児童絵本館のオオカミ

火隆丸

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児童絵本館

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ある町のはずれに、小さなレンガづくりの洋館がありました。
その洋館は、かつて児童絵本館と呼ばれていました。子供たちが笑顔になれる場所をつくりたいという町の願いから、建てられたものでした。

児童絵本館には、たくさんの本が子供たちのために並んでいました。また、建物の中には小さな劇場もあり、子供のための人形劇や映画会も開かれていました。
子供たちは児童絵本館で本を読んだり、劇を見たり、たくさんの楽しみを味わうことができました。

でも、時がたつにつれて子供の数は減り、児童絵本館に集まる子供たちは少なくなっていきました。そのうちに、児童絵本館を支える人もお金もなくなり、閉館になってしまいました。
しかし、閉館になっても取り壊すことができず、建物はそのまま残されました。

子供たちであふれていた児童絵本館は、あっという間に不気味な廃墟になり果ててしまいました。レンガの壁にはツタが生い茂り、お化け屋敷のように恐ろしい雰囲気になりました。建物の中は一年中真っ暗で、だれも寄りつきませんでした。

そのうちに、この建物が児童絵本館であったということも、町の人々の記憶から薄れていきました。
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