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12 ふたりのプリンセス
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第1王子フランシス殿下と踊った。
第2王子ピーター殿下と踊った。
やり遂げた。
私はきちんと、やり遂げた。
私とゼント卿の誇りを貫き通したのだ。
「……」
ダンスの輪が一周して、音楽が絶妙な変調とともにクライマックスへ向かう。
私たちは最後の相手から手を離し、最後の相手にお辞儀をした。
息が弾み、汗をかいていた。
それから司会役の指示に従って、再び一列に並んだ。
ついに花嫁選びが行われるのだ。
男性側はふたりの殿下を残して下がる。ゼント卿を目で追った。彼は少し弱気な笑顔で私に頷いたあとで、いつもの頼もしい笑みを浮かべた。私の戸惑いを見透かされている。それはわかった。けれど、私は自分の恋を気負いはしなかった。
そっと左右を見ると、それぞれ引きつった笑顔を張りつかせていたり、緊張で目を見開いていたりと、表情は様々だった。ただ隣のフローレンスはひときわ美しく、薔薇色の頬をして、輝く目で私を見つめ、微笑んだ。
決まった。
わかっていた。
フローレンスは必ず、選ばれる。
私は微笑みを返し、息を整えた。
「ピーター殿下」
司会役の声が慇懃に響くと、ダンスとは別の伴奏が始まった。
ピーター殿下は兄であるフランシス殿下に耳打ちされ、それに頷いてから、花嫁候補の列の端に向かって歩いた。
ゼント卿の乳兄弟であり、親友のピーター殿下。
素晴らしい人だ。ゼント卿からたくさんの思い出話を聞いている。私もフローレンスも、ゼント卿のせいでふしぎな親近感さえ覚えてしまっていた。恐れ多い事だ。
ピーター殿下は花嫁候補ひとりひとりに軽く会釈しながら、列を進む。
選ばれなくても、まだフランシス殿下に選ばれるかもしれない。だから、ショックを受けず、逆に期待を高まらせている花嫁候補もいるはずだ。
ピーター殿下が近づいてくる。
心臓が、口から出てしまいそうなくらい、私は緊張していた。
決して自信でも奢りでもない。
恐い。
望むべき結果を恐れている自分の罪深さが、恐いのだ。
深呼吸を繰り返す。
ついにピーター殿下が目の前に立った。
私は息を止め、その人を見あげた。
「……」
胸の閊えが、一瞬で取れる。
ピーター殿下はまるでゼント卿のような笑顔を浮かべていた。つまり、心から私を励ますような、力強い笑顔だ。私は緊張が解けて、ほっと息を吐いた。ピーター殿下は片目を瞑って私になにかを伝えてから会釈をし、そのままフローレンスのほうへ一歩踏み出した。私は深くお辞儀し、体を包む安堵を受け入れた。
身を起こした頃、入れ替わりでフローレンスがお辞儀をしていた。
ピーター殿下はフローレンスを選ばなかったのだ。意外だった。ちらりと見ると、フローレンスは俯きがちに小さく微笑んでいた。傷ついたり、悔しんでいたりしていない。まるで知っているとでもいうような、達観した表情だった。
私は花嫁候補の列を進むピーター殿下の後ろ姿を見つめた。
そして、彼に選ばれたのは、あのレディ・レイラだった。
レディ・レイラは差し出された手を取りながら膝を折りお辞儀をして、すぐピーター殿下の隣に並んだ。その瞬間、ピーター殿下はレディ・レイラの頬にキスをした。ふたりとも燥ぐような笑顔で、見ているこちらも嬉しくなる。
音楽は特別盛り上がるわけでもなく、招待客から沸き上がった拍手にかき消された。私も力いっぱい拍手をした。レディ・レイラが嬉しそうだし、心からの祝福を拍手に乗せて飛び跳ねたいくらい興奮していた。
そうして晴れやかなカップルを見つめていたら、ピーター殿下はゼント卿の前で足を止めた。当然といえば当然だ。ふたりは短く言葉を交わした。レディ・レイラもゼント卿と挨拶を交わしていた。
そのあとで、目が合った。
「……っ」
胸が、詰まる。
一瞬で祝福も歓喜も散って、悲しみに似た緊張で縛られる。
彼は私を、凝然と見つめていた。
私が心の上で失格したのを、知ったのだ。
私は自分の愚かさを認めざるを得なかった。でも、その謝罪を伝える術もなく、ただ彼を見つめていた。
そうしているうちにピーター殿下がフランシス殿下のもとへ戻り、ふたりの王子は新しいプリンセスを迎えた。その3人はとても煌めいて、既に未来が完成されているようにさえ見えた。
