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15 祝福の嵐
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王家主催の舞踏会では実に23組の求婚が成立した。
花嫁候補の中で、カリプカ総督令嬢姉妹とリボーフ侯爵組だけが悲しい結果となった。元々、招待された貴族たちの中の、花嫁候補以外の令嬢のほうが数が多い。それを思えば、多いのか少ないのかよくわからない結果だ。
ただ、どの婚約者たちも一つの制約を共有していた。
フローレンスの次にレディ・レイラ。プリンセスとなるふたりの結婚式が先。当然の事だった。
フローレンスが特に多忙を極め、私には手伝う能力もないのだけれど、やはりレーテルカルノ伯爵家に住み込む事になった。
「あなたに傍にいてほしいの」
フローレンスにそう言われた時の喜びは、一生、忘れられない。
舞踏会を終え、推薦人としての最後の仕事と婚約報告を兼ねて、ゼント卿は一旦、私を生家ニネヴィー伯爵家へ送り届けた。私は、一度は帰ったのだ。そこで父に頬を打たれた。
「王子の気を引くべき大事な時にこんな若造に色目を使ったのか! 馬鹿者が!!」
私は頬を押え転び、唖然とした。
ゼント卿も、信じられないものを見たと言う顔で固まっていた。
私を庇ったのは、母だった。
「やめてください! 殴るなら私を殴ってください!!」
再び手を上げようとした父を、ゼント卿が無言で止めた。
その目には、鋭い敵意が光っていた。
父の予定通り、両親は離婚に至った。ただそれは、私が修道院へ入り母が見捨てられるというものではなかった。ゼント卿が母の生家ヴィマー伯爵家の後ろ盾となり、母と私に有利な形で離婚を成立させたのだ。冷静さを取り戻した父はゼント卿に何度も謝罪を申し込んだらしいけれど、彼は受け付けなかった。私が暴力を受けた瞬間、彼の中の父に対する冷ややかな評価は憎しみと嫌悪に変わったのだという。
母は充分な慰謝料を受取り、小さな別荘を買ってそこで静かに暮らしている。
私は改めてヴィマー伯爵家の令嬢として、レーテルカルノ伯爵家に赴いた。
ゼント卿はピーター殿下の側近に戻り、殿下とレディ・レイラの結婚式の調整役などを務めながらも、手紙や贈り物で私を安心させてくれたり、時間を作って訪ねてくれた。
そして、瞬く間に時は流れた。
国をあげての王太子フランシス殿下とフローレンスの結婚式は、言葉にできないほど素晴らしかった。その2週間後にはピーター殿下とレディ・レイラの結婚式が執り行われ、ますます国全体が祝福に包まれた。私はどちらの式にも花嫁の介添え人として参列し、忙しさの中でこの上ない幸せを感じていた。
花嫁候補の中で、カリプカ総督令嬢姉妹とリボーフ侯爵組だけが悲しい結果となった。元々、招待された貴族たちの中の、花嫁候補以外の令嬢のほうが数が多い。それを思えば、多いのか少ないのかよくわからない結果だ。
ただ、どの婚約者たちも一つの制約を共有していた。
フローレンスの次にレディ・レイラ。プリンセスとなるふたりの結婚式が先。当然の事だった。
フローレンスが特に多忙を極め、私には手伝う能力もないのだけれど、やはりレーテルカルノ伯爵家に住み込む事になった。
「あなたに傍にいてほしいの」
フローレンスにそう言われた時の喜びは、一生、忘れられない。
舞踏会を終え、推薦人としての最後の仕事と婚約報告を兼ねて、ゼント卿は一旦、私を生家ニネヴィー伯爵家へ送り届けた。私は、一度は帰ったのだ。そこで父に頬を打たれた。
「王子の気を引くべき大事な時にこんな若造に色目を使ったのか! 馬鹿者が!!」
私は頬を押え転び、唖然とした。
ゼント卿も、信じられないものを見たと言う顔で固まっていた。
私を庇ったのは、母だった。
「やめてください! 殴るなら私を殴ってください!!」
再び手を上げようとした父を、ゼント卿が無言で止めた。
その目には、鋭い敵意が光っていた。
父の予定通り、両親は離婚に至った。ただそれは、私が修道院へ入り母が見捨てられるというものではなかった。ゼント卿が母の生家ヴィマー伯爵家の後ろ盾となり、母と私に有利な形で離婚を成立させたのだ。冷静さを取り戻した父はゼント卿に何度も謝罪を申し込んだらしいけれど、彼は受け付けなかった。私が暴力を受けた瞬間、彼の中の父に対する冷ややかな評価は憎しみと嫌悪に変わったのだという。
母は充分な慰謝料を受取り、小さな別荘を買ってそこで静かに暮らしている。
私は改めてヴィマー伯爵家の令嬢として、レーテルカルノ伯爵家に赴いた。
ゼント卿はピーター殿下の側近に戻り、殿下とレディ・レイラの結婚式の調整役などを務めながらも、手紙や贈り物で私を安心させてくれたり、時間を作って訪ねてくれた。
そして、瞬く間に時は流れた。
国をあげての王太子フランシス殿下とフローレンスの結婚式は、言葉にできないほど素晴らしかった。その2週間後にはピーター殿下とレディ・レイラの結婚式が執り行われ、ますます国全体が祝福に包まれた。私はどちらの式にも花嫁の介添え人として参列し、忙しさの中でこの上ない幸せを感じていた。
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