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修行の日々
見張り
しおりを挟む「美味い」
カップ麺を食べながら遥斗はそう言った。
(あの日に大量に買ったとはいえ数に限りがあるから大切に食べないとなぁ)
「それが食べ終わったら見張りの交代にいくよ」
「はーい」
─────佐藤家の庭
「交代に来たよー」
「やっとだ~」
「すいません後はお願いします」
「ご丁寧にどうも」
「じゃあねー」
そして雪達は直ぐに行ってしまった。
(はやっ)
───5分後
「飽きた」
「同じく」
見張りと言ってもいつもと変わらぬ庭を見ているだけなので、直ぐに見飽きてしまう。
「草むしりでもしようかな」
「兄さんそれだと見張りの意味無いよ」
「だよなぁ」
「「はぁ」」
(だから2人はあんなに早く戻ろうとしてたんだな)
「うーん.......あ!」
これからどうしようかと考えていると遥斗がなにか思いついた様だ。
「そもそも健二には『空間把握』があるじゃないか」
「えっ?」
「俺がただ観てるよりも、健二がしっかりスキル使って確認した方が良いだろ!修行の1つだと思えばいけるよ!じゃ!」
そう言って遥斗は横になった。
「えぇ.......しょうがないか」
嫌々ながら健二は『空間把握』を発動する。
初めて使ったような細部まで見れるイメージではなく、表面上を見ている感じだ。色はモノクロでまるで別世界のように錯覚させる。
「.......はぁ」
しかし直ぐに解けてしまう。
「で、兄さんは寝るんじゃなかったの」
「あははは」
笑って誤魔化しながら、遥斗は横にしていた体を起き上がらせた。
「思えば俺ってぐっすり寝てたから、これ以上寝れないんだよね」
「そんなことだろうと思ってたよ」
「てへっ」
「.......兄さん、流石にそれは無理があるよ」
「..............そういえば俺、健二の彼女見たことないんだよなー」
遥斗は露骨に話題を逸らした。
「はぁ.......そうだね兄さんに会わせたことは無かったね」
健二は遥斗の反応に若干呆れつつも言葉を返した。
「でも兄さん話を逸らすのに、それは酷くない?」
「えっ?」
「だって探しにも行けない、今生きてるかも分からない状況.......」
「あっ!」
「そんな条件下で、香澄の話を出してくるなんて.......」
「あの、その.......ゴメン」
現在遥斗たちは、個別で動けるほどの強さでは無いから家に留まっている。しかし、健二は理解は出来ても納得が出来ない。
健二の彼女である白峰香澄は、黒髪ロングの凛とした女子だ。
彼女は弓道部のエースとして活躍していた。
戦闘に関しては、健二は心配していない。むしろ活躍しているだろうと思っているくらいだ。
それでも気になってしまうのだ。
「食べ物が足りてるか」とか「もしかしたら新しい病気も現れていて、香澄が感染したりしているのではないか」等々。健二は1度は頭の隅においやっても、その後に頭をよぎる不安。
それでも睡眠に支障が出てくるほどでは無いのは、香澄が強いからである。
香澄最大の強みは動く的にも正確に射抜けるからである。
十分な視界を確保出来れば走行中の車に当てることが出来る。
故に戦闘面に関して健二は、心配していない。
「本当にゴメン」
遥斗はそう言って頭を下げた。
「大丈夫だよ」
そんな遥斗の反応に対して、健二は笑顔でそう言った。
しかし、その笑顔には影が差しているようだった。
この話はフィクションです
キャラの名前、企業、団体は現実とは関係ありません
更新止まってすいませんでした。
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