上 下
6 / 16

6・2度目の町

しおりを挟む
皆が仕事から帰って来た。
まだ一部は何処かに行ってるらしく。慌ただしかった。
それでも、ゼンから離れるのは嫌だったのでずっと後をついて回った。
「ロゼ、お頭に呼ばれてるから待っといてくれないっすか?」
嫌だと首を振り服をぎゅっと握った。
仕方ないっという感じでゼンは溜息を吐き、ロゼを連れてお頭の所に行った。

「お頭ー。ロゼも一緒っすが入ってもいいっすか?」
「ああ。」
だいたいは予測はついていたらしい。入室許可が下りたので一緒に入った。
「今回はそんなに大した事は無い。ただ船に戻るときの買い出しを頼もうとしてただけだ。ロゼも一緒に連れていけ。」
「いいっすよ」
「ロゼ、以前いた町だが人になれるために一緒に行って来い。ゼンもいてるから大丈夫だ。」
町?って何?って思ったけど以前いた所と聞くと反射的に体が震えてきた。
何故?
「大丈夫っすよ。俺がいるっす。心配ならもう一人一緒に連れて行くっすよ!」
もう一人と聞いて反射的にお頭の方を向いてしまった。が・・・・。
もう聞いてないって感じでお頭は寝てしまっていた。
「お頭っすか?ちょっと難しいっすね・・・。」
他親しい人なんて。いない。
「お頭がいい。」
私がそう言うと。寝ていたと思ってたお頭がゆっくり目を開けた。
「俺とか?」
コクッ。
「リンゼル。俺が今行ってもかまわない状況か?」
リンゼルは聞かれた事が以外だったらしく。ビックリしていた。
「お頭が抜けても今は大丈夫ですが・・・。ほんとに行く気ですか?」
「ああ。」
はぁ。
ため息が聞こえた。
「分かりました。ですが仕事で色々あったらしいですし気を付けて下さいね?」
ああ。
意外にも行っていいという返事が来たらしくお頭は目を見開いていた。


ガヤガヤ!ワイワイ!
町の中心部に来たら人が活気に溢れかえていて、ごった返していた。
前に来たのに私の事が分からないのか、周りの人が声をかけてくる。
横を見たらゼンが両手一杯に荷物持っていた。
何時の間に・・・。
お頭は何も持ってないからすまし顔だった。
「ゼン。重くないの?」
「重くないっすよ、もう一人誰か連れてくればよかったっすね。ロゼはアスタスさんの手を握っててほしいっす。」
聞きなれない名前が出てきたので、首を傾げていたら。
「お頭の名前っすよ。」
少し笑い顔でゼンが教えてくれた。
それを聞きお頭に手を伸ばそうと思ったけど、つないで良いのか分からず。
つい服を握ってしまった。
「何してる。それだとはぐれる。ゼンにも手を握れと言われただろうが・・。」
そう言って、お頭は手を差し出してくれた。
その手を見てなぜか嬉しくなって、飛びつくようにして手を繋いでしまった。
後から、恥ずかしくうつむいてしまったけど・・・。
横から笑い声が聞こえゼンをにらみつけてしまった。
その後は普通に買い物。
私が欲しい物無いから2人して私の必要品を買ったりもした。
「後は他の者に頼んだらいいっすね!」
その声を聴きながら人ごみを歩いていたが、周りの人に流されてしまいお頭と手が離れて流されてしまった。
「ゼン!ロゼが人ごみに流された!」
「はぁ!何やってるんっすか!ちゃんと手を繋いどいてくださいよ!ロゼは小さいんですから中々見つからないんっすよ!!何かあったらどうするんっすか!?」
あーだこーだ言ってる最中。
ロゼはと言うと。路地裏に出て来ていた。
(ここって・・・。以前いた所?)
暗い。あれ?あそこにいてるのは、人?
「あなたどうしたの?」
声をかけるとこっちを睨み付ける子供。よく見ると服も以前自分が着てたみたいにボロボロだった。
「俺にかまうな!」
「だって、何でここにいるの?」
「かまうなって言ってんだろ!?」
バシッ!
つい手を伸ばしたらその子にはたかれてしまった。
「あっ!」
バツが悪そうな顔をしたけど。睨むのはやめなかった。
「俺に声をかけたら不幸になるぞ。何処かへ行け!」
「何で?」
何の事か分からず首を傾げてしまう。
男の子は悔しそうに
「俺は、生まれて来たらいけない子だから。不吉な子供らしい」
私はその言葉を聞いて体を固くしてしまった。
「だから、俺には声をかけるな!」
そう言って、奥に走り去ってしまった。