伴奏が止む。
自ずと沈黙が訪れる。
「王太子殿下」
司会役の声は一段と恭しく、伴奏も一段と優雅さを極めた。
フランシス殿下はゆったりと足を進めた。
花嫁候補の列の端に立つ。私は正面に目を戻し、緊張で暴れる胸を鎮めるための呼吸を繰り返した。列の端から泣き声があがる。フランシス殿下が会釈をし、選ばれなかった令嬢が悲しみに泣き崩れたのだ。もちろん敗れた花嫁候補の全員が絶望に沈むわけではない。私のように望んでいない人がいるかはわからないけれど、礼節を守りお辞儀を返す芯の強い人がいる。ただ、私の隣の令嬢は顔を覆って泣いた。
フランシス殿下が、目の前に立つ。
「……」
私は緊張で息をするのも忘れ、その人を見あげていた。
フランシス殿下はあっさりと会釈した。瞬間、安堵と解放感で私は幸せすら感じてしまった。
心はゼント卿を求めている。
でも、彼の顔を確かめる隙さえなかった。
一歩進んだフランシス殿下は恭しくフローレンスに手を差し伸べた。
「!」
心に喜びが爆ぜる。
祝福が踊る。
フローレンスはフランシス殿下の手を取りながら深くお辞儀をし、そしてその隣に並んだ。伴奏も祝福に満ちた晴れやかなものに変わり、今度は拍手にかき消される事はなかった。ただ、悲しみに我を忘れる花嫁候補の泣き声は掻き消した。
私も我を忘れ、飛び跳ねる勢いで拍手をしていた。
「おめでとうフローレンス!」
声が出てしまう。
するとフローレンスの、誇りに満ちた晴れやかな笑顔が私を捕らえた。彼女はもう自分勝手な振る舞いが許されないので、私を見つめる美しい目にすべてを込めていた。
けれど、フランシス殿下が一歩足を戻した。
そして戸惑う私を笑顔で見下ろし、丁寧に手で指し示した。
「……!?」
焦った。
なにかを促されているのだ。
次の瞬間、フローレンスが私の頬にキスをした。
私は驚いていて、反応できなかった。
ただそのための時間を殿下は作ってくださったのだと理解した。
そうしてフランシス殿下がもとの位置に戻り、4人が並んだ。
祝福と歓喜が込められた伴奏に、とめどない拍手が重なる。
フランシス殿下とフローレンス。
ピーター殿下とレディ・レイラ。
輝かしい国の未来が、築かれた瞬間だった。
第2王子ピーター殿下と踊った。
やり遂げた。
私はきちんと、やり遂げた。
私とゼント卿の誇りを貫き通したのだ。
「……」
ダンスの輪が一周して、音楽が絶妙な変調とともにクライマックスへ向かう。
私たちは最後の相手から手を離し、最後の相手にお辞儀をした。
息が弾み、汗をかいていた。
それから司会役の指示に従って、再び一列に並んだ。
ついに花嫁選びが行われるのだ。
男性側はふたりの殿下を残して下がる。ゼント卿を目で追った。彼は少し弱気な笑顔で私に頷いたあとで、いつもの頼もしい笑みを浮かべた。私の戸惑いを見透かされている。それはわかった。けれど、私は自分の恋を気負いはしなかった。
そっと左右を見ると、それぞれ引きつった笑顔を張りつかせていたり、緊張で目を見開いていたりと、表情は様々だった。ただ隣のフローレンスはひときわ美しく、薔薇色の頬をして、輝く目で私を見つめ、微笑んだ。
決まった。
わかっていた。
フローレンスは必ず、選ばれる。
私は微笑みを返し、息を整えた。
「ピーター殿下」
司会役の声が慇懃に響くと、ダンスとは別の伴奏が始まった。
ピーター殿下は兄であるフランシス殿下に耳打ちされ、それに頷いてから、花嫁候補の列の端に向かって歩いた。
ゼント卿の乳兄弟であり、親友のピーター殿下。
素晴らしい人だ。ゼント卿からたくさんの思い出話を聞いている。私もフローレンスも、ゼント卿のせいでふしぎな親近感さえ覚えてしまっていた。恐れ多い事だ。
ピーター殿下は花嫁候補ひとりひとりに軽く会釈しながら、列を進む。
選ばれなくても、まだフランシス殿下に選ばれるかもしれない。だから、ショックを受けず、逆に期待を高まらせている花嫁候補もいるはずだ。
ピーター殿下が近づいてくる。
心臓が、口から出てしまいそうなくらい、私は緊張していた。
決して自信でも奢りでもない。
恐い。
望むべき結果を恐れている自分の罪深さが、恐いのだ。
深呼吸を繰り返す。
ついにピーター殿下が目の前に立った。
私は息を止め、その人を見あげた。
「……」
胸の閊えが、一瞬で取れる。
