートを片手でゆっくり持ち上げたけれど、私の場所からは二人がどんな表情なのかうかがい知ることはできなかった。しばらく沈黙した後、桂先生が呆れたような口調で言った。
「仕方ないなぁ、帰る。東梧に会えたから今日はもういい。これ、今の連絡先」
彼女が差し出した紙片を、八木沢さんは受け取らなかった。焦れた彼女が「じゃあ、戸樫さんにあげるね」と言い、私に掛けられているコートのポケットに勝手に入れようと腕を伸ばしてきた。私と目が合っても、彼女は余裕の笑みを浮かべたまま。私がこれを捨てることはないだろう、そう思っているのかもしれない。
少し名残惜しそうに、ゆっくりと彼女が身を翻す。彼女が立ち去り、姿が見えなくなってようやく、私はまともに呼吸ができるようになった。ずっと息苦しかった。私が長いため息をつくと、八木沢さんが振り返り申し訳なさそうに言った。
「突然、すみませんでした。とっさに隠してしまった……見せたくなくて」
「いいえ。私もごめんなさい。身勝手でした」
やっと会えたのに、結局私が邪魔してごめんなさい。そう思って謝っていたら、八木沢さんが視線を下に落とした。なんと言っていいか分からなくて困惑しているように見える。きっと、私が彼を困らせている。
「ごめんなさい……」
「とにかく家に戻りましょうか。話を聞かせてください」
◆
十五階に戻ると、部屋はとても暖かくてほっとして力が抜けた。リビングからキッチンへ行こうとしてよろけた私を、八木沢さんが抱きとめてくれた。
「まだ体が震えてます」
「すみません。八木沢さんも寒かったですよね。温かいお茶を準備しますね」
「こんな震える手で淹れたら、あなたのお気に入りの急須が割れてしまいますよ。僕がやります」
いつものように優しく笑ってくれたから、泣きそうになってしまった。この人と別れるなんて嫌だ。
八木沢さんは私をソファに座らせて、お湯を沸かし始める。なんとなく脱ぎたくなくて、私はコートを着たままだった。袖を通してみたけど、サイズが大きいから手が出てこない。さっき「とっさに隠した」と言われたけれど、多分、私は桂先生に敵意を向けられて、みっともなく泣きそうな顔をしていたのだと思う。情けない。
なんだかいい香りがする、そう思って顔を上げると、八木沢さんが染付のマグカップにジンジャーティーを注いでいた。私が最初に絵付けしたものだから今見たら全然上手じゃないけど、とても気に入っている葉文様。「お手本を真似してもいいし、好きな絵を描いてもいい」と言われたので、アオギリの葉を描いた。ちなみに、焼き物の柄として、アオギリは鳳凰と一緒に描くと教わったので、いつか大きなお皿に描いてみたいと思っている。
毎日のように二人で使っているそのマグカップを彼がテーブルに置き、袖を持て余していた私を見て笑った。
「あなたが着ると、とても大きく見えますね」
「暖かいです。ありがとうございます」
「さっきは驚きましたよ。帰ってきたら、家にいるはずの和咲さんがコートも着ないで外にいるから」
「……私を見つけてくれたんですか?」
「そうですよ。どうしたのかと和咲さんに声を掛けようとしたら、なぜか雅姫がいるし、状況が全くわからなくて困りました」
私は少しずつ話をした。
以前、八木沢さんが手紙を捨てようとしたのを見てしまったこと。クローゼットの中にあった旅行誌と、そこに挟まっていた写真を見てしまったこと。最後の診療で診てくれた医師が、桂雅姫という女性で、休憩時間に「会いたい人に会いに行く」と話していたこと。その桂先生が先刻、この家を訪ねてきたことなどを全部。
「帰ろうとした雅姫を追いかけたんですか?」
「……このまま帰ったら、八木沢さんは桂先生に会えなくなると思って……」
「それで、彼女が『お人好しすぎる』と言ったんですね」
私が話せることは、ひとつを除いて全部話した。
卑怯かもしれないけど、桂先生が八木沢さんのことを「今でも好きな人」と言っていたことは伝えなかった。彼女は既婚者のはずだし、そんなこと口にしたくない。
「私は推測しかしていません。だから、八木沢さんと桂先生のことを、教えてもらえませんか?」
八木沢さんが目を伏せて困ったような表情になる。言いたくないのだろう。
「聞きたくないかと思って、黙っていたのですが……」
「過去なんか、知らなくてもいいと思ってました。八木沢さんにとって『大切な過去』なのであって、それも含めて私は八木沢さんが好きだから。……でも、今は知りたいです。教えてください」
小さな不安はあったけれど、いま大事にしてもらっているから平気だった。無理に聞き出すことじゃないと思っていた。でも、彼女の存在が「過去の思い出」ではなくなった。
「たいした話じゃないですよ。それに、記憶が不鮮明で、もう思い出せない部分もあります。それでもいいですか?」
私がまっすぐに彼を見つめ返して頷くと、彼は仕方なさそうに笑って話し始めた。
「東梧は優しいでしょう? だから、あなたのほうから別れてくれる?」
そんなの絶対嫌だ。でも、言い返したくても声が出ない。彼女は悠然と笑いながら背筋を伸ばした。太陽を背にしたシルエットがとても綺麗だった。揚々とした表情で、何でもないことのように続けた。
「それが一番いいと思うの。戸樫さんもそう思うでしょう、ね?」
共感を求めるように優しく笑っている。
