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8 フックスベルガー家の記録
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それにしても、なぜ急にフロールマン辺境伯で幽霊騒ぎが起きたのか。
ビアンカの口ぶりでは、ずっと漂っていたようだし、どうも腑に落ちない。
その疑問は過去のフックスベルガー家の日記で解けた。
『ハザルの連れて来た瀕死の乳飲み子はマイ・ロードの慈悲の元、無事に回復し、陽気な美しい乙女となった。乙女は名を改め、ノビアと名付けられた』
(あっ、女の子だったの!? と思ったわ)
『ノビアはマイ・ロードの御子息マクシミリアン様の側近であるサトゥルニノ様に嫁ぎ、娘を産んだ。娘は、ノビアの亡き妹を偲びビアンカと名付けられた』
(ビアンカが二人……)
そして一世代後。
ジークフリード卿がそっくりだと噂のマクシミリアン卿の御子息イグナシオ卿は、ノビアの娘のビアンカと大恋愛の末に結婚した。
つまり、ジークフリード卿にはハザルの血が受け継がれているのだ。
先代と先々代の領主が、ホーリーパワーを使いこなしていて城内が平和だったのか、逆にまったく鈍感で気づかなかったから城内が平和だったのかはわからない。(日記を読めばわかるかもしれないけど、分厚すぎ&歴史積みすぎ。あと達筆すぎて疲れる)
ただ、現在の若き領主ジークフリード卿には、ちょっとだけあるのだ。ホーリーパワーが薄まった霊感が。だから、使いこなせないと言うか自覚が足りないと言うか、結果的にビアンカにおちょくられている。
「ヘタレって、そういう意味かぁ」
疲れたのでひとまず日記を閉じた。
それにしても驚愕の事実。
フロールマン辺境伯の領主に、異国の王家の血が流れているなんて。異国の王家だけでなく、異国の奴隷と自国の臣下の血も。込み入り過ぎなこの事実が周知されていないという事は、極秘だという事。
きな臭い大人たちが陰謀を巡らしたり、強欲などなた様かが忍び寄ったり、血を見る危険をひしひしと感じる。
「おじぃ……なぜ、私に……?」
ところで、もっと特大の気になる記述が前のほうにあった。時系列で当時の状況が書かれているので、昨夜、夢中で読んだものよ。
それは、ハザルとビアンカを襲った悲劇。
なぜビアンカが6才で母親と共に死んだのか。
読後の私が簡潔にまとめると『ハザル暗殺であっちの王妃が送り込んできた暗殺者をフックスベルガーが拷問して処刑した』からの『暗殺者の悪霊が暴れ回って大惨事』からの『ハザルの祈り』からの『落雷』。
ハザルと6才のビアンカは、祈りを捧げている最中に雷に打たれて死んだ。それで強力な守護霊になったっぽい。
既にサトゥルニノと恋仲だったノビアは、サトゥルニノと共に悪霊と戦っていたので、落雷の場にはいなかったと……
「悪霊」
そいつを除霊した記述がない。
ハザルが落雷で死んだ事と結び付けて『神のご加護』で片付けられている。
「いやぁな予感……」
ジークフリード卿が今になって幽霊で騒ぎだしたのって、領主のホーリーな能力不足が原因だといいんだけど……永遠の6才なビアンカがマクシミリアン卿そっくりのジークフリード卿に現を抜かしてホーリーな持ち場を離れがちとかだった場合、この悪霊、起きない?
「あっぶしッ!」
くしゃみ出ちゃった。
古い日記って、なんか煙いのよね。
ビアンカの口ぶりでは、ずっと漂っていたようだし、どうも腑に落ちない。
その疑問は過去のフックスベルガー家の日記で解けた。
『ハザルの連れて来た瀕死の乳飲み子はマイ・ロードの慈悲の元、無事に回復し、陽気な美しい乙女となった。乙女は名を改め、ノビアと名付けられた』
(あっ、女の子だったの!? と思ったわ)
『ノビアはマイ・ロードの御子息マクシミリアン様の側近であるサトゥルニノ様に嫁ぎ、娘を産んだ。娘は、ノビアの亡き妹を偲びビアンカと名付けられた』
(ビアンカが二人……)
そして一世代後。
ジークフリード卿がそっくりだと噂のマクシミリアン卿の御子息イグナシオ卿は、ノビアの娘のビアンカと大恋愛の末に結婚した。
つまり、ジークフリード卿にはハザルの血が受け継がれているのだ。
先代と先々代の領主が、ホーリーパワーを使いこなしていて城内が平和だったのか、逆にまったく鈍感で気づかなかったから城内が平和だったのかはわからない。(日記を読めばわかるかもしれないけど、分厚すぎ&歴史積みすぎ。あと達筆すぎて疲れる)
ただ、現在の若き領主ジークフリード卿には、ちょっとだけあるのだ。ホーリーパワーが薄まった霊感が。だから、使いこなせないと言うか自覚が足りないと言うか、結果的にビアンカにおちょくられている。
「ヘタレって、そういう意味かぁ」
疲れたのでひとまず日記を閉じた。
それにしても驚愕の事実。
フロールマン辺境伯の領主に、異国の王家の血が流れているなんて。異国の王家だけでなく、異国の奴隷と自国の臣下の血も。込み入り過ぎなこの事実が周知されていないという事は、極秘だという事。
きな臭い大人たちが陰謀を巡らしたり、強欲などなた様かが忍び寄ったり、血を見る危険をひしひしと感じる。
「おじぃ……なぜ、私に……?」
ところで、もっと特大の気になる記述が前のほうにあった。時系列で当時の状況が書かれているので、昨夜、夢中で読んだものよ。
それは、ハザルとビアンカを襲った悲劇。
なぜビアンカが6才で母親と共に死んだのか。
読後の私が簡潔にまとめると『ハザル暗殺であっちの王妃が送り込んできた暗殺者をフックスベルガーが拷問して処刑した』からの『暗殺者の悪霊が暴れ回って大惨事』からの『ハザルの祈り』からの『落雷』。
ハザルと6才のビアンカは、祈りを捧げている最中に雷に打たれて死んだ。それで強力な守護霊になったっぽい。
既にサトゥルニノと恋仲だったノビアは、サトゥルニノと共に悪霊と戦っていたので、落雷の場にはいなかったと……
「悪霊」
そいつを除霊した記述がない。
ハザルが落雷で死んだ事と結び付けて『神のご加護』で片付けられている。
「いやぁな予感……」
ジークフリード卿が今になって幽霊で騒ぎだしたのって、領主のホーリーな能力不足が原因だといいんだけど……永遠の6才なビアンカがマクシミリアン卿そっくりのジークフリード卿に現を抜かしてホーリーな持ち場を離れがちとかだった場合、この悪霊、起きない?
「あっぶしッ!」
くしゃみ出ちゃった。
古い日記って、なんか煙いのよね。
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