ピーター殿下はまるでゼント卿のような笑顔を浮かべていた。つまり、心から私を励ますような、力強い笑顔だ。私は緊張が解けて、ほっと息を吐いた。ピーター殿下は片目を瞑って私になにかを伝えてから会釈をし、そのままフローレンスのほうへ一歩踏み出した。私は深くお辞儀し、体を包む安堵を受け入れた。
身を起こした頃、入れ替わりでフローレンスがお辞儀をしていた。
ピーター殿下はフローレンスを選ばなかったのだ。意外だった。ちらりと見ると、フローレンスは俯きがちに小さく微笑んでいた。傷ついたり、悔しんでいたりしていない。まるで知っているとでもいうような、達観した表情だった。
私は花嫁候補の列を進むピーター殿下の後ろ姿を見つめた。
そして、彼に選ばれたのは、あのレディ・レイラだった。
レディ・レイラは差し出された手を取りながら膝を折りお辞儀をして、すぐピーター殿下の隣に並んだ。その瞬間、ピーター殿下はレディ・レイラの頬にキスをした。ふたりとも燥ぐような笑顔で、見ているこちらも嬉しくなる。
音楽は特別盛り上がるわけでもなく、招待客から沸き上がった拍手にかき消された。私も力いっぱい拍手をした。レディ・レイラが嬉しそうだし、心からの祝福を拍手に乗せて飛び跳ねたいくらい興奮していた。
そうして晴れやかなカップルを見つめていたら、ピーター殿下はゼント卿の前で足を止めた。当然といえば当然だ。ふたりは短く言葉を交わした。レディ・レイラもゼント卿と挨拶を交わしていた。
そのあとで、目が合った。
「……っ」
胸が、詰まる。
一瞬で祝福も歓喜も散って、悲しみに似た緊張で縛られる。
彼は私を、凝然と見つめていた。
私が心の上で失格したのを、知ったのだ。
私は自分の愚かさを認めざるを得なかった。でも、その謝罪を伝える術もなく、ただ彼を見つめていた。
そうしているうちにピーター殿下がフランシス殿下のもとへ戻り、ふたりの王子は新しいプリンセスを迎えた。その3人はとても煌めいて、既に未来が完成されているようにさえ見えた。
伴奏が止む。
自ずと沈黙が訪れる。
「王太子殿下」
司会役の声は一段と恭しく、伴奏も一段と優雅さを極めた。
フランシス殿下はゆったりと足を進めた。
花嫁候補の列の端に立つ。私は正面に目を戻し、緊張で暴れる胸を鎮めるための呼吸を繰り返した。列の端から泣き声があがる。フランシス殿下が会釈をし、選ばれなかった令嬢が悲しみに泣き崩れたのだ。もちろん敗れた花嫁候補の全員が絶望に沈むわけではない。私のように望んでいない人がいるかはわからないけれど、礼節を守りお辞儀を返す芯の強い人がいる。ただ、私の隣の令嬢は顔を覆って泣いた。
フランシス殿下が、目の前に立つ。
「……」
私は緊張で息をするのも忘れ、その人を見あげていた。
フランシス殿下はあっさりと会釈した。瞬間、安堵と解放感で私は幸せすら感じてしまった。
心はゼント卿を求めている。
でも、彼の顔を確かめる隙さえなかった。
一歩進んだフランシス殿下は恭しくフローレンスに手を差し伸べた。
「!」
心に喜びが爆ぜる。
祝福が踊る。
フローレンスはフランシス殿下の手を取りながら深くお辞儀をし、そしてその隣に並んだ。伴奏も祝福に満ちた晴れやかなものに変わり、今度は拍手にかき消される事はなかった。ただ、悲しみに我を忘れる花嫁候補の泣き声は掻き消した。
私も我を忘れ、飛び跳ねる勢いで拍手をしていた。
「おめでとうフローレンス!」
声が出てしまう。
するとフローレンスの、誇りに満ちた晴れやかな笑顔が私を捕らえた。彼女はもう自分勝手な振る舞いが許されないので、私を見つめる美しい目にすべてを込めていた。
けれど、フランシス殿下が一歩足を戻した。
そして戸惑う私を笑顔で見下ろし、丁寧に手で指し示した。
「……!?」
焦った。
なにかを促されているのだ。
次の瞬間、フローレンスが私の頬にキスをした。
私は驚いていて、反応できなかった。
ただそのための時間を殿下は作ってくださったのだと理解した。
そうしてフランシス殿下がもとの位置に戻り、4人が並んだ。
祝福と歓喜が込められた伴奏に、とめどない拍手が重なる。
フランシス殿下とフローレンス。
ピーター殿下とレディ・レイラ。
輝かしい国の未来が、築かれた瞬間だった。
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