その笑顔が怖くて後ずさりした私の視界が急に真っ黒になった。音と風が遮断され、びっくりしすぎて声が出なかった。体の周りは、ふわふわと温かい。ほのかに八木沢さんのオーデトワレの甘い匂いする。
「あら、隠さなくてもいいじゃない。いま、お話ししてたのに」
「話し? 和咲さんが泣いてるのに?」
「……そんなに怒らないでよ。混乱してるんじゃないの?」
ああ、これ八木沢さんのコートだ。
包まれて前が見えなくなったらしい。視界が開けているのは足下だけ。私と桂先生の間に、八木沢さんが割り込むように立っている。彼のコートを片手でゆっくり持ち上げたけれど、私の場所からは二人がどんな表情なのかうかがい知ることはできなかった。しばらく沈黙した後、桂先生が呆れたような口調で言った。
「仕方ないなぁ、帰る。東梧に会えたから今日はもういい。これ、今の連絡先」
彼女が差し出した紙片を、八木沢さんは受け取らなかった。焦れた彼女が「じゃあ、戸樫さんにあげるね」と言い、私に掛けられているコートのポケットに勝手に入れようと腕を伸ばしてきた。私と目が合っても、彼女は余裕の笑みを浮かべたまま。私がこれを捨てることはないだろう、そう思っているのかもしれない。
少し名残惜しそうに、ゆっくりと彼女が身を翻す。彼女が立ち去り、姿が見えなくなってようやく、私はまともに呼吸ができるようになった。ずっと息苦しかった。私が長いため息をつくと、八木沢さんが振り返り申し訳なさそうに言った。
「突然、すみませんでした。とっさに隠してしまった……見せたくなくて」
「いいえ。私もごめんなさい。身勝手でした」
やっと会えたのに、結局私が邪魔してごめんなさい。そう思って謝っていたら、八木沢さんが視線を下に落とした。なんと言っていいか分からなくて困惑しているように見える。きっと、私が彼を困らせている。
「ごめんなさい……」
「とにかく家に戻りましょうか。話を聞かせてください」
◆
十五階に戻ると、部屋はとても暖かくてほっとして力が抜けた。リビングからキッチンへ行こうとしてよろけた私を、八木沢さんが抱きとめてくれた。
「まだ体が震えてます」
「すみません。八木沢さんも寒かったですよね。温かいお茶を準備しますね」
「こんな震える手で淹れたら、あなたのお気に入りの急須が割れてしまいますよ。僕がやります」
いつものように優しく笑ってくれたから、泣きそうになってしまった。この人と別れるなんて嫌だ。
八木沢さんは私をソファに座らせて、お湯を沸かし始める。なんとなく脱ぎたくなくて、私はコートを着たままだった。袖を通してみたけど、サイズが大きいから手が出てこない。さっき「とっさに隠した」と言われたけれど、多分、私は桂先生に敵意を向けられて、みっともなく泣きそうな顔をしていたのだと思う。情けない。
なんだかいい香りがする、そう思って顔を上げると、八木沢さんが染付のマグカップにジンジャーティーを注いでいた。私が最初に絵付けしたものだから今見たら全然上手じゃないけど、とても気に入っている葉文様。「お手本を真似してもいいし、好きな絵を描いてもいい」と言われたので、アオギリの葉を描いた。ちなみに、焼き物の柄として、アオギリは鳳凰と一緒に描くと教わったので、いつか大きなお皿に描いてみたいと思っている。
毎日のように二人で使っているそのマグカップを彼がテーブルに置き、袖を持て余していた私を見て笑った。
「あなたが着ると、とても大きく見えますね」
「暖かいです。ありがとうございます」
「さっきは驚きましたよ。帰ってきたら、家にいるはずの和咲さんがコートも着ないで外にいるから」
「……私を見つけてくれたんですか?」
「そうですよ。どうしたのかと和咲さんに声を掛けようとしたら、なぜか雅姫がいるし、状況が全くわからなくて困りました」
私は少しずつ話をした。
以前、八木沢さんが手紙を捨てようとしたのを見てしまったこと。クローゼットの中にあった旅行誌と、そこに挟まっていた写真を見てしまったこと。最後の診療で診てくれた医師が、桂雅姫という女性で、休憩時間に「会いたい人に会いに行く」と話していたこと。その桂先生が先刻、この家を訪ねてきたことなどを全部。
「帰ろうとした雅姫を追いかけたんですか?」
「……このまま帰ったら、八木沢さんは桂先生に会えなくなると思って……」
「それで、彼女が『お人好しすぎる』と言ったんですね」
私が話せることは、ひとつを除いて全部話した。
卑怯かもしれないけど、桂先生が八木沢さんのことを「今でも好きな人」と言っていたことは伝えなかった。彼女は既婚者のはずだし、そんなこと口にしたくない。
「私は推測しかしていません。だから、八木沢さんと桂先生のことを、教えてもらえませんか?」
八木沢さんが目を伏せて困ったような表情になる。言いたくないのだろう。
「聞きたくないかと思って、黙っていたのですが……」
「過去なんか、知らなくてもいいと思ってました。八木沢さんにとって『大切な過去』なのであって、それも含めて私は八木沢さんが好きだから。……でも、今は知りたいです。教えてください」
小さな不安はあったけれど、いま大事にしてもらっているから平気だった。無理に聞き出すことじゃないと思っていた。でも、彼女の存在が「過去の思い出」ではなくなった。
「たいした話じゃないですよ。それに、記憶が不鮮明で、もう思い出せない部分もあります。それでもいいですか?」
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