不吉な子供。以前、私もずっと言われていた言葉。
いったい何なの?
私も生まれて来たらいけない子供だったの?
そう悶々としていたら遠くから
「ロゼー!ロゼー!!どこっすか!?」
「おい、一旦ここに入るぞ!」
「はぁ?何言ってるんっすか!そんなところにロゼがいるんっすか?」
「いいから行くぞ!前も路地裏にいたんだもしかしたらいるかもしれないだろ?」
「はぁー。わかったっす!・・・・・!!ってロゼほんとにいたっす!」
ゼンが走り寄ってきた。お頭もゆっくりだが安堵した顔で寄ってきた。
「怪我は無いっすか?気分悪いとかもないっすか?」
色々聞いてきて体をペタペタさわりだした。
「何処も怪我無いっすね!でも顔色が悪いっす。どうしたっすっか?」
お頭も無言で見下ろし返答を待っていた。
「・・・不吉な子供って何?」
私がそう聞いたら2人とも息をのんでビックリしていた。
ゼンが固い声で
「何処で聞いたんっすか?」
っと聞いてきた。
「さっきここで会った子。」
「ねぇ、何の事?生まれて来たらいけないって言ってたよ?」
ゼンは何も答えずお頭を振り返った。
「ロゼ・・・・。一旦戻るぞ、話はそれからだ。」
お頭はそう言って初めて私を抱き上げた。
ゼンはそれをみてビックリしていたが、何も言わず荷物を持て後ろをついてきた。
いったい何なの?
疑問に思うけど、帰ってからみたいだからおとなしくしておこう。
不安になってしまったからついお頭の服をキツク握ってしまったけど・・・。



「あれは・・・・。死んだと聞かされていたはずだが?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄を言い渡された悪役令嬢から復讐依頼が届きました。

葉月
恋愛
俺ことバンレガシーの元に届けられた復讐依頼。 だが、肝心の依頼人は三ヶ月前に死んでるだと!? 手紙の差出人は果たして誰なのか……。

髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。 そんな世界に唯一現れた白髪の少年。 その少年とは神様に転生させられた日本人だった。 その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。 ⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。 ⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。

夜霧の騎士と聖なる銀月

羽鳥くらら
ファンタジー
伝説上の生命体・妖精人(エルフ)の特徴と同じ銀髪銀眼の青年キリエは、教会で育った孤児だったが、ひょんなことから次期国王候補の1人だったと判明した。孤児として育ってきたからこそ貧しい民の苦しみを知っているキリエは、もっと皆に優しい王国を目指すために次期国王選抜の場を活用すべく、夜霧の騎士・リアム=サリバンに連れられて王都へ向かうのだが──。 ※多少の戦闘描写・残酷な表現を含みます ※小説家になろう・カクヨム・ノベルアップ+・エブリスタでも掲載しています

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

スーパーと異世界に行くのはどうですか?

トロワ
ファンタジー
ある日仕事が終わり帰ろうとしていた浅倉大輔と諸星星矢だったが謎の光が二人を包み込んだ 目が覚めるとそこは違う世界だった だが転生したのは二人だけではなくスーパーハピネスの社員みんなだった。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

自警団を辞めて義賊になったら、元相棒の美少女に追いかけられる羽目になった

齋歳 うたかた
ファンタジー
自警団を辞めて義賊になった青年リアム。自警団の元同僚達から逃げながら、彼は悪人の悪事を白日の下に晒していく。 そんな彼を捕まえようとするのは、彼のかつての相棒である女副団長。リアムの義賊行為を認めるわけもなく、彼女は容赦なく刀を振るってくる。 追われる義賊、追う副団長。 果たして義賊は元相棒に捕まってしまうのだろうか? ※『カクヨム』『小説家になろう』でも投稿しています

異世界で双子の勇者の保護者になりました

ななくさ ゆう
ファンタジー
【ちびっ子育成冒険ファンタジー! 未来の勇者兄妹はとってもかわいい!】 就活生の朱鳥翔斗(ショート)は、幼子をかばってトラックにひかれ半死半生の状態になる。 ショートが蘇生する条件は、異世界で未来の勇者を育てあげること。 異世界に転移し、奴隷商人から未来の勇者兄妹を助け出すショート。 だが、未来の勇者アレルとフロルはまだ5歳の幼児だった!! とってもかわいい双子のちびっ子兄妹を育成しながら、異世界で冒険者として活動を始めるショート。 はたして、彼は無事双子を勇者に育て上げることができるのか!? ちびっ子育成冒険ファンタジー小説開幕!!  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 1話2000~3000文字前後になるように意識して執筆しています(例外あり)  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ カクヨムとノベリズムにも投稿しています

処理